スターバックス コーヒー ジャパンは、2月15日から「立地別価格」を導入する。全国約3割の店舗でコーヒーなどの定番メニューを値上げする一方、一部のカスタマイズ料金を無料化する。価格改定の背景には、地域ごとのコスト格差があるとみられ、今後の外食業界の価格戦略にも影響を与えそうだ。
全国3割の店舗で値上げ 最大6%の引き上げ
スターバックス コーヒー ジャパンは、全国1,991店舗(2024年12月末現在)のうち約3割にあたる約600店舗で、立地に応じた価格改定を行うと発表した。今回の値上げ対象は、東京23区や大阪市など都市部の一部店舗、さらに空港や高速道路のサービスエリアにある店舗だ。
これらの店舗は、「特定立地価格A」と「特定立地価格B」と分類され、それぞれ値上げ幅が設定される。
- 「特定立地価格A」(サービスエリア・空港など)… 税抜き13~32円(約6%)値上げ
- 「特定立地価格B」(東京23区や大阪市内など)… 税抜き4~28円(約4%)値上げ
例えば、トールサイズのドリップコーヒーは、都心部では420円から440円に、空港店舗では445円になる。一方、価格改定の対象外となる約7割の店舗は現行価格を維持する。
値上げの背景 コスト上昇と価格戦略
スターバックスが立地別価格を導入する背景には、店舗ごとの運営コストの違いがあると考えられる。都市部や空港、高速道路のサービスエリアでは地価や人件費が高騰しており、価格設定を柔軟にする必要があるためだ。同社は「定期的な価格見直しの一環であり、立地や商圏の特性を踏まえた判断」と説明している。
カスタマイズ無料化も ソイミルク変更が0円に
一方で、スターバックスはソイミルク(豆乳)への変更を全店で無料化すると発表した。これまで55円(店内飲食時)かかっていたが、2月15日以降は追加料金なしで選べる。今後はアーモンドミルクやオーツミルクについても、調達状況を踏まえ無料化を検討するという。
さらに、ドリップコーヒーの2杯目を特別価格で提供する「One More Coffee」や、チョコチップなどのトッピングによるカスタマイズ料金は据え置かれる。
海外ではすでに導入、日本でも広がるか?
スターバックスの立地別価格は、日本国内では初めての試みだが、海外ではすでに導入例がある。特に北米市場では、地域ごとの需要やコストに応じた価格設定を行っており、こうした動きが日本でも加速する可能性がある。
スターバックスは2022年以降、4年連続で価格改定を実施しており、外食業界全体で価格戦略の多様化が進む中、消費者の反応が注目される。加えて、スターバックスは国内市場の競争が激化する中で、地域ごとの戦略を見直し、より柔軟な価格体系を構築することで収益性の向上を図る狙いがある。
また、環境意識の高まりにも対応し、植物性ミルクの無料化など、消費者の多様なニーズに応える施策も展開している。
今回の価格改定は、単なる値上げではなく、ブランドとしての価値を維持しながら顧客満足度を向上させる一手となるか、今後の動向が注目される。
【参照】
- 2025年2月15日(土)からの商品価格の取り組みについて -(スターバックス)
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