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【訃報】メイショウ”松本好雄さん死去 JRA個人馬主初2000勝の功績 名物オーナーとして競馬界に偉業と人望残す 

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メイショウと松本好雄さん
イメージをDALL-Eで生成

「メイショウ」の冠名で競馬ファンに親しまれた名物オーナー、松本好雄さんが8月29日、膵臓がんのため87歳で亡くなった。わずか6日前には個人馬主として史上初となるJRA通算2000勝を達成したばかり。日本競馬界を半世紀以上支え、武豊ら多くの関係者やファンに慕われた松本さんの足跡を振り返る。

 

松本好雄さん死去、偉業達成からわずか6日後の旅立ち

「メイショウ」の冠名で競馬ファンに長年親しまれてきた馬主・松本好雄さんが、8月29日未明に膵臓がんのため亡くなった。87歳だった。株式会社きしろが9月2日に発表した。関係者によると、通夜・告別式は近親者のみで執り行われ、後日お別れ会が開かれる予定である。

松本さんは亡くなる直前の8月23日、中京競馬場で行われた3Rにて、自身が所有する2歳牝馬メイショウハッケイが勝利したことで、個人馬主として史上初となるJRA通算2000勝を達成したばかりだった。JRAの発表によると、この偉業は1974年に馬主登録してから51年目にしての快挙であり、日本競馬史に残る出来事となった。

2000勝達成の際、松本さんはJRAを通じて「馬主として51年、成り行きという感じで始めましたが、本業があるので社員に迷惑をかけないようにと心掛けてきました。2000勝は年間40~50勝を続けなければならない数字で、“ばか”でないとできないんじゃないでしょうか」とコメント。その上で「生産牧場、育成牧場、調教師、厩舎スタッフ、騎手など、そうした人とのつながりを大事にしてきた。その結果が2000勝につながったのだと思います」と語っていた。だが、その晴れ姿を競馬場で目にすることはできなかった。

冠名「メイショウ」に込められた思いと数々の名馬たち

 

松本さんが馬主として登録したのは1974年。初勝利は1976年1月10日、京都2Rのメイショウグリーンであった。冠名「メイショウ」は、生まれ育った兵庫県明石市の「明(あかし)」と、自身の姓「松本」の「松(しょう)」を組み合わせた「明松(メイショウ)」に、「名将」を掛け合わせたものである。

1988年、メイショウエイカンで重賞初勝利を飾ると、2001年の宝塚記念でメイショウドトウがG1初制覇。以降も数々の名馬を世に送り出した。

代表的な存在としては、2005年のフェブラリーステークスを制したメイショウボーラー、2006年の皐月賞・日本ダービー、2007年の天皇賞春秋連覇を果たしたメイショウサムソンが挙げられる。さらに、2013年には武幸四郎騎手(当時)とのコンビでメイショウマンボがオークス、秋華賞、エリザベス女王杯を制覇。近年でも、2020年中山大障害・2021年中山グランドジャンプを勝ったメイショウダッサイや、2024年宝塚記念を制したメイショウタバルなど、時代ごとに競馬界を盛り上げる存在を送り出してきた。

「小倉の英雄」と呼ばれたメイショウカイドウ、重賞2勝を挙げたメイショウベルーガ、芝・ダート問わず走り10歳まで現役を続けた牝馬メイショウバトラーなど、個性的な馬も多く、ファンの記憶に深く刻まれている。

経営者としての顔と社会的評価

松本さんは競馬界だけでなく、経済界でも存在感を示した。兵庫県明石市を拠点とする大型総合金属加工メーカー・株式会社きしろの代表取締役会長として、船舶エンジンや航空機部品、産業機械の製造販売を手掛けた。また、2005年には日本馬主協会連合会会長に就任し、後に名誉会長となった。中央競馬馬主相互会会長、阪神馬主協会会長なども歴任し、日本の競馬界全体の発展に寄与した。2007年には紺綬褒章、2010年には旭日小綬章を受章。社会的にも高く評価される存在であった。

「人と馬をつなぐ」競馬観と座右の銘

 

松本さんの競馬観は一貫して「人とのつながり」を重んじるものだった。座右の銘は「人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる」。競馬は馬だけでは成り立たず、人と人との信頼関係の積み重ねがあって初めて結果が出るという信念を持っていた。「金は出しても口は出さない」――馬主としての姿勢を体現し、競馬人から信頼を集めた理由はここにあった。

まとめ:2000勝とともに天国へ

松本好雄さんは、JRA通算2000勝という前人未踏の偉業を達成した直後に、この世を去った。「メイショウ」の冠名を通じて送り出された数々の名馬、そして競馬人やファンとの絆は、日本競馬史に大きな足跡を刻んだ。

人情味あふれる名物オーナーは、まさに「明石の名将」であり続けた。天国でも愛馬たちに囲まれながら、競馬の行方を見守っているに違いない。

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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