
京都市の10歳男児が動画投稿アプリ「TikTok」で約280万円もの「投げ銭」を行い、返金を求めて運営会社と決済事業者を提訴した。未成年者の高額課金トラブルは繰り返し発生しており、家庭や学校での見守り体制に加え、企業の年齢確認や利用制限の仕組みが問われている。SNS経済圏の広がりとともに、子どもたちのネットリテラシー教育をいかに実効性ある形で進めるかが社会的課題となっている。
京都の提訴で浮かぶ構図
京都市の当時10歳の男児が、動画投稿アプリTikTokで配信者への「投げ銭」に関わる課金の返金(約280万円)を求め、運営のバイトダンス日本法人と決済提供のアップルジャパンを相手取り京都地裁へ提訴した。総課金は昨年6~8月で約460万円、そのうち約370万円がTikTok分とされる。京都新聞の報道や共同通信系配信が相次いでおり、事実関係は複数ソースで確認できる。返金はアップル側から約90万円のみとの説明だ。京都新聞デジタルの速報/X投稿、47NEWS、弁護士ドットコムの解説記事(京都新聞報道の要約)で裏取りした。X (formerly Twitter)+1弁護士4.comライブドアニュース
法的論点――「未成年者取消権」と年齢確認
民法5条は、親権者の同意なき未成年者の契約は取り消せると規定する。一方、未成年者が年齢を偽るなど「詐術」を用いた場合は取消しが制限され得る。経産省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、年齢確認の設計や画面表示の明確性といった事業者側の措置の妥当性も総合判断要素と位置付ける。今回の争点も、プラットフォーム側の年齢確認・同意取得の実効性が問われる構図だ。クリエイアーMETI Japan
同様のトラブルは恒常化
高額課金はオンラインゲームやライブ配信で繰り返し生じている。たとえば、小学生兄弟が家族端末から150万円超を課金して発覚した事例(報道・2021年)や、「投げ銭」を含め中学生が数カ月で100万円超の利用に至ったとする法律事務所のケース解説がある。公的機関(国民生活センター)も2024年に未成年者取消権のポイントや事業者対応の注意を改めて周知している。J-CAST ニュース弁護士JP|法律事務所や弁護士の相談予約・検索国消センター
子どものネットリテラシー教育――代表的・先進的取組の一覧
下表は、公的・民間の主要プログラムと概要である(保護者・教員向けを含む)。
名称 | 概要 | 実施主体・場所 |
---|---|---|
e-ネットキャラバン | 小中高・保護者・教職員向けの出前講座。投稿リスク、なりすまし、偽情報、依存、課金トラブルなどを年齢別プログラムで扱う。 | 安心ネットづくり促進協議会等が全国展開(総務省・文科省等連携)。 |
LINEみらい財団の教材・出前授業 | GIGA対応の「情報モラル×活用」教材とオンライン授業。SNSコミュニケーションの違い理解と対応を実践型で学ぶ。 | 全国(学校・自治体・企業連携)。 |
京都市・消費生活総合センターの啓発 | 出前講座や小学生向け消費者教育WEB教材(買い物・金銭感覚)を提供。高額課金相談の実態資料も公表。 | 京都市(センター拠点、学校・地域へ)。 |
文科省「ネットモラルキャラバン隊(札幌)」 | フェイク情報の見分け方等をテーマにしたイベント・講座を地域開催。 | 札幌市など各地開催回。 |
福井県「わが家のスマホルール」 | 家庭向けルールテンプレートを配布。夜間の保管場所・使用場面・SNS範囲など合意形成を促す。 | 福井県(学校配布・家庭活用)。 |
出典:e-ネットキャラバン公式/NISC教材ページ、LINEみらい財団公式、京都市消費生活総合センター、札幌の開催告知、福井県配布資料。www3.fmmc.or.jpsecurity-portal.nisc.go.jpLINEみらい財団+1京都市消費生活総合センター+1スクールガーディアン福井県公式サイト
保護者・学校の実務対応(要点)
- 未成年者取消権の行使:決済プラットフォームとサービス提供者へ時系列と証拠(年齢・同意の不存在・履歴)を添え申出。時効・同意推認の有無に留意。国消センター
- 設定の二重化:端末の生体認証・パスコード分離、アプリ内購入の制限、年齢制限、ファミリー共有の「購入の承認」。
- 家族ルールの明文化:夜間保管場所・課金上限・見守り範囲を合意し、学校配布様式などを活用。福井県公式サイト
- 学校・地域の講座活用:e-ネットキャラバンや自治体講座の出前授業を学年に応じて計画的に導入。www3.fmmc.or.jp