
経営顧問サービスと外国人人材紹介を手掛けるシードパートナー(東京都渋谷区)の代表取締役、永沼秀一さんが2025年5月、東洋経済新報社から『教え方が悪いから部下が育たない 部下を覚醒させる最強の法人営業指導マニュアル』を上梓する。「数字に追われるのは、地図を持たずに戦場へ出るからだ。本書が示すのは、その地図だ」と永沼さんは語る。
「準備八割」がもたらす圧倒的な差
永沼マニュアルの核心は、営業プロセスを徹底的に分解し、前工程の成果を次工程へ“誘導する動線”に変える点にある。商談相手のビジネスモデル、課題および課題解決方法の想定――商談相手のWebサイトなどから読み取れるあらゆる想定を準備し独自の「攻略メモ」を作るのが出発点だ。商談では、そのメモに沿って問いを投げ、相手の言葉で課題を語らせる。課題が顕在化した瞬間にのみ自社の解決策を提示し、次回の議題を“宿題”として握る。この繰り返しが案件の線を面へ、面を立体へ拡張させる。永沼さんは「準備で勝負の八割が決まる」と笑う。
この手法を導入した地場レンタカー会社では、年間一桁だった法人新規契約がわずか三週間で四社に増えた。ある大手企業子会社(広告事業)の若手営業マンは、一方的に自社商品を説明するだけの日々から、経営者と議論できるようになった。
「今までは憂鬱だった毎日の営業活動が、突然とても楽しくなった」と語り、大手レンタカーFC加盟店の店長は、「新規営業先で何を話せばいいのか分からずストレスで活動数が増えなかったが、今はどこで何を話すべきかを想定することがワクワクする。営業が楽しくて仕方ない。」と驚きを隠さない。
数字だけでなくムードまで変える再現性の高さが、現場からの高評価につながっている。何より、「営業が楽しくなった」という声が業種を超えて上がるのは、手法がシンプルで再現可能だからにほかならない。
筆者が見た“動線設計”の威力
本書制作のため十数時間インタビューを重ねた筆者(加藤俊)は、後日、学んだエッセンスを自社案件で試した。競合が乱立するコンペでも事前情報マッピングとアイスブレイクや営業の進行を管理するだけで成約率が飛躍的に向上したと実感している。会う前日に顧客のどの情報を読み込み、どういった雑談を差し込めばいいのか、次回の商談につなげるフォローメールの文面など――おおまかにはそれだけで、競合が並ぶコンペでも成約率が飛躍的に向上した。何より、自分の手で“動線”を敷いていく過程がゲームのステージクリアに似ていて面白い。
しかし成果は筆者だけではない。本書で紹介されるある企業の営業課長は「いつも沈黙していた新人が“次のアポを僕に任せてください”と言い出した」と笑う。
装丁は“余白”が主役
表紙は白地に黒の極太フォント、帯は黒地に白抜きというミニマルな設計だ。「情報が氾濫する書棚だからこそ、余白が目を奪う」と永沼さん。書店で見かけたら、まずページを開いてみてほしい。営業プロセスの微細なポイントが、まるで地図の等高線のように浮かび上がるはずだ。
永沼さんから経営者やマネージャーの方へ
「部下が伸び悩むのは、才能がないからではありません。どの順番で、何を渡せば、次の工程へ自然に進むか――その“動線”をあなたが示せていないだけです。地図を渡されたチームは、自分の足で進み始めます。本書でその地図を描き、次の勝利を取りに行ってください。手に取っていただいた方には、営業はクリエイティブであり、楽しいものだということを知ってもらう機会になれば幸いです。」
発売は、2025年5月28日である。
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