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中野サンプラザ跡地、今後の未来は?再開発計画と住民の不安

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中野サンプラザ
photoACより

中野のランドマークとして親しまれてきた「中野サンプラザ」の跡地再開発が、予想外の展開を迎えている。当初計画では2029年度の完成を目指していたが、資材費や人件費の高騰により事業費が倍増。さらに、計画の大幅な見直しを迫られる事態となった。今後の行方はどうなるのか。現在の状況と今後の可能性を探る。

 

中野サンプラザ再開発の当初計画

1973年に開業し、長年にわたり中野の象徴として親しまれてきた「中野サンプラザ」。
2023年7月に老朽化を理由に閉館し、その跡地には大規模な再開発計画が持ち上がった。

このプロジェクトは、野村不動産を中心とする事業者グループが施行予定者として選定され、東京都中野区の都市開発の目玉として期待されていた。

そして、2021年に発表された当初計画では、以下の内容のはずだったが、現在は当初の内容から変化が生じている。

・高さ262mの超高層ビル(オフィス・住宅)
・最大7000人を収容できる多目的ホール
・総事業費1810億円、2029年度完成予定

計画変更の理由

計画変更の理由には様々あるのだろうが、大きな要因は建築コストの高騰だろう。計画発表当時、1810億円と見込まれていた事業費は、2024年1月時点で2639億円へと膨張。さらに同年9月、施工を担当する清水建設が900億円超の追加費用が必要であると見積もりを提出した。これにより、総事業費は3500億円を超える可能性が浮上し、29年度中の完成も困難になった。

計画変更の背景:コスト高騰について

 

資材価格の高騰

ウクライナ情勢の影響や円安による輸入コストの増加が、資材価格の高騰を引き起こしていることが考えられる。日本建設業連合会のデータによると、2021年から2024年にかけて、鉄鋼価格は約1.7倍に上昇し、セメント価格も約1.5倍、さらにアルミニウム価格は約1.8倍にまで高騰している。これにより、建築資材全体のコストが大幅に上昇し、再開発計画に大きな影響を及ぼしている。特に、鉄鋼の価格上昇は超高層ビルの建設コストを大きく押し上げ、予算の見直しを迫る要因の一つとなっている。また、コンクリートの主要材料であるセメントの価格高騰は、基礎工事や構造部分の費用増大につながり、計画全体のコストに影響を与えている。アルミニウムの価格上昇も、建物の外装や窓枠などに使用される資材のコストを増加させ、追加のコスト負担を生んでいる。こうした資材費の高騰は、建設業界全体にとって深刻な問題となっており、今後も価格の動向が注視される状況が続いている。

人件費の上昇と人手不足

2021年時点では建築費の上昇を一定程度見込んでいたものの、予測を大きく上回る形でコストが膨らんでいる。国土交通省によると、東京都の建築費水準は2021年から2023年のわずか2年間で約1.5倍に上昇しており、今後も上昇傾向が続く可能性がある。

再開発の採算性問題

コロナ禍を経てオフィス需要が減少していることも、計画変更の要因の一つだろう。オフィスビル仲介会社の三鬼商事によると、東京都心のオフィス空室率は2019年1月時点の1.82%から、2025年1月には3.83%に増加。賃料も下落傾向にある。これにより、当初計画の収益性が疑問視されることとなった。

新たな計画案の行方

急激なコスト増と採算性の問題を受け、施行予定者は2025年1月に計画の大幅な変更を提案した。しかし、住宅部分を増やすことで収益改善を図る案には、中野区議会や住民の間で賛否が分かれている。

住民の間では、中野サンプラザの解体に反対する声が根強く、「改修すれば利用を継続できるのではないか」との意見も聞かれる。一方で、多目的ホールについては「後列の視認性が悪くなる」との設計面での懸念も挙げられている。

また、マンション建設に伴う人口増加により、子育て環境への影響を懸念する声もある。「学童施設や保育所の整備が必要」との要望が寄せられており、住環境の変化に対する関心も高まっているようだ。さらに、再開発の進め方に関して「区民の意見が十分に反映されていない」との批判もあるようで、計画の透明性が問われている。

まとめ:中野サンプラザの未来は?

中野サンプラザ跡地の再開発は、資材費や人件費の高騰、オフィス需要の低迷などにより、計画の見直しを余儀なくされている。もともと計画されていた超高層ビルや多目的ホールの建設は、採算性や住民の意見を考慮しながら変更が進められているが、依然として不透明な部分が多い。

住民の間では、シンボルとしての中野サンプラザの解体に反対する声や、多目的ホールの設計への不安、子育て環境への配慮を求める意見がある一方で、住宅や商業施設の拡充を期待する声も聞かれる。また、再開発の進め方や区民の意見の反映に関する批判もあり、透明性が求められている。

今後、中野区と事業者がどのような判断を下すのか、住民の声がどこまで反映されるのかが焦点となる。中野の街の未来を左右するこのプロジェクトの行方に、引き続き注目が集まる。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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