2033年に開催予定の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP38)の横浜誘致構想が水面下で進んでいる。横浜市内の起業家や国会議員、地方議員有志らが中心となり、実現を目指している。構想の中心人物の一人、ソーラークルー(横浜市磯子区)の河原勇輝社長は「COP誘致を通じて、環境問題を多くの市民に『わが事』として捉えてもらいたい」と語る。
この構想は当初、2023年のCOP28誘致を目指していたが、現在は2033年のCOP38に目標を定めている。「SDGs未来都市」に選定され、2050年までの脱炭素化を掲げる横浜市も誘致に前向きだ。
自民党の草間剛衆議院議員は、市議時代から市議会でCOP誘致の必要性を訴えてきた。山中竹春市長も「市の取り組みを世界に発信し、プレゼンス(存在感)を示す大きなチャンス」と述べ、誘致に意欲を示していることが神奈川新聞の報道でわかった。
誘致構想に期待高まる一方、課題も
COP誘致構想への期待が高まる一方で、課題も指摘されている。国際政治の場において、日本は資金提供国としての役割を求められる傾向がある。「意見を言わず、資金だけ出せば良い」という見方もあり、COP誘致によって資金負担が増加する可能性も懸念されている。COP開催によって、日本に不利な決定を強いられる可能性もある。
市民の関心高めることが鍵
COP誘致実現のためには、市民の関心を高めることが重要となる。河原社長が語るように、環境問題を「わが事」として捉える意識を醸成し、市民レベルでの機運を高める必要がある。誘致構想の推進者らは、今後、市民への啓発活動などを積極的に展開していく方針だ。
COP誘致は横浜市の環境政策を世界に発信する絶好の機会となる可能性を秘めているが、同時に国際的な責任も伴う。誘致実現のためには、メリットとデメリットを慎重に検討し、市民の理解を得ることが不可欠となる。