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マテックス株式会社

https://www.matex-glass.co.jp/

〒170-0012 東京都豊島区上池袋2-14-11

03-3916-1231

窓の専門商社 マテックスの物語-環境問題と対峙、日本の家づくりを一から問い正す

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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窓の専門商社 マテックスの松本社長

社歴91年、窓の卸売専門商社として名高いマテックスさん。年商135億、社員数250名を要する企業だが、リフォームや窓辺のプチリノベーションで有名となる今日までには様々な変遷があったという。

マテックスとは

―まず、マテックスさんがどんな会社か教えてください。

当社は建物に使う窓ガラスの卸売業を営んでおります。関東一円が営業エリアであり、東京・神奈川・埼玉・千葉を中心に山梨県の甲府や茨城県つくば市等にクライアントが広く分布しています。取り扱う商材は窓ガラスやサッシをメインに、内装に使用する床・壁・天井、外装に使用する建材も取り扱っております。

また、キッチン・バスルーム・洗面化粧台など水回りの製品も多く取り扱っております。ただ「窓ガラスの卸売業」を看板に掲げておりますとおり、当社が扱う商材のおよそ8割が窓周りの製品になっています。

―91年とはすごいですね。創業時はどのような形でスタートしたのでしょうか。

1928年5月に私の祖父 松本義雄が板橋区大山に松本硝子店を創業しました。最初は問屋ではなく、ガラス屋だったんです。創業前は、兄弟が営むガラス屋で職人として修行をしていたと聞いています。当時はちょうど、ヨーロッパからガラスが入ってきて建物に使われるようになった頃。会社の立ち上げそのものは順調だったそうですが、事業を拡大する前に第二次世界大戦に突入しました。

終戦直後は物資が停滞してなかなか大変な時代だったようですが、それを乗り越えた頃、1969年に初代が亡くなり、私の父 松本巌が28歳の若さで社長に就任しました。最初は家業的な広がりしか持たなかったそうですが、高度経済成長期からバブル経済の時期はものすごい勢いでガラスの供給が進んでいきました。その頃が右肩上がりの全盛期だったと言えるでしょう。

創業80周年で事業承継

―松本社長がマテックスに入社されたのはいつ頃ですか?

2002年、30歳の時です。幼い頃から父に「お前は長男なんだから…」とよく言われていたのですが、アメリカの大学院でMBAを取得した後、東芝に入社しました。その後先輩たちが次々と海外駐在になり、いよいよ自分の番という時期になって、「ここで海外にわたってしまうともう戻って来られないかもしれない」とためらいが生まれたんです。そこで東芝を退職する決断をして、マテックスに社長室次長という役職で合流することになりました。

同じ社長室には板ガラスメーカーで定年を迎えられた方が在籍しており、いろいろと社内のことを教わりました。併せて、もともと外部の方だったので、中立的な立場でお話を聞くことができたのが今となっては非常に良かった事だと思っています。

2007年の秋に差しかかる頃、父に「そろそろ引退しようと思う」と告げられ、翌2008年に行われた当社の80周年記念式典の際に「代替わりをする」と社内外に宣言をしました。その翌年の2009年、正式に代表取締役社長に就任しました。

住宅業界の課題と解決策

―その頃の業界はどういった状況だったのですか?窓業界は政府発表の「住宅着工統計」を読むと、新設住宅の着工件数は2006年あたりを境に急激に減少しています(※)。

そうです。人口が減少していくことを考えると、もはや住宅業界全体がシュリンクしていくことは避けられないことだと思います。事実2005年頃から、我々の業界でもいずれは新築需要が激減するだろうと予測されていました。ただ、そう頭ではわかってはいても、あの段階では多くの企業がまだまだ新築住宅を如何に建てるかに注力していました。

―ではマテックスさんが危機感をもったきっかけは?

きっかけという明確なものはないんです。ただ、人口減少や新築件数の推移を見れば、先細りしているわけで、何か手を打たなければならないことは明白でした。そこで当時は経営企画部に在籍していたのですが、これからはリフォームが注目されていくことは間違いないから準備だけでもはじめようと社員を説得して回りました。

―賛同は得られましたか?

いいえ。やはり会社ですからビジネスとしてきちんと売上を立たせることが尊ばれ、社員にしてみればリフォームを扱ってもすぐに売上に直結し辛いために評価されることはありませんから、賛同しにくいところがあったのだと思います。

―賛同が得られないなかどうしたのですか?

