「何に対してワクワクするのか」、それは最初から知っているのではなく、小さな火を育てることでやがて大きな炎になっていくようなものであるー。そんな想いから始まった株式会社Flamersは、メンバーの全員が大学生であることから、徹底した学生目線のサービスを提供しています。
日本ではまだあまり一般的ではない長期インターンの文化を普及させ、受け入れ先である企業と学生インターンを繋ぐ架け橋を目指すCEOの佐藤航智さんに、“働くこと”への考えとそれを支えるステークホルダーの方たちへの感謝の気持ちを語っていただきました。
「結婚する前にお付き合いする」のと同じ
ーー御社のサービスの内容を教えてください。
Flamersは2019年の11月に創業したばかりのまだ若い会社です。創業メンバーは私を含めて3名。まだ全員が大学生で、大学を休学して創業しました。
2020年の6月に長期インターンのクチコミサイト「Voil」をリリースし、インターンをしたい学生とインターン生を募集している企業をマッチングさせるサービスを提供しています。
実際にインターンとして働いた学生のクチコミを掲載することで、学生側はリアルな感想を知ることができ、企業側としても会社の雰囲気に合った学生を受け入れることができるので双方にとってメリットのあるサービスになっています。
ーーどのような企業理念があるのでしょうか?
私たちはとにかく“ワクワク”を大事にしているんです。
長期インターンに関するサービスを作ったのも社会的な義務感などというよりは、以前に自分が長期インターンをして楽しかったから……というシンプルな理由なんですよ。
周囲の学生を見ていても、就活を楽しんでいる人ってほとんどいないんですよね。
社会のことをよくわかっていない状態で就職先を選べと言われても当然よくわからなくて、何十社も受けて落ちて……を繰り返してしまう。
例えるなら、異性と付き合ったことがないのに急に結婚相手を選ぶようなものじゃないですか?(笑) 闇雲にプロポーズをしまくって振られまくったら、誰でも異性が怖くなっちゃうんじゃないかな。
長期インターンをすることによって、その仕事の好きな点や自分に向いていない点を学生のうちから知っておく。そのような文化がもっと当たり前になるといいですよね。
ーー結婚相手の例え、すごく納得しました!(笑) では次に佐藤さんが起業した経緯を教えてください。
「リッチマン、プアウーマン」というドラマはご存知ですか?俳優の小栗旬がベンチャー企業の社長をしているストーリーなんですけど。
中学3年生の時にあのドラマを見て、それ以来ずっと起業に憧れていたんですよね。
なので「起業したい」という気持ちがまず先にあって「じゃあ何をしようか?」と考えたときに、その頃いちばん夢中になっていたインターンに関するサービスを始めようと思ったんです。
ーー大学を休学して起業されたというお話でしたが、なぜ卒業してからではなく休学という道を選んだのでしょうか?
「卒業するまで待ちきれなかった」というのが単純な理由でしょうかね。
もうひとつ現実的な考えとしては、「もし事業が上手くいかなくても大学に戻って就活しなおすことが出来る」という気持ちもありました。
大学を卒業してから起業して、万が一失敗してしまうほうがリスクが大きいと思うんですよね。
ーー在学中に起業に挑戦するというのは、“やりなおしがきく”というとても大きなメリットがあるんですね。
では次に御社の強みについて教えてください。
Voilでは学生のクチコミをいちばん重視しているんです。
インターンという制度自体が、まだ日本ではあまり浸透していないんですよね。
そのため「長期インターンとしての募集だったのに実際はアルバイトのような扱いだった」というケースや「給料が支払われなかった」などの問題が起きた事例もあるんです。
私もこれまでに4社でインターンとして働いてきたのですが、失敗だったなと思うような会社も正直ありました。
なのでVoilでは「徹底的に学生目線になる」ことを大事にしています。
例えば掲載されたクチコミは学生側からしか見ることが出来ないようになっているんです。それなら安心してインターン先の問題点も書くことができますから。
またクチコミを読むことで「企業に面接に行く前から社内の雰囲気がわかるため面接に挑みやすい」と好評なんですよ。
私自身もVoilを利用してくれている学生さんと面談して、本当にその人に合うと思った会社を紹介したり、エントリーシートの添削なども手厚くしているので学生さんには喜んでもらえていますね。
ワクワクを支えてくれる人たちへ 伝えたい感謝の想い
