企業や団体におけるサステナビリティの追求として、SDGs達成に向けた事業や取り組みをアピールするケースが増えてきました。実際にSDGsへの取り組みを行うとなると、どの目標に向けてどのような施策を企画したら良いか悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。
cokiでは、皆さまのSX(サステナビリティトランスフォーメーション)のお役に立つべく、SDGsに対して積極的な企業の取り組みをピックアップしてご紹介しております。
今回取り上げる事例は、富士フイルム株式会社、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の持株会社である富士フイルムホールディングス株式会社です。
その取り組みは国際的にも高く評価され、CDPの「水セキュリティ2021 Aリスト」企業に2年連続で選定されています。本ページをご参考に、事業におけるサステナビリティ、SDGsに関する活動を進めるヒントにしていただければ幸いです。
SDGsについては、“ 「SDGs」と「サステナブル」の意味|私たちはなぜSDGsに取り組む必要があるのか ”を、ご覧ください。
富士フイルムホールディングス株式会社のSDGsへの取り組み
- 富士フイルムホールディングス株式会社(FUJIFILM Holdings Corporation)
- 業種:精密化学メーカー
- 創立:1934年1月20日
- 従業員数:73,275名(連結・2021年3月31日現在)
- 参照公式サイト:https://holdings.fujifilm.com/ja
富士フイルムグループは、持ち株会社体制となった2006年にグループとしての企業理念とビジョンを制定。写真フィルムは、製造時に「大量の清浄な水と空気」が不可欠です。2014年には、コーポレートスローガン「Value from Innovation」を制定し、その下で、“事業を通じた社会課題の解決”を目指して推進するCSR計画「Sustainable Value Plan (サステナブル・バリュー・プラン)2030(SVP2030)」を打ち立てています。SVP2030は、国際的な社会課題の目標(パリ協定、SDGsなど)の基準年である2030年をターゲット年度としているのが特徴です。以下の6つのカテゴリについて、15の重点課題を設定しています。
- SVP2030 重点課題
- 環境
- 健康
- 生活
- サプライチェーン
- ガバナンス
富士フイルムでは、SVP2030に基づいてSDGsへの貢献を目指します。それぞれの指針にどのSDGsの目標が関連しているかは、公式サイトをご覧ください。ここでは取り組み事例をいくつかピックアップして見ていきましょう。
※取り組み事例の中には、複数の目標にまたがる取り組みもありますが、代表的な目標を掲げて記載しています。
目標6「安全な水とトイレを世界中に」への取り組み
目標6の ゴール は「全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」です。
「CDP水セキュリティ2021 Aリスト」企業に選定されている富士フイルムでは、創業当初から効率的な水使用や自社工場内での廃水浄化など、環境に配慮した水資源保全に取り組んできました。
例えば、富士フイルムワコーケミカル平塚工場では廃水浄化システムを導入し、廃水を浄化して設備冷却水として再利用。年間30,000トンの水投入量削減を達成しています。また、ブラジルのアルジャ工場では水投入量を減らすために、2019年から雨水の回収利用を開始。年間60トンの雨水を製造用水として活用しています。
フィルムは、製造のために大量の水が必要です。そのため、地域別に水の使用量に応じた事業影響度を元に、水リスクを評価する独自のマップを作成し、水リスク管理を強化。さらに水使用量ゼロを実現する製品・サービスを開発するとともに、植林活動や水源涵養林整備など、地域社会と一体となった水資源保全活動を推進しています。
目標12「つくる責任つかう責任」への取り組み
目標12の ゴール は「持続可能な生産消費形態を確保する」です。
現在盛んに「DX」が言われていますが、大容量データのバックアップやアーカイブにはその分電力を消費します。
富士フイルムでは、大容量データのバックアップやアーカイブに最適な磁気テープストレージメディアの製作も行っており、より頑健、かつ環境負荷の低減する製品を開発しています。2021年9月には従来比1.5倍の大容量データを低コストで安全に長期保管できるだけでなくデータ保管において発生するCO2の排出量を95%削減できる「FUJIFILM LTO Ultrium9 データカートリッジ」を発売しました。
製品開発においても、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を考慮し、もともと廃棄物が少なく製造時の廃棄物を削減できる製品の開発にも取り組んでいます。
目標13「気候変動に具体的な対策を」への取り組み
目標13の ゴール は「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」です。
富士フイルムでは、2040年度までにカーボンゼロ(自社が使用するエネルギー起因のCO2排出を実質的にゼロとすること)を表明しています。それに向けて「Green Value Climate Strategy」を新たに策定。原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの自社製品のライフサイクル全体において、2030年度までにCO2排出量を50%削減するものです。
これを目指し、「カーボンニュートラルモデル工場」をモデル工場として制定。事業場で水素や合成メタンなどのCO2排出を伴わない燃料の導入と実装を推進しています。また、自社製品の中で環境負荷を低減する製品・サービスを「Green Value Products」とし、166製品を認定しています。
さらに、新拠点の地域を選定する際もCO2排出量を考慮。バイオ医薬品の大型製造サイト親切については、供給に空輸を伴う欧州製造拠点ではなく、原薬製造から製剤・包装までワンサイト・ワンストップでの受託が可能な米国ノースカロライナ州を選定しました。
また、脱炭素化社会を見据えた事業運営のため、これまでリスク評価の手法として取り入れていたインターナルカーボンプライシング(社内炭素価格)を、投資判断の一つの指標として本格的に導入しました。これにより将来的な炭素価格や排出権価格による財務影響を投資判断に反映しています。
SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」への取組事例~cokiの記事より
coki では、サステナビリティについて考え、実際に取り組んでいる様々な団体・企業への取材を行っています。今回は SDGsの目標SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」への取組事例~cokiの記事より について、さまざまな視点で取り組む方々の記事をピックアップしました。ぜひご覧ください。
株式会社ダイドーハント肌勢宜記|企業は環境適応業 社会課題解決が新規事業の条件
株式会社ダイドーハントは、1939年の創業以来、時代の変化に適応した事業を展開し、時には業態も変えながら成長を続けてきました。今回は、ダイドーハント 代表取締役 肌勢宜記さんと、新規事業開発部 梶原さんに、新規事業への取り組みや、ステークホルダーへの向き合い方について話を伺いました。
通信・医療など先端テクノロジーで持続可能な社会づくりに貢献する126年カンパニー アンリツ株式会社
アンリツ株式会社は、1895(明治28)年に創業。現在は、スマホの開発・製造に欠かせない通信用計測器や食品・医薬品の品質保証用検査機器などを開発・製造し、幅広い分野で安全・安心で快適な社会づくりを支えています。事業活動を通じた持続可能な社会への貢献だけではなく、地域貢献にも意欲的な同社にお話を伺いました。
参照: coki
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