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外国免許切替、制度疲労が浮き彫りに 過去最多7.6万人に急増 ホテル住所での取得も横行

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外国免許切替の制度疲労
DALL-Eで作成

日本における「外国免許切替(外免切替)」の運用が転換点を迎えている。警察庁が発表した2024年の運転免許統計によれば、外国免許を日本の免許へ切り替えた人数は過去最多の7万5905人に上り、10年前の約2.5倍に膨れ上がった。だがその裏で、制度の設計そのものが限界に達しつつある実態も明らかになっている。

 

外免切替の取得者数、10年で2.5倍に

外免切替は、一定の条件下で外国人が自国の運転免許証を日本のものに切り替えられる制度である。原則として一部の試験が免除され、知識確認としての筆記試験のみで免許が取得できる。

2014年には3万381人だった取得者数は、外国人居住者の増加や訪日観光の増加にともない年々上昇し、2023年には5万6022人、2024年には7万5905人と急増。東京都府中市の運転免許試験場などでは、早朝から中国人を中心とした行列ができ、受付を予約制に変更せざるを得ない状況が続いている。

 

制度の「緩さ」と“制度疲労”の指摘

問題視されているのは、制度設計の「緩さ」である。
特に以下の点が批判の的となっている。

  • 筆記試験の難易度が極端に低い
  • 日本に住民票がなくても、ホテルの住所などで免許取得が可能

このような運用が続けば、制度の信頼性が崩壊しかねないという懸念が浮上している。
坂井学国家公安委員長も今年3月、国会で「学科試験は私が見ても簡易、安易だ」と述べ、制度の不備を認めた上で「制度と運用の両面から検討を進める」と表明した。

 

ホテル住所での切替が常態化、中国人の事故増加が背景に

制度疲労の象徴として特に注目されているのが、中国人観光客による「ホテル住所」での免許取得の横行である。FNNの報道によれば、東京や北海道でこうしたケースが相次いで確認されており、観光ビザで来日した中国人が短期間の滞在中に運転免許を取得することが実質的に可能となっていた。

さらに、日本在住を含む中国人運転者による交通事故は年々増加傾向にある。2023年8月には、北海道で中国人観光客がレンタカーを運転中に事故を起こした例も報告されている。

こうした事態を受け、河野太郎衆議院議員は5月12日夜、公式X(旧Twitter)で以下のように投稿した。

「日本に住民票のない中国人が、来日して中国の運転免許証を日本の免許証に切り替えるのは今後認めないことを警察庁が明確にしました。ルールの適用が杜撰だったものについて、きっちりと法令が適用できるように目配りをしていきます」

この投稿は大きな反響を呼び、一部の中国人観光客からは「中国人だけを禁止するのは差別だ」との声も上がる一方、日本在住の中国人からは「安全のため教習の追加は必要」とする冷静な意見も聞かれている。

警察庁は制度の再設計へ

 

警察庁は現在、住民票の有無による制限強化や、筆記試験の難化、滞在資格の明確化など、制度全体の見直しに乗り出している。

急増する外免切替の背景には、労働力不足、観光推進策、国際交流の深化といった正当な社会変化がある一方で、それに制度の設計と運用が追いついていない現実がある。「制度疲労」という言葉がふさわしい状況の中で、警察行政の機能更新が問われている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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