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無資格でX線操作 米系医療機器メーカー ニューベイシブジャパン社員、手術現場で法令違反か

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無資格でX線操作

米国系医療機器メーカー「ニューベイシブジャパン」(東京都中央区)の営業担当者が、資格を持たないまま手術中にX線装置を操作していたことが判明した。

朝日新聞の取材により明らかになったもので、同社は複数の大学病院など計5つの医療機関で2024年4月から11月にかけて、4人の社員が照射角度の変更や照射ボタンの押下といった行為を行っていたと認めている。

 

医師法・診療放射線技師法に違反の疑い

X線の操作は人体に直接影響を及ぼす医療行為にあたり、診療放射線技師法では医師や放射線技師といった有資格者のみが扱えると定められている。厚生労働省も、今回のケースについて医師法違反の可能性を視野に調査を進めているとされる。

報道によれば、営業担当者らは脊椎手術に用いる同社製インプラント製品を扱うため、現場で器具の提供補助やX線装置の操作を行っていた。手術室内の様子を撮影した映像には、放射線防護衣を着用した営業担当者がX線装置を操作する姿も確認された。

 

「慣習」に頼る病院側の管理体制に課題

SNS上では専門家の意見も相次いでいる。中央大学大学院教授で医師の真野俊樹氏は、「会社の方が手術室に入るケース自体は特殊ではないが、法令違反は問われる可能性がある。かつては慣習で許容されていたとしても、今はSNS時代。法令遵守が求められる」と指摘した。

また、別の医療関係者は「しっかりと業務委託契約を結び、患者の同意を得たうえで立ち会いを認める病院もあるが、今回の病院は管理が甘かったのではないか」と述べた。医療機器メーカーの営業が医療現場に立ち会うこと自体は違法ではないが、その範囲を逸脱した場合、重大な法的責任が問われる。

 

無資格者による操作のリスク

診療放射線技師によれば、法改正によりX線のポジショニングやセッティングなどの準備行為を含め、一連のX線撮影操作はすべて有資格者でなければ行えないとされている。「たとえ照射の瞬間を操作しなくても、照射に至る一連の行為を行った場合は違反となる」という見解が業界では定着しており、過去には神戸市などでも同様の違反が摘発された例がある。

SNS上では、「誰でもできるから良いだろう」という安易な発想に対して、「法の趣旨を理解していない」と厳しい声も見られた。とくに大分県など地方自治体の保健所では、ポジショニング行為も含めた一連のX線撮影の公的な解釈が示されており、違反すれば罰則が科されるという認識が共有されている。

 

業界全体に求められる法令遵守

今回の事案は、長年続いてきた業界内の慣習と、現在の法制度との齟齬を改めて浮き彫りにした。医療機器メーカーの営業活動が高い専門性を伴う手術現場に及ぶ中で、法的・倫理的な枠組みの明確化と病院側の管理体制の徹底が求められている。

ニューベイシブジャパン社は、朝日新聞の取材に対し、事実関係を認めたうえで「再発防止に向けた対応を検討している」とコメントした。厚労省の調査結果次第では、医療機関側にも監督責任が問われる可能性がある。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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