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生きたハムスターをクレーンゲームの景品に 悪質店舗に批判殺到、姑息な言い訳で怒りの火に油

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生きたハムスターがUFOキャッチャーの景品に

客寄せのために生きたハムスターをクレーンゲーム機の景品として扱ったゲームセンターが、激しい非難を浴びている。 店舗側は批判を受けて別の生き物に差し替えるなど、場当たり的で不誠実な対応をとっていたが、怒れるネット世論の殺到と当局の指導により、最終的にすべての生体景品の撤去に追い込まれた。

命を娯楽の道具として消費するビジネスモデルの悪質さが次々と露呈し、SNSでは「明確な動物虐待」「倫理観ゼロ」との声が殺到している。一体なぜ、このような非道徳的なゲーム機が堂々と稼働していたのか。

 

発覚の経緯と命の娯楽化の残酷な実態

騒動の起点は、3月に入りインターネット上に投稿された一本の動画だ。その後、14日にはサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙をはじめとする複数の海外メディアもこの問題を大きく報じた。問題のクレーンゲーム機の透明なケースの隅で、複数匹のハムスターが身を寄せ合って怯える姿が映し出されていた。

そもそもハムスターは夜行性であり、非常に警戒心が強くストレスに脆弱な生き物である。ショッピングモール特有の騒がしい環境音やゲーム機の電子音は、聴覚の優れた小動物にとってパニックを引き起こす要因となる。さらに致命的なのはゲームの構造だ。硬い金属製のアームで無造作に掴み上げられ、不規則な姿勢で落下させられれば、骨格の脆いハムスターは容易に骨折や内臓破裂を起こす。「客寄せのために命を弄んでいる」「窒息や衰弱死のリスクを全く理解していない」といった専門的な指摘も相次ぎ、動物虐待との批判が一気に爆発した。

 

批判殺到後の姑息な対応と炎上の連鎖

批判が集中する中、該当店舗が取った初期対応は、火に油を注ぐ最悪なものだった。店はハムスターの入った機体を一時撤去したものの、反省するどころか、代わりに生きた魚やカメを捕まえる新しいゲーム機を即座に設置したのである。撤去の理由を尋ねられた店員はハムスターの飼育が許可されていないからと答えるにとどまり、命を景品にすること自体の異常性に対する自覚は全く見られなかった。

この「種類を変えれば問題ないだろう」という姑息な対応はさらなる大炎上を招いた。最終的に3月上旬になって別の店員から「生きた生き物はすべて撤去された」と明かされ、店舗側が世論の圧力に完全降伏する形となった。

 

舞台となった先進都市と法律の壁

そもそも、なぜこのような悪質なゲーム機が堂々と稼働できていたのか。事件の現場となった中国・広東省深圳市のショッピングモール周辺では、行政の介入を遅らせる大きな壁が存在していた。

日本であれば即座に行政指導や警察の捜査対象となる事案だが、現地の一部の人々が苦情を申し立てた際、当初の当局の返答は「動物保護法がないため、問題を解決できない」という絶望的なものだった。中国には現在、野生動物を保護する法律はあるものの、犬猫やハムスターなどの愛玩動物(ペット)を虐待から直接守る全国的な法律が存在しない。法整備の遅れという弱点が、無自覚な虐待ビジネスを野放しにする温床となっていたのだ。

しかし、世論の沸騰を受けて専門家も苦言を呈した。現地の弁護士は、生きた動物を使ったクレーンゲーム機について「店舗が関連する許可証を取得していない場合、動物疾病予防管理法(公衆衛生に関する法律)に違反する可能性がある」と指摘。直接的な動物保護法がなくても、別ルートからの違法性が示唆されたことで、5日の現地報道によれば、ようやく当局が無許可営業を理由に該当店舗へ営業方法の是正を求めるという異例の展開を辿った。

 

日本ではあり得るのか?動物愛護法が塞ぐ命の搾取

翻って、日本ではこのような生きた哺乳類のクレーンゲームは法的にどう扱われるのだろうか。結論から言えば、現在の日本においてこのビジネスモデルを合法的に成立させることは事実上不可能である。

日本では「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」が厳しく定められている。営利目的で動物を展示したり、景品として譲渡したりする場合、事業者は「第一種動物取扱業(展示・販売など)」の登録を行わなければならない。この登録ハードルは非常に高く、事業者は多岐にわたる厳しい基準をクリアする必要がある。具体的には、温度や照明、換気が徹底管理され、動物が安心できる隠れ家などの休息設備を設けるといった適切な飼養環境の確保が求められる。また、長時間の展示や騒音による過度なストレスの禁止も厳格に定められている。さらに、哺乳類・鳥類・爬虫類を譲渡する際(景品として渡す場合もこれに該当する)には、単に引き渡すだけでなく、飼育方法などを文書を用いて対面で説明する義務が課されているのだ。

騒音の激しいゲームセンターの筐体内にハムスターを閉じ込め、不特定多数の客にアームで落下させるような仕組みは、これらの基準に真っ向から違反する。仮に強行すれば、行政指導、業務停止命令、最悪の場合は動物虐待として刑事罰の対象となる。かつて日本でも、ミドリガメや伊勢海老などを入れたキャッチャー機が存在した時代があったが、法改正と動物福祉(アニマルウェルフェア)の意識向上により、哺乳類や鳥類を扱うような過激な筐体は完全に淘汰された。日本の厳格な法整備が、こうした命の搾取を未然に防ぐ強力な防波堤となっているのだ。

 

ネット世論が行政を動かした象徴的事件

今回の深圳での騒動は、法律がないからと一度は匙を投げた行政に対し、SNS上の圧倒的な世論が炎上という形で事実上の圧力をかけ、是正に追い込んだ現代特有の事例と言える。炎上はピークを過ぎつつあるものの、問題の動画や画像はデジタルタトゥーとして残り続け、店舗の長期的なイメージダウンは避けられない。「バレなければいい」「法律がなければ何をやってもいい」という打算的なビジネスは、ネット社会において一瞬で破綻する。命を消費財として扱うビジネスの倫理と責任が改めて問われるとともに、他国の出来事とはいえ、動物福祉のあり方と法整備の重要性を再認識させる大きな教訓を残した事件であった。

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ライター:

Webライターとして活動。主にエンタメ系、サステナビリティ関連の記事などを扱っています。

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