お客様にあたる学生さんにはとにかく「働くことにワクワクしてほしい」と思っています。
Voilを通してインターンをしている学生さんから「今の会社めっちゃ楽しいです!」なんて言ってもらえると本当に嬉しいですね。
企業に内定したあともオフィスに遊びに来てくれる方もいたりして。
友達を紹介してくれることもすごく多いんです。自分が本当にいいと思っていないと、大事な友人を紹介できなくないですか? 紹介してくれるということは信頼してくれている証だと思うとすごくありがたいですね。
うちの会社ってすごくゆるいんですよ。自由度が高いって言うのかな。それぞれを信頼して任せているんですよね。なぜなら私たちが楽しく仕事をしていないと、学生さんにも「働くワクワク」を伝えられないじゃないですか。
当社ではランチもみんなで食べますし、インターンを含めて全員が大学生なので壁がないんですよね。
プライベートで落ち込むことがあったときも、むしろ会社に行きたい、みんなと話したい!って思うほどですよ(笑)。そんな環境とメンバーには感謝してもしきれないですね。
まず設楽は大学の同期で、長期インターンも同じ会社でしていたんですよ。もともと仲が良くて話しているととにかく楽しいので、一緒に起業しないかと私がずっと誘っていて。2年かけて口説き落としました(笑)。柴田のことも設楽から紹介してもらったんですよ。
柴田は現実主義で、いい意味で批判的。私が楽観的なので、柴田はあえてそういうポジションになってくれていると思うんですよね。
設楽は意外とネガティブな面があるのですが、何かに迷ったり悩んだりしても最終的には戻ってきてくれるので、彼とはこの先もずっと一緒にやっていけるだろうという安心感がありますね。
お2人に改めて「ぶっちゃけ、どう?」と聞いてみたいですね(笑)。仕事でもプライベートでもたいていのことは知っているので、もっと深い本心をぶっちゃけ合いたいですね。
いつもインターン生を数多く受け入れていただいて感謝しています。特に代表取締役の小澤さんのことは、取引先というよりも“尊敬できる先輩”のように思っています。
Twitterで小澤さんにDMをお送りしたのが、一緒にお仕事をさせていただくようになったきっかけなんです。急に長文のDMを送ったのに丁寧に返信してくださって。これからもたくさんのことを学ばせていただきたいですね。
これからの世の中って、「生きるために働く」というよりは「自己実現のために働く」というフェーズに入っていくと思っていて。その手助けをしていきたいですね。地球のためというより、まずは人類のためになることをしていきたいかな。
国から融資をしていただいているのでとても感謝していますよ。
事前に調べた情報では、こちらが学生だとあまり真剣に取り合ってもらえないと聞いていたのですが全然そんなことなくて。担当の方が親身にアドバイスしてくれて嬉しい驚きでしたね。
とてもお世話になっていますね。週一でミーティングをしているんですけど「管理されている」という感じでは全くなくて、いつも相談にのっていただいたり「見守ってくれている」という感じなんです。
実は以前柴田と設楽がFlamersを辞めるかもしれないということがあったのですが、そのときも熊谷さんが私たちそれぞれとミーティングをしてくれて、結果今の形で存続できることになったんです。そんな重要な話から、私の失恋の話まで聞いてもらっています(笑)。メンターのようなありがたい存在ですね。
熊谷さんには、自身の今後のビジョンを聞いてみたいですね。
私の話を聞いてくれるばかりで、自分のことをあまり話してくださらないので(笑)。
私たちは「学生が楽しく働くことができるのがいちばん」という気持ちを持ち続けていきたいです。
“実際に社会に出る前に試しに働いてみる”ということを、日本でも当たり前の文化として定着させたいですね。
若い人たちがもっとワクワクできるような環境を作っていくことで、日本全体がもっとエネルギーに溢れる国になるのが理想です。
今の若い人たちの中でも成長やキャリアアップを重視している人は多いと思いますが、私は本人が楽しく働いていることのほうが大事だと思っているんです。
いろいろな考え方を認め合って、「そういう働き方もいいよね」というような社会の雰囲気になってほしいですね。
<プロフィール>
株式会社Flamers
代表取締役CEO 佐藤航智
東京大学を休学し2019年に株式会社Flamersを設立。代表取締役CEOとなる。長期インターンのクチコミサイト「Voil」を運営。
現在はさらなる“ワクワク”のためにVRとエンターテイメントの事業にも尽力している。