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株式会社伊東商会

https://www.itnet.co.jp/

東京都中央区京橋3-1-1 東京スクエアガーデン6階

伝統と革新の融合:伊東商会が描く未来への軌跡

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
ステークホルダーVOICE 社員・家族
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伊東商会 伊東裕社長

創業1953年と70年以上の歴史を持つ伊東商会(東京・中央)は、モノとモノ、人と人、企業と企業、アイデアとアイデアを結び組み合わせることで新たな価値を創造することをミッションに掲げています。

また、日本のモノづくり現場の課題解決やソリューション提案に注力し、そのユニークな企業風土が近年注目を集めてもいる会社です。さらに、社員の64%が女性で、管理職の約半数も女性という従来の産業機械専門商社のイメージを一新することにも成功している会社です。

歴史ある日本企業でありながら、約10年前から変革を遂げてきたその背景にはどのような戦略と努力があったのでしょうか。

伊東商会は、2024年7月末時点で、従業員117名のうち64%が女性社員であり、管理職においても約半数が女性です(上位管理職74%、管理職45%)。これは、男性中心の企業文化が根強い専門商社業界において、異色の存在と言えます。 

この異色の風土が生まれた背景には、現社長の伊東裕さんが2012年に副社長として会社に参画したことが影響しています。伊東さんは、大手電機メーカーや機械メーカーを経て、米国コロンビア大学経営大学院でMBAを取得した後、伊東商会に参画しました。

当時の伊東商会は、「長きに渡り仕入先パートナー、歴代の先輩方が築いたビジネス基盤がある」「営業は男性、バックオフィスは女性」という固定概念を持つ伝統的な日本型企業のようだったそうです。伊東さんは、会社が長年培ってきた経験や誇りを大切にしつつも、従来のやり方を続けるだけではなく、資産をもとに進化し続けることが必要だと感じたそうです。

新しい価値創造への挑戦

「私のスタート地点は、伊東商会は何のために存在しているのか?お客様、働いている皆さん、これから仲間になる皆さんにとって会社はどういう価値があるのか?と考えることからはじまりました」と力強く語る伊東さん。

伊東商会 伊東裕社長

「そう考えたときに、企業理念でもあるミッション・ステートメント『新しい組み合わせによるお客様への価値創造』が生まれました。そして、社員の皆さんに対しては、新しい自分を発見する体験『自分はこういうことができるんだ』『こういう面があったんだ』と感じることができる、発展的な誇りを持てる組織にしたいと思うようになりました」(伊東さん)

こうして生まれた企業理念は、会社全体の行動指針となっています。具体的には3つのステートメントで表現されています。

・ミッション・ステートメント:新しい組み合わせによるお客様への価値創造
・バリュー・ステートメント:社員及び関わる人すべてがワクワクする組織
・ビジョン・ステートメント:うごくものを通して世の中を良くする

多様性が生み出す価値

「また、企業理念のミッション・ステートメントである新しい組み合わせによるお客様への価値創造を愚直に取り組んで実現したいと考えました。そのためには、働く人材の多様性が必要不可欠。多様なバックグラウンドを持つ人材同士がコミュニケーションを図り、共にチャレンジしていく環境を醸成していきたかったのです」(伊東さん)

このように考えるや伊東さんは、多様性がもたらす価値を理解し、互いを尊重することを前提に、性別・国籍・文理・若手ベテラン・経験などの違いを問わないという企業理念に通じる採用を開始しました。

現在、伊東商会は、多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組んだ結果、5か国からの社員が在籍しています。それぞれのメンバーが異なるバックグラウンドを持ち、実際に会社にとって革新的なアイデアや新しい視点をもたらしてくれているそうです。

革新への道

 変革当時の様子をクライアントパートナーシップ部東日本エリア3エリアマネージャーの菊池さんはこのように話します。

伊東商会 菊池マネージャー

「思い返せば、古いビルに入っていた事務所をきれいなオフィスに移転し、インフラを整備し、パソコンをみんなノートパソコンに変更したりしていました。さらに、フリーアドレスを導入しました。環境を大きく変えたことは効果的だったと感じています。改革は口で言うだけでは難しく、やはり環境を変えたことで変化していけたと思っています」(菊池さん)

当時、会社の改革に自ら先頭に立って取り組んだ人材組織開発室 室長であり、現在はソリューション営業部 部長 前田さん。

伊東商会 前田さん

「当時の伊東商会は、理想と現実のギャップが大きく、古くから在籍していた社員はそれなりに戸惑っていたと思います。そのなかで企業理念が言語化され、目指すべき組織のありたい姿が示されたことは大きかったです。何か問題が起きた時には、いつも手帳の裏表紙にある企業理念と照らし合わせ、今自分たちが解決すべきことは何なのか、を確認していたのを思い出します」(前田さん)。

企業理念の灯を継ぐ

2015年に明文化された企業理念に共鳴する人が徐々に増え、それが今日の姿に繋がっていきました。現在では、あたらしく入社した仲間に対して、企業理念を効果的に伝えるために「企業理念伝道師」という制度を導入するようになりました。企業理念伝道師は、入社後のオンボード研修の一環として実施するもので、既存社員がバトン制で担当し、企業理念について自身の思いや気に入っているところを新入社員に共有するプログラムだそうです。

