
春の足音が近づくにつれ、花見やキャンプなど屋外での食事が楽しみな季節となる。しかし、野外での宴につきものなのが風の悩みだ。せっかく取り分けた料理が、突風で皿ごと舞ってしまう光景は、誰もが一度は経験したことがあるだろう。
東洋製罐グループホールディングス株式会社の発表によると、同社の連結子会社であるサンナップ株式会社は、こうした風ストレスを軽減する新製品「風に強いペーパープレート」を開発した。3月より全国で順次販売を開始するという。
これまで「仕方がない」と諦められていた紙皿の軽さという弱点に、構造設計からメスを入れた意欲作である。
接地構造を見直し、風を受け流す「フランジ形状」を採用
本製品の最大の特徴は、その独特な形状にある。 従来の紙皿は縁が浮いているため、皿の下に風が入り込み、いわば「翼」のように揚力を得て飛んでしまいやすかった。
サンナップの発表資料によると、新開発の「風に強いペーパープレート」は、外周にフランジ(つば)形状を設けることで、皿の縁とテーブルや地面との隙間を極限までなくしている。これにより、風が皿の下に入り込むのを防ぎ、逆に風を皿の上側へと受け流す空気力学的なアプローチを取り入れた。
これは、同社が展開する基幹ブランド「SUNNAP WHITE(サンナップホワイト)」のリニューアルに伴い開発されたもので、「強く、美しい」という新コンセプトを体現する第一弾製品となる。
逆転の発想から生まれた「タブホール」の機能美
興味深いのは、風対策を施したことで生まれた新たな課題への解決策だ。皿がテーブルに密着するということは、裏を返せば「指が掛かりにくく、持ち上げにくい」というデメリットを生む。
そこで開発チームは、皿の縁の一部に「タブホール(つまみ穴)」を設けた。ここを指掛かりとすることで、スムーズに持ち上げることが可能となる。さらに、この穴は箸やスプーンを通す「カトラリーレスト」としても機能するように設計されており、機能性がデザインの中に巧みに落とし込まれている。
消費者の「5割以上」が感じる不満を解消
製品開発の背景には、確かな市場調査があった。 株式会社マインドシェアが2025年10月に行った調査によると、紙皿ユーザーの半数以上が「紙皿は風に弱い(飛ばされやすい)」と感じていることが明らかになったという。
簡易食器のパイオニアとして1968年から事業を展開してきたサンナップにとって、この「風への弱さ」は長年の課題であった。東洋製罐グループが培ってきた容器製造のノウハウを注ぎ込み、耐久性と耐油・耐熱性を維持しつつ、物理的な形状変更で解決を図った点は、日本のモノづくりらしい細やかな配慮と言えるだろう。
販売は3月より、全国のスーパーマーケット、ホームセンター、専門店などで開始される予定だ。たかが紙皿、されど紙皿。この数百円のプロダクトが、春の行楽シーズンにおける「風との戦い」を終わらせるかもしれない。



