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齋藤元彦知事、折田楓氏のmeruchuに70万円支払い 公選法違反の可能性は?見えてきた落としどころ

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兵庫県庁HP
兵庫県庁 HPより。

齋藤元彦兵庫県知事のPR会社との公職選挙法違反疑惑の件で進捗があった。
22日、斎藤知事の代理人弁護士が「公選法に抵触する事実はない」とコメントを発表したのは既報の通りだが、25日、具体的な支払い金額が明らかになったようだ。

折田楓氏とPR会社「meruchu」との関係の整理

兵庫県知事選挙で再選を果たした斎藤元彦知事の選挙活動をめぐり、SNS戦略の展開に大きな役割を果たしたとされるPR会社「meruchu(メルチュ)」との取引が注目を集めている。このPR会社の代表である折田楓氏が自身の役割をSNSに投稿したことをきっかけに、公職選挙法違反や収賄罪の可能性が議論される事態となった。

齋藤知事側は、選挙活動に関連する「ポスター制作費」や「スライド制作費」といった名目で、PR会社に70万円を支払ったことを認めているが、SNS戦略の企画運営については「主体的に行ったのは斎藤事務所」と主張。折田氏については「ボランティアとして参加した」として、違法性を否定している。

支払われた70万円、その内訳は?

斎藤知事が公表した70万円の具体的な内訳は以下の通りだ。

メインビジュアル企画・制作:10万円
チラシのデザイン:15万円
ポスター・デザイン制作:5万円
公約スライド制作:30万円
選挙公報デザイン制作:5万円

この内訳については、「極めて常識的な金額」との見方もある。公職選挙法で禁止される「買収」に該当するかどうかは、これら支払いが選挙運動の主体的な企画運営に対する対価であるかどうかが焦点となる。

公選法違反の可能性は?

識者の見解によれば、選挙運動に関与した企業に報酬を支払うこと自体が即違法となるわけではない。ただし、選挙運動の企画や立案に主体的に関わった場合に報酬が発生すると、公選法で禁止されている「買収」に該当する可能性があるとしている。

今回のケースでは、PR会社が選挙運動にどの程度深く関与したのかが争点となる。選挙カー上での撮影や動画配信、SNS戦略の企画運営について、齊藤知事側は「meruchu代表はボランティアとして参加した」と説明しており、70万円の支払いはあくまで「制作費」だとしている。

一方、折田楓氏のnoteでの投稿には、兵庫県知事選挙における齋藤元彦陣営の広報戦略を担っていたことを開示。そもそも、今回の炎上劇の発端は、具体的な施策の数々まで、これでもかと丁寧に解説した記事を公開したことによるものだった。また、SNS上には齋藤元彦知事の選挙戦の過去動画をあさる過程で、スマホを知事に向ける折田楓氏が映り込んだ動画が何件も見つかり、投稿されている。この献身的な姿を「制作費」の範疇として捉えることはできるのか。

折田楓氏が騒動後に沈黙を貫いている以上、両者の主張は異なるままだが、はたして真相はいかに?

収賄罪の可能性にも議論

今回の取引が収賄罪に該当する可能性についても議論が挙がっている。背景として、齊藤知事側がPR会社に対して選挙後に何らかの便宜を図る意図があったのではないかという疑念が指摘されている。

TBS系「ゴゴスマ~GOGO Smile~」に出演した、元宮崎県知事の東国原英夫氏は、「PR会社の社長が『また一緒に仕事をしましょう』と投稿することで、選挙支援が後の発注につながる意図を示唆しているようにも見える」とし、疑念を払拭するための透明性の確保を訴えた。

一方で国際弁護士の清原博氏は、「無償で選挙運動に関与すること自体は公選法違反にはならない」としながらも、「もし裏取引や利害関係があった場合には収賄罪の可能性も議論の対象になる」と指摘。現時点では具体的な証拠がないため、違法性を断定するのは時期尚早だという見解を示している。

公選法の曖昧さとリスク

公職選挙法は風営法と同じで、解釈の幅が広く、ケースによって異なる判断がされるため、違法性の有無を巡る議論が複雑化しやすい法律だとされる。今回の事例でも、選挙活動に関する報酬の性質やPR会社との関係性がどのように認識されるかが重要なポイントになる。

清原弁護士は、「公選法を巡る解釈は裁判所による判断に左右されるため、無意識のうちに法律違反となるリスクがある」と警鐘を鳴らしている。加えて、「背景情報や契約内容を透明にしない限り、捜査が入る可能性を否定できない」と指摘している。

今後の注目点と落としどころ

齋藤知事側は70万円の支払いが「合法的な範囲内」であると主張しているが、具体的な契約内容や業務の範囲についてさらなる説明が求められる状況だ。また、捜査機関がこの問題にどのように対応するのかも注目される。

選挙活動における費用の透明性や、PR会社との契約内容の公開がどこまで進むかによって、今後の議論の方向性が大きく変わる可能性がある。

ただ、齋藤知事は選挙を管理する団体である元総務官僚であり、当然公選法についても熟知しているものと思われ、事前収賄罪にあたるような「仕事の便宜」の話が仮に両者の間で口頭でされていたとしても、証拠を残すようなことをしているとは思いにくい。そもそも、齋藤氏が再選できる可能性は選挙開始当初は殆どなかったため、事前収賄罪というのも難しいと思われる。

ここにきて、70万円という現実的な数字が見えたことで、話の落としどころが見えてきたのではないか。

雲隠れしている折田楓氏が齋藤氏と口裏を合わせる形で制作の適正な支払いを受け、「ボランティアだった」ことを公表するタイミングも近いと思われる。おそらく、その先も今回のブログ事件が政争の具として活用され、調査は続くだろうが、失職・逮捕などまではいかないのではないだろうか。

もう一つ。22日の初報の段階では、折田楓氏はInstagramやFacebookなどの投稿を公開し続けていたが、25日ついに投稿は非公開となったことを確認した。バーキンなどをはじめ、ハイブランドに身を包み、優雅な生活をおくっていることが「キラキラ広報」として、今回の炎上劇にくべる薪としてはこれ以上ない良質な薪として機能してしまっていたが、何より問題だったのは実家の特定などが容易だったことだろう。
教訓として、このような炎上劇の際は、個人情報などの非公開化は即時実行すべきということだろう。

さて、折田楓氏にとっては今回の炎上劇は手痛い失敗だったわけで、いまだ暗中模索だろうが、光芒が見えてきたといったところだろうか。

今回の炎上劇によって県政の停滞の不利益を被るのは兵庫県民たちである。アンチ齋藤派にしてみれば、いまも納得のいかない人たちは多いだろう。

一方で、齋藤元彦知事に投じた多数の民意もある。そうした多くの人たちが期待するのは県政の正常化に他ならない。調査は進めなければならないだろうが、そろそろ正常運転を考えださなければならないタイミングも近いと思われる。

騒動の発端となった折田楓氏のmeruchuに関する記事はこちらから

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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