![Google DEI 見直し](https://coki.jp/wp-content/uploads/2025/02/google-DEI-review.jpg)
Googleが、多様性・公平性・包括性(DEI)を重視した採用目標を見直すことが明らかになった。2025年1月に発足したトランプ政権がDEI政策に批判的な姿勢を示しており、その影響が企業の施策にも及んでいる。Googleの方針転換は、他の企業にも波及するのか。
GoogleのDEI施策見直しの内容
Googleは2月5日に発表した社内文書で、これまで推進してきたDEIに基づく採用目標を見直す方針を示した。同時に、2024年まで年次報告書に記載されていた「多様性、公平性、包括性をあらゆる活動の一部とする」との文言を削除した。現地の報道によるとGoogleのフィオナ・チコーニ最高人事責任者(CHRO)は、従業員向けのメモで「Googleは連邦政府の請負業者として、大統領令や最近の裁判所の判決に準拠する必要がある」と説明したとのことだ。
これにより、Googleは少数派の採用に関する数値目標を廃止し、DEI関連プログラムを段階的に縮小する方針を明確にした。ただし、「トランスジェンダー・アット・グーグル」や「ブラック・グーグラー・ネットワーク」などの従業員グループは引き続き維持し、社内の多様性に配慮する姿勢を見せている。
DEI施策見直しの背景はトランプ政権の影響
Googleの方針転換の背景には、2025年1月に発足したトランプ政権の政策がある。トランプ大統領は、DEIプログラムが白人男性に対して逆差別を助長すると批判しており、政府機関や請負企業に対し、DEI関連施策を縮小するよう圧力をかけている。先月には、トランプ政権がDEIプログラムを違法とする大統領令に署名した。
また、2023年には米国最高裁が大学入試におけるアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を無効とする判決を下しており、これを受けて企業がDEI政策の見直しを進めている状況だ。Googleのほか、Meta(旧:Facebook)やAmazonなどの大手IT企業も、DEIプログラムの縮小を進めている。
GoogleのDEI施策見直しが企業戦略に与える影響
Googleは2009年に初めてDEI目標を導入し、2020年のブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動の高まりを受けて、マイノリティのリーダーシップの割合を30%増やす目標を掲げた。2022年にはこの目標を達成したが、今回の方針転換により、今後は数値目標を設定しない方針となる。
Googleの広報担当者は、「すべての従業員が成功し、平等な機会を得られる職場環境を作ることに注力しており、過去1年間の見直しを経て、年次報告書の表現を変更した」と述べている。今後はDEI施策を続けるものの、特定のグループに対する優遇措置は取らないとみられる。
DEI施策見直しの影響と今後の展望
Googleの決定は、米国企業全体のDEI施策に影響を及ぼす可能性がある。企業の採用方針がDEIに基づかなくなることで、多様性の確保が後退する懸念がある。一方で、一部の企業は、政府の方針に影響されない独自の多様性戦略を継続する可能性もある。
DEIの未来については意見が分かれる。保守派は、DEIが企業経営の効率を下げ、逆差別を助長すると主張する。一方で、多様性が企業の競争力を高めるという見方も根強く、多国籍企業やグローバル市場を重視する企業では、引き続きDEI施策を維持する可能性がある。
今後の焦点は、Googleがどのように新たな採用方針を運用し、企業文化を維持するかにある。また、他の大手企業がGoogleに追随するのか、それとも独自の道を歩むのかも注目される。
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