
すすきのに「世界一きれいな歓楽街」を掲げるクリーン革命が始まった。札幌市の環境機器メーカー・株式会社エルコム(本社・札幌市、代表取締役社長:相馬嵩央)が、IoT技術を活用したごみ箱「Reebo(リーボ)」を活用し、一般社団法人北海道海洋文化フォーラムと連携して海洋ごみ削減に向けたプロジェクトを立ち上げた。
ごみの街から、誇れる街へ。すすきのが環境先進地に
国内有数の歓楽街・すすきのでは、近年のインバウンド需要の高まりとともに、街頭ごみの量が急増している。川に囲まれた地理的特性上、街中に放置されたごみは雨などで河川を通じて海へと流れ込む恐れがあり、これが深刻な海洋汚染を引き起こしている。
こうした課題に警鐘を鳴らし、「街も海もクリーンに!」という理念のもとに始動したのが、『SUSUKINO CLEAN OCEAN PROJECT』である。
本プロジェクトは、日本財団が推進する海洋ごみ対策「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環として行われ、札幌市中央区の2か所(COCONO SUSUKINOおよびAOAO SAPPORO)に、エルコム製のスマートごみ箱が設置された。
IoTスマートごみ箱「Reebo」で“ごみ箱が資源の箱に”

プロジェクトの中核を担うのは、エルコムが開発したIoTスマートごみ箱「Reebo(リーボ)」だ。リーボはごみを自動で圧縮する機能を備え、通常の約4倍の容量を誇る。さらに、内部センサーによりごみの蓄積状況を遠隔監視し、満杯になると自動で通知が送信される。
今回は、ペットボトル回収センサーやボトルキャップ専用の回収箱も一体化させ、再資源化を前提とした「リサイクル回収ボックス」としてアップグレードされた。これにより、観光客や市民が日常的に“環境に配慮した行動”を実践できるインフラが整備されたことになる。
回収キャップは「幸運のチャーム」にアップサイクル
このリサイクル回収ボックスで集められたペットボトルキャップは、エルコムの自社施設にて破砕・洗浄・成形され、フィッシュフック型チャームへとアップサイクルされる。
このチャームは、ボトルキーパーとして日常的に使用可能なアイテムであり、「幸運を釣り上げる」「チャンスを逃さない」といった意味が込められている。単なるリサイクルではなく、“物語性”のあるプロダクトに昇華させる点も、同プロジェクトの特筆すべき魅力である。
「酒場詩人」吉田類氏も参加、市民とつくるすすきのの未来
環境活動と地域文化の融合も、今回の取り組みの重要な柱だ。プロジェクトでは、TVなどで知られる「酒場詩人」吉田類氏をサポーターに迎え、「夜の街」で「昼にごみ拾いを行う」というユニークなイベントも企画された。
初回の市民清掃イベントは2025年8月24日(日)に開催予定で、先着150名がCOCONO SUSUKINOの特設会場に集結する。応募は特設フォーム(https://www.hbc.co.jp/tv/susukino_clean/)を通じて受け付けられている。
このようなユニークな参加型アクションにより、すすきのの街並みと海の未来を守る“文化”が市民とともに育まれていく構図が描かれている。
技術と理念で社会課題を解決するエルコムの挑戦
エルコムは、2007年から日本沿岸に漂着するプラスチックごみの資源化・エネルギー化に取り組み、2021年には28社とともに「クリーンオーシャンプロジェクト」を発足。今回のプロジェクトもその一環として展開される。
また、同社は2021年に「第5回ジャパンSDGsアワード特別賞」を受賞し、2022年には環境省の「脱炭素先行地域連携企業」に選定されるなど、環境領域において高い評価を得てきた。
「Improving the future〜次世代の未来をつくる」を社是とするエルコムの挑戦は、すすきのという都市型観光地を舞台に、身近な行動の積み重ねが海を守る未来につながることを体現している。