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暮らしに寄り添う企業が、環境への配慮を一歩前進させた。株式会社ナック(東京都新宿)は、2025年2月19日、宅配水「クリクラ」の自社プラントである名古屋プラント(愛知県名古屋)、仙台プラント(宮城県仙台)、およびダスキン事業の第36支店(北海道札幌)において、使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えた。
これは、同社が進める脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環であり、今後も全国の拠点に展開していく方針だ。
ミツウロコグリーンエネルギー
ナックは、企業の重要課題(マテリアリティ)の一つとして「脱炭素社会の実現」を掲げ、各拠点での再生可能エネルギー導入を進めてきた。その取り組みは2024年3月のクリクラ名古屋プラントの再エネ化に始まり、2025年2月1日には仙台プラント、そして19日にはダスキン事業第36支店の切り替えを完了した。今回導入した電力は、ミツウロコグリーンエネルギー株式会社を通じて供給される。
今後、ナックは全国の営業拠点や工場においても、さらなる再生可能エネルギーの導入を加速し、持続可能なビジネスモデルの構築を進める計画だ。
“暮らしのお役立ち企業” ナックの挑戦と未来
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株式会社ナックは、1971年に創業者・西山由之(現名誉会長)がダスキンのフランチャイズ加盟店として立ち上げた企業であり、半世紀以上にわたって「暮らしのお役立ち企業」としての使命を果たしてきた。現在では清掃・レンタル事業を軸に、宅配水の「クリクラ事業」、建築コンサルティング、住宅販売、美容・健康分野まで、多岐にわたる事業を展開し、全国90万件以上の顧客とダイレクトにつながっている。
ナックの強みは、多角的な事業展開とともに、社会課題の解決を事業の根幹に据えている点にある。特に宅配水「クリクラ」は12年連続で顧客満足度No.1を獲得し、ダスキン事業も全国のフランチャイズネットワークを活かし、安定した収益基盤を確保している。建築コンサルティングでは、全国の工務店7,000社以上を支援し、地域の住宅建築市場を支える役割を果たしている。
また、ナックはサステナビリティの観点からも積極的な取り組みを推進している。2022年3月には東京都町田市で電気自動車を導入し、今後も低公害車の活用を拡大していく計画だ。さらに、2021年には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、企業としての透明性向上にも取り組んでいる。
加えて、全国の拠点で太陽光発電や地熱発電の導入を推進し、省エネ住宅の販売や省エネコンサルティングにも力を入れているので、総じて、上場企業に求められるサステナビリティ対応はきちんと取り組んでいるようだ。
お水の地産地消でCO2排出量の削減
同社の取り組みで面白いのは、環境貢献の観点でのものだ。「お水の地産地消」を推進し、全国44カ所の製造プラントで生産した水を地域の営業拠点へ供給することで、長距離輸送によるCO2排出を削減する取り組みを行っているようだ。また、クリクラのボトルは再利用可能な「サステナブルなボトル」を採用し、環境負荷の低減に貢献。使用済みボトルのリサイクルを通じて、子どもたちへの文房具寄贈や地域社会への支援活動も展開している。
ナックは、2021年に創業50周年を迎え、持続的成長を実現するための中期経営計画を策定。統合報告書によると、同社はDXを推進し、業務効率の向上に加えて、データ活用による新たな価値提供を強化している。また、各事業のシナジーを生かし、既存サービスの拡充とともに、新規事業の創出にも取り組んでいる。
特に、宅配水「クリクラ」事業では、IoT技術を活用したスマートデリバリーシステムの導入を進め、顧客利便性の向上と環境負荷の低減を両立させている。さらに、住宅事業では省エネ住宅の開発を加速し、環境に配慮した住まいづくりを支援。今後も「暮らしのお役立ち企業」として、社会課題の解決と持続可能な成長の両立を目指していく方針だ。