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2024年訪日外国人数が過去最高、観光業の今後を探る

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渋谷 フリー画像
pixabayより

2024年の訪日外国人数は過去最多の3687万人を記録し、消費額も8.1兆円と史上最高を更新した。
観光業の好調が示される一方で、地方分散や受け入れ体制強化など課題も浮き彫りとなった。

 

記録的な訪日外国人数と消費額の増加

観光庁のインバウンド消費動向調査によると、2024年、日本を訪れた外国人旅行者数は3686万9900人と過去最多を記録した。これは、コロナ禍前の2019年に記録した3188万人を約500万人上回る数値で、15%の増加を達成した形となる。

同年の訪日外国人による国内消費額も8兆1395億円に上り、これも過去最高であった。前年比では53.4%増加、2019年比では69.2%増加と大幅な伸びを見せており、日本の観光業界の勢いを示している。1人当たりの旅行消費額も22万7000円と、前年比6.8%増加している。

主な訪日外国人の国・地域別動向

観光庁の調査結果によれば、国・地域別の消費額では、中国が1兆7335億円(全体の21.3%)でトップとなった。次いで台湾が1兆936億円(13.4%)、韓国が9632億円(11.8%)、アメリカが9021億円(11.1%)、香港が6584億円(8.1%)と続いている。

これら上位5カ国・地域で全体の消費額の65.7%を占めた形だ。

観光庁 インバウンド消費動向調査
観光庁 インバウンド消費動向調査より

また、支出額の傾向を見ると、欧米豪からの観光客の1人当たりの支出が際立って高かった。
イギリスは平均38万3000円、オーストラリアは38万2000円、スペインは37万円で、特に宿泊費や娯楽費用が大きな割合を占めた。一方、訪日外国人数が最も多かった韓国(881万人)は1人当たり約11万円と比較的低い水準にとどまった。

観光庁 インバウンド消費動向調査
観光庁 インバウンド消費動向調査より

背景要因―需要増加と回復

この記録的な増加の背景には、複数の要因が絡んでいる。

コロナ禍を経て訪日需要が急速に回復したことが挙げられるほか、桜や紅葉といった季節ごとの魅力ある観光資源や地域文化が外国人旅行者の関心を集めたことが大きい。観光庁の分析によれば、東アジアを中心に観光客が増加する一方で、欧米豪や中東からの旅行者数も着実に増え、多様化が進んでいる。

さらに、円安の影響も顕著である。

2024年の間、日本円が他国通貨に対して相対的に安い水準にあったことで、日本国内での消費がお得感のあるものとして捉えられたことが、旅行需要を後押しした。特に、買い物代の構成比が29.5%と高い中国からの旅行者にとって、円安は購買意欲を刺激した要因の一つといえる。

課題と対策への展望

一方で、急増する訪日外国人旅行者の受け入れにはさまざまな課題が存在する。

特に、訪問先が東京、名古屋、大阪の三大都市圏に集中しており、地方への分散化が求められている。観光庁の調査によれば、三大都市圏に宿泊する外国人旅行者は全体の68%を占め、コロナ禍前よりも集中傾向が強まった。

政府はこれを受け、地方への誘客を目的としたモデル観光地の選定や、地域独自の文化体験ツアーの開発を進めている。例えば長野県と岐阜県の「松本・高山エリア」や鳥取・島根エリアでは、高付加価値の観光商品が提供され、成果を上げつつある。さらに、京都市では混雑緩和のため「観光特急バス」を導入するなど、オーバーツーリズム対策も徐々に進められている。

宿泊業界でも人手不足が深刻な問題となっており、高山市の旅館では外国人労働者を受け入れ、業務効率を改善する取り組みが進められている。

観光業の成長を維持するためには、受け入れ環境の整備と持続可能な観光の実現が鍵となるだろう。

参照:インバウンド消費動向調査(観光庁)

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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