
準々決勝敗退後の誹謗中傷の実態
侍ジャパンはベネズエラに逆転負けを喫した後、SNS上で一部選手に対する心無い言葉が相次いだ。特に注目されたのは伊藤大海投手と近藤健介選手への攻撃。伊藤投手は6回に登板し、無死一、三塁のピンチでアブレイユに逆転3ランを浴びた。
これが決勝点となり、インスタグラムなどのコメント欄に「死ね」「使えねえ」「消えろ」「人として終わってる」「顔が気持ち悪い」といった過激な投稿が殺到した。一部は家族にまで及ぶ内容で、度を越えたものが目立った。
近藤選手は大会通算13打数0安打と不振に終わり、試合後グラウンドを呆然と見つめる姿が報じられた。本人もインスタグラムで「今大会は何もできず、ファンの皆さんの期待に応えられず申し訳ありませんでした」と謝罪投稿したが、そこにさらに「戦犯」「引退しろ」などの言葉が寄せられた。
これらの投稿は匿名アカウントや捨て垢から多く、試合直後から翌朝にかけてピークを迎えた。こうした誹謗中傷は「日本代表なのに負けるなんて恥」「税金で飯食ってるくせに」といった国代表のプレッシャーを利用したものが多く、アスリートへの精神的ダメージが懸念されている。選手会は大会前からAI検出システム「Threat Matrix」を導入し、主要SNSを42言語で監視していたが、敗退後には特に増加。1次ラウンドでも一定数が確認されていたが、準々決勝後が最も深刻化した。
日本プロ野球選手会の声明と対応
日本プロ野球選手会は敗退直後の3月16日、公式Xで強い声明を発表した。
「WBCの結果を受け、侍ジャパンの選手や監督・コーチ等に対する誹謗中傷を多数確認しています。これまでも日本プロ野球選手会では、選手を守る観点から、発信者情報開示や損害賠償請求、刑事告訴等の法的措置を多数行ってきました。今回の大会では、AIを活用したモニタリングにより投稿の確認・証拠保全を行っており、悪質な投稿については法的対応を含めて厳正な措置を講じます。選手が安心してプレーできる環境づくりへのご理解とご協力をお願いいたします」との内容だ。
大会前にはNPB、NPBエンタープライズと共同でシステムを導入。侍ジャパンの監督・コーチ・選手、家族も対象に投稿を自動検出・通報し、必要時は入場禁止などの措置を検討するとしていた。1次ラウンド終了時の3月14日にも「一定数確認」と報告し、温かい応援を呼びかけていたが、敗退後により強い警告を発した形だ。
この声明を受け、ファンからは「選手会ありがとう」「しっかり守ってほしい」と支持の声が広がっている。
敗退後の選手たちの主なコメント
選手たちは試合後取材やSNSで悔しさを率直に語りつつ、感謝、再起への決意、チームへの思いを述べた。以下に主な選手のコメントを整理して紹介する。
- 大谷翔平選手(試合後取材)
「本当に悔しいですね。本当に強かったですし。自分たちでも持っているものというか、出しながらも、やっぱり力で最後押し切られた印象です。」
「惜しいゲーム、勝てる要素の多いゲームだったと思うので、全部が押し切られたわけではないですし、ところどころで勝てる要素はあったんじゃないかなと思います。」
「必ず代表というのはこの先にもあるし、若い選手が多いので次のチャンスは必ずあると思うし、そこに向けてまたみんなで頑張りたい。『また会おうね』と話していたので、みんな一回りも二回りも大きくなってまた戻ってくると思います。」 - 近藤健介選手(インスタグラム投稿)
「WBC応援ありがとうございました。今大会は何もできず、ファンの皆さんの期待に応えられず申し訳ありませんでした。自分の力の無さ、そしてメジャーのトップクラスの選手との力の差を肌で感じました。まだまだ鍛え直します。」
「選手に対して心無い言葉が届いているとも聞いています。もちろん結果はしっかり受け止めています。ただ、その言葉に叱咤があるのかどうかは、選手自身が一番分かります。たくさんの叱咤激励を選手は力に変えて、2026年シーズンも全力で頑張ります。応援よろしくお願いします。」 - 岡本和真選手(試合後インタビュー)
「悔しいに尽きる。WBCは自分にとって良い場所になったけど、この結果は悔しい。」
「この大会は本当に良い場所になった。残念だけど、次に繋げてまた選ばれるように頑張りたい。」 - 鈴木誠也選手(負傷交代後コメント)
「最後の最後で迷惑をかけてしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、他の選手たちは大丈夫だった。」
「将来また世界一を目指すために、学ぶべきことを学んだ。」 - 吉田正尚選手(試合後インタビュー)
「残念ながらこんな結果になってしまった。ここが今の自分の実力。みんな最後まで諦めずに戦った。」 - 山本由伸選手(試合後コメント)
「序盤の勢いを後半にも響かせてしまった。最後にチームに合流したが、すぐに一丸となった雰囲気に入れてもらい、すごく感謝している。」 - 菊池雄星選手(試合後コメント)
「侍で過ごした時間は財産。」 - 村上宗隆選手(試合後インタビュー)
「(日の丸を背負うのは)すごく特別なこと。良くも悪くも色んなことを言われながらやるのが僕らの責任。まずはシーズンに集中し、結果を残せるように頑張りたい。」
全体として「全力で戦ったが力不足だった」「悔しいが経験を糧に」「感謝と労い」のトーンが共通し、ベンチで涙を流しながらもファンに整列して挨拶する礼儀正しさが評価されている。
SNSでの労いと応援の声
誹謗中傷が目立つ一方で、ネット上では労いと応援の言葉が圧倒的に多い。
侍ジャパン公式インスタグラムに敗退45分後に投稿された整列写真には、即座に「お疲れ様でした」「感動をありがとう」「日本の誇り」「胸張って帰ってきて」などのコメントが殺到。
近藤選手の投稿にも「謝らないで」「誰も悪くない」「一生懸命闘った人達に誹謗中傷するなんて相手にすることない」「アンチに負けず頑張って」といった温かいエールが寄せられた。伊藤投手のコメント欄も「誰がなんと言おうと伊藤大海は日本のエース」「大海にはファイターズファンがついてるよ」「次のWBCでやり返そう」「プレッシャーの中、戦う姿はかっこ良かったです」と擁護が殺到。
一部で「誹謗中傷してる奴は現役プロ自宅警備選手」「叩いてるやつ二度と野球見るな」「捨て垢なんて気にするな」と攻撃側を批判する声も活発で、全体として選手を守る流れが強い。
著名人からもひかきんさん「本当にお疲れ様でした。最高に熱い時間でした」、里崎智也氏「全力でやった結果なので仕方がない。また次に向かって」などの言葉が寄せられている。
全力の戦いに感謝を
侍ジャパンは連覇を逃したが、選手たちはプレッシャーの中で全力投球した。
誹謗中傷は残念だが、選手会が法的措置を明確にし、ファンの大多数が労いの声を上げている点は心強い。結果以上に得た経験を糧に、2026年シーズンや次回大会で再び輝く姿を期待したい。侍ジャパン、お疲れ様でした。ありがとう。