企業理念にまつわる個々のストーリーが共有されることで、新入社員は多角的な視点から企業理念を理解することができます。理念がより身近で具体的なものとなることが狙いです。また、既存社員にとってもアウトプットすることで、自己成長の機会となり、企業全体の一体感を高める役割を果たしています。

「会社が掲げる理念とそれを広めるメンバーがいるからこそ、この価値が生まれると感じています」(伊東さん)。

「全員参加型」で改革を推進

また、伊東さんは改革を成功させるためには、社員一人ひとりの意識改革が不可欠だと考えていました。そこで、トップダウンではなく、社員の声を積極的に聞き取り、共に会社を作っていくという「全員参加型」の姿勢をとりました。

伊東商会 ロゴ
伊東商会の新しいロゴ(提供:伊東商会)

全員参加型の象徴的な取り組みが、2015年に誕生した新しいロゴマーク。社員投票を実施し、最終候補に残った2つの案から、社員一人ひとりが自分の意見を表明し、会社全体の意思決定に参加する機会を設けました。

「最終的に、私が推したロゴの案は落選してしまいましたが(笑)、社員が自分たちの意見を反映できる会社であることを示す、良い機会になったと思います」(伊東さん)   

また、新しく入社した中途社員が入社1か月後に役員にプレゼンをし、採択された具体案は実践まで行う「新しい仲間からの提案」という取り組みも生まれました。具体的には、入社してから感じた会社の強みや弱みを分析し、そのうえで自分自身が実行できる具体的な改善提案をする機会となっています。

この提案から生まれてプログラムとして取り入れられたのが「ヨガ瞑想time」です。人材組織開発室 の田畑さんはヨガ瞑想timeについて以下のように語ります。

伊東商会 田端さん
(提供:伊東商会)

 「当社はリモートワークを積極的に取り入れている会社ですが、多くの社員がパソコンの前に座りっぱなしでした。こうした働き方は運動不足を招きやすく、身体機能や脳の低下というリスクがあるそうです。提案した社員が、もともとヨガ講師だった自身の強みを活かせるとのことで、ヨガ瞑想timeは会社に採用されました。」(田畑さん)

現在では、定例の全社会議の休憩時間を活用して、ヨガ瞑想timeは実施されています。参加者が身体を動かし、リフレッシュする時間となっています。実際によく参加するというコーポレート部 CSR・内部統制グループ 青木さん。

伊東商会 青木さん

「全社会議のときは、長時間座りっぱなしなので、ヨガをすることでリフレッシュできます。 健康促進やリフレッシュ効果、ひいては業務効率向上も期待できますね。私はもともとヨガが好きなのですが、体をほぐしたくてやっています。普段ヨガをやらない方も、参加することで、腕を伸ばしたりとか、ほぐすだけでも効果が期待できるいい制度だと感じています」(青木さん)。

ステークホルダーを重視した経営を実践

また、伊東商会は、顧客、社員、取引先など、すべてのステークホルダーを大切にする経営を実践しています。そのなかでも特に力を入れているのが、顧客との長期的な信頼関係構築だそうです。

従来の顧客満足度調査では、調査結果を報告するだけで終わってしまうケースもありました。しかし、伊東商会では、調査結果を顧客と共有し、課題解決に向けた具体的なアクションプランを共に検討するようにしています。

伊東商会 伊東裕社長

「顧客満足度調査は、あくまでもスタート地点です。重要なのは、その結果をどのように生かし、顧客との関係をより良いものにしていくかです」(伊東さん)

顧客の声に真摯に耳を傾け、ニーズを的確に捉えた提案を行うことで、結果として長期的なパートナーシップを築き上げることに成功するようになりました。この具体的なアクションプランを共に検討する取り組みは、顧客からも高く評価されており、実際に取引先の増加にも繋がっているそうです。

今後の展望

伊東商会は、今後もステークホルダーを重視した経営を継続し、社員一人ひとりが働きがいを感じながら、顧客に最高のサービスを提供できる企業を目指していくそうです。

「私たちは、『ベストバージョンな自分になる』と、伊東商会での経験や体験が他の場所では得られない貴重なものになることを目指す」  と、伊東さんは力強く語ります。

「私たちは、『お客様より先に失敗しよう』という精神で取り組んでいます。新しい挑戦を恐れず、失敗から学ぶことを大切にしています。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の取り組みにおいても、私たちはお客様より先に行動し、さまざまな試行錯誤を重ねてノウハウを蓄積してきました。だからこそ、『私たちは先に試して、失敗を重ねたから成功に導けるのです』と自信を持って言えます」(伊東さん)

「お客様が安心して新しい技術や方法を採用できるよう、私たちは常に先陣を切って挑戦し、経験を積み重ねていきたいと考えています」(伊東さん)

社員一人ひとりの個性と能力を最大限に引き出し、多様性あふれる組織づくりを進めることで、伊東商会は100年企業という大きな目標に向かって、力強く歩みを進めていくでしょう。

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