どうしたものかと困っていたところ、あるリフォーム会社にいる方がもうすぐ定年を迎えて引退するタイミングで会いに来てくれることになりました。「窓の業界でリフォームの開発をしたいが、どうすればいいか」と相談したところ、「じゃあ、一緒にやってみましょうか」という話になり、2006年3月からその方にマテックスに合流していただきました。

そして、同年の秋口からお客様に対してリフォームのサポートを開始したのです。

―御社とお付き合いのあったクライアントさんは、松本社長の考えにどう反応していたのですか?

はい。社内よりむしろ工務店さんや販売店さんのほうが共感いただけました。やはりエンドユーザーの方達の声を直に聞いていますから。

バブル崩壊以降、新築の家を建てることだけへの関心が徐々に薄れていたこともあると思います。建てたくても建てる余力がないということも身近で起きていて、すでに建てたものの、リフォームを手掛けるということが一定数はあったのです。ですから「自社もやってみたい」と手を上げる企業が30数社にのぼりました。感度がすごく高かったんです。

―そうなんですね。そこからすんなりと、進んだのですか?

それが現実はなかなか厳しいものがありました。当時、手を上げてくださった企業と一緒に、「自分のお店の周り5千軒を対象に8回ポスティングを行う」ことに挑戦しようとしました。先述のリフォーム会社を経験された方のノウハウで、「自分のお店の周りに8回ポスティングをすれば、効果が蓄積して結果が出てくる」という経験則があったのです。「8回」がポイントでした。

ところが、最初の1~2回は皆さん頑張ってくれるのですが、途中で「効果を感じないから」と脱落する企業さんが続出しました。「言うは易く行うは難し」とはまさにこのことですね。

―8回もポスティングするのはとても根気がいりそうです。その後効果は見られたのでしょうか?

2006年からポスティングを粘り強く続けた企業さんは、2007~2008年頃から成果が見えてきました。自分のお店のまわりでリフォームの相談を受けて窓のリフォームをやってという事例も出始めました。

「やっぱりベースづくりには2年くらいかかるんだ」と当時の社内でも話していました。やがてその取り組みが業界紙に掲載され、「うちも挑戦してみたい」と問い合わせが徐々に入るようにもなりました。

ちょうど2010年に住宅エコポイント制度ができたのも、追い風になりましたね。ありがたいことに窓のリフォームにもポイントがついたので、実質3分の1くらいの補助金が出たのです。補助金を活用して窓のリフォームをするというのがうまく合致して、業界の中でも「リフォーム事業に参入しないとまずいんじゃないか」「これを機にリフォーム商品の開発をしよう」という機運が高まってきました。

なぜ環境問題に目をむけないの?

―マテックスさんは環境問題にも熱心に取り組まれているそうですね。

窓の専門商社 マテックス 松本社長のインタビュー写真

私からすれば、「みんななぜもっと環境問題に目を向けないのだろうか」という思いです。地球温暖化も、最初は本当にそんなことが起こっているのかと懐疑的な風潮だったのが、だんだんエビデンスも出てきて異常気象という形で我々の目にも見えるようになっています。地球は人類だけのものではありませんから、自分の生きている間に環境がどう変化するか、長い時間軸を持って、一人ひとりがもっと目を向けるべきではないでしょうか。

ましてや、会社の業務として環境問題の改善に貢献ができるのであれば、「それに取り組まなければわが社の存在意義はない」。それくらいに私は思っているんですよね。環境問題だけでなく、国内ではさまざまな社会問題も起こっているので、我々が貢献できる部分についてはしっかり取り組んでいくつもりです。

―最後に、環境問題に対する取り組みを含め、今後御社がどのような方向性を目指しているのかをお聞かせください。

当社は「卸に徹する」理念をさらに深化し、先述の環境問題も踏まえ、日本の家づくりを一から問い正そうとしています。大手のハウスメーカーさんによって生産されている住宅は残念ながら気密性や断熱性のレベルが低く、窓からのエネルギーロスが非常に大きい状態が実情です。

ヒートショックなどと呼ばれる心疾患など、室温などの住環境が健康に及ぼす影響も大変大きなものであることがわかりつつあります。窓周りに関わる問屋として、この社会課題の解決に全力を尽くす必要があると考えています。

―卸の真の役割がよくわかりました。ありがとうございました。

【プロフィール】

松本 浩志(まつもと ひろし)

マテックス株式会社代表取締役社長。コロラド州立大学Fort Lewisを卒業後、サンダーバード国際経営大学院にてMBAを取得。その後東芝に入社し、DVD事業部門での海外・国内営業に従事。2002年にマテックス株式会社に社長室次長として入社。2009年に先代社長の松本巌氏より事業を承継する形で代表取締役社長に就任。以後、現職。

(※)e-Stat「建築着工統計調査」

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