2021年11月24日に、グリーン購入ネットワーク(事務局:東京都千代田区 会長:梅田靖)において「持続可能な調達」を通じて、グリーン市場の拡大に貢献した取り組みや SDGs の目標達成に寄与する取り組みを表彰する「第 22 回グリーン購入大賞」の発表が行われました。
グリーン購入とは:製品やサービスを購入する際に、環境を考慮して、必要性をよく考え、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入すること |
今回は、大賞・環境大臣賞を受賞した株式会社キミカは、本賞だけでなく、2021年「環境省グッドライフアワード」で「環境大臣賞 優秀賞」、2020 年の「ジャパンSDGsアワードに」おいても特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞するなど、事業そのものがサステナビリティへの取り組みであると高く評価されています。そこで今回は、株式会社キミカが取り組むサステナビリティについて、ピックアップして解説していきます。
事業そのものがサステナビリティ
株式会社キミカは、公式サイトによると、日本で唯一「アルギン酸」を製造するメーカーです。
「アルギン酸」とは、海藻のぬめり成分のこと。麺やパンにソフトな食感を与える食品添加物や、薬を錠剤を作るためなど、多様な用途があります。最近では、代替肉のプラントベースミートのつなぎや、「人工フカヒレ」の原料としても注目されている素材です。
創業のきっかけは「もったいない」
いまでこそアルギン酸のメーカーであるキミカですが、そもそもの事業のはじまりは、房総半島の浜辺に打ち上げられた海藻を見て「もったいない」と考えたことから始まったそう。
キミカがアルギン酸の原料として収集するのは、あくまで浜辺に打ち上げられた海藻です。生きた海藻は海の中で光合成をおこない、海水の浄化に大きな役割を果たします。それを刈り取ることは海洋汚染につながるからです。
現在では、チリ沿岸に自然に打ち上げられた海藻を採取しているほか、現地での海藻養殖も支援。海藻を継続的かつ安定的に買い取ることは、現地の漁民の収入を安定させるという副次効果もあったそうです。SDGsの目標1「貧困をなくそう」にも深くかかわる取り組みといえます。
電力も薬剤も用いない製造工程
アルギン酸の製造工程はとってもクリーンです。
浜辺で採取した生の海藻を乾燥させる際は、チリ北部のアカタマ砂漠に面する乾燥地帯の天日で自然乾燥。さらに乾燥地帯なのでそのまま海藻を保存できます。乾燥・保存に電力を使わないことで、環境負荷の低減だけでなく、コスト削減にもなっているのです。
また、 海藻抽出液からアルギン酸を分離する過程では、重力(比重差)を利用した浮上・沈降分離法を用い、電力も濾剤も使用せずに製造しています。
機械や化学薬品を使うことなく、分離した海藻の残渣は、ミネラルを豊富に含む良質な肥料として利用が可能。近隣農家に配布したり、チリ工場ではワイン用のブドウ栽培にも挑戦しているそうです。まさに「循環」が体現されています。
身近でできるSDGs-グリーン購入に意識を向けよう
「企業でSDGsを推進することになったけれども、何から手を付けたらよいか……」そう悩む方は「グリーン購入」から始めてみてはいかがでしょうか。
「グリーン購入」というと、難しく感じるかもしれません。しかし「買う前には、必要かどうか考える」がその第一歩です。そして、買う際には 「環境を考えて作られたものを選ぶ」ことです。例えば、原料がリサイクルされた品、詰め替えできる品、 簡易包装など捨てる時にゴミが少なくなるものが該当します。最近では、照明をLEDに変えることで電力消費を抑え、環境負荷を減らす企業も増えてきました。
また、今回取り上げた株式会社キミカのように、購入しようとしている品を作るメーカーが「どれだけサステナビリティを意識しているか」を重視して消耗品などを購入することも、立派なSDGsです。目標12「つくる責任つかう責任」目標13「気候変動に具体的な対策を」に該当します。
普段、自分たちが使っているものに目を向け「その原料はどこが作っているのだろう?」と調べてみてはいかがでしょうか。意外な発見があるかもしれませんよ。
参照:第22回グリーン購入大賞 審査結果発表~SDGsの目標達成に向けた持続可能な調達の先進的事例を表彰~
株式会社キミカ プレスリリース「グリーン購入大賞」で「大賞」と「環境大臣賞」を同時受賞
株式会社キミカ サステナビリティレポート