万博テストランで消防出動騒ぎ

大阪・関西万博のテストラン会場で4月6日、燃焼下限界を超える危険な濃度のメタンガスが検出され、消防隊が緊急出動する騒ぎがあった。通報したのは元消防士で日本共産党の守口市議会議員、寺本けんた氏。寺本氏自身がSNS(X)で現場から状況を報告し、ネット上で大きな波紋を広げている。
寺本氏は自身のガス検知器で会場西ゲート付近のマンホールを調べ、「100%LEL(5VOL%)」を超える数値を確認。この数値について、「マッチやライターで火が付く濃度だ」と危険性を強調した。また、「16時に119番通報をしたが、現場には規制線がすぐに張られなかった」と対応の遅さを指摘し、「この対応で本当にいいのか、今後問われることになる」と疑問を投げかけた。また、万博の開催に対して、「いのち輝くどころか いのちが吹き飛ぶ恐れがあります。 危険な万博は今すぐ中止をするべきです」と結んでいる。
寺本氏が投稿した動画には、消防隊員がマンホールを開けた瞬間に警報器が激しく反応する様子が映されており、現場の緊迫した状況が伝わってくる。この一連の投稿は瞬く間に拡散され、「元消防士」がSNSでトレンド入りするほどの反響を呼んだ。
「無臭」だからこその危険性―あらさき美枝市議も現場に
現場には大東市議会議員のあらさき美枝氏も訪れており、「メタンガスは無臭のため測定しなければ分からない。元消防士の寺本市議が測定器を持参し警報が鳴った。西エリアは児童生徒も通る場所で危険すぎる」とSNSに投稿し、安全性への懸念を示した。
万博協会も高濃度検知を正式発表
日本国際博覧会協会も深夜に声明を発表。大阪市消防局と協会職員が実施した測定でも、現場の電気設備地下ピット内で5VOL%を超えるメタンガスが検知されたことを正式に認めた。協会は今後、該当箇所の蓋を常時開放して換気を強化し、周囲には柵を設置するなどの対策を講じるとしている。
メタンガスの危険性とは
メタンガスは、燃焼下限界が5%VOLとされ、それ以上の濃度では火花や小さな火種でも爆発や火災を引き起こす危険性が高い。日本の労働安全衛生規則では1.5VOL%を基準値と定めており、今回の検出値はその3倍以上。実際に、日本や世界各地の廃棄物埋立地ではガス爆発事故が度々発生しており、アメリカのメリーランド州や中国の深圳市では死傷者を伴う大規模な爆発事故も起きている。こうした事例からも、夢洲のメタンガス問題は軽視できない。
一方、SNS上では安全性を懸念する声とともに、「そもそも夢洲はゴミの埋立地で、メタンガスが出るのは当然」「排出を前提に設計されている場所だから騒ぐことではない」という冷静な指摘も見られ、議論は二分されている。
万博開幕までの課題
会場となる夢洲は廃棄物を埋め立てて造成された人工島であり、昨年3月にはメタンガスに起因する爆発事故が起きている。協会は換気設備やガス検知器を導入し定期測定を実施してきたが、今回の検出を受け、さらなる安全対策の強化と情報公開の徹底が不可欠となる。
大阪・関西万博の開催が目前に迫る中、徹底した対応が求められている。