豪奢な砂漠でささやかれる「ドバイ案件」

ドバイの超高層ホテルや砂漠リゾートを背景に、若いインフルエンサーが豪遊を誇示する映像は日常の光景となった。だがその裏側で、排泄行為や動物との性行為までも強要される買春ビジネス――通称「Porta Potty」パーティー――が再び炎上している。
3月下旬にはウクライナ人モデル、マリア・コバルチュクさん(20)が招待先の“VIPイベント”後に脊椎を折られ、路上に遺棄されたと報じられた。警察は「建設現場から転落した」と説明したが、ウクライナ当局は人身売買容疑で捜査を開始し、家族は「性奴隷にされた」と訴えている。英字紙ヒンドゥスタン・タイムズも「富豪が女性をモノ扱いする闇が常態化している」と指摘した。
taiyonaとは誰か――多文化ルーツをもつ新星
この騒動と併せ語られるのが、福岡県出身の人気インフルエンサー taiyona(太陽奈)である。韓国系日本人の父とポーランド・ロシア系の母を持ち、四カ国語を操るという国際的な背景が魅力を支えてきた。本名は、「中野 ヴィナ 太陽奈(ラーナ)」。福岡中央高校を中退後にオーストラリアへ留学し、美容系YouTubeやInstagramで頭角を現した。投稿では高級ブランドを身にまとい、滞在先としてドバイの超高級ホテルが頻繁に登場したため「収入源は何か」と注目を集めた経緯がある。
彼女がなぜ今回話題になっているのか。背景には、ドバイ案件が噂になったのと同じタイミングで彼女のInstagramとTikTokの投稿が一斉に削除され、アイコンが黒塗りとなったことが挙げられる。沈黙と同時期にネット掲示板で「taiyonaがドバイでヤギと性行為をして一億円を得た」との書き込みが拡散し、〈ヤギ案件〉〈ドバイ流出〉という刺激的な語が検索トレンドを駆け上がったのだ。
デマと現実が交錯する瞬間
調査すると、もともと「動物との行為を強要された日本人女性がいる」という匿名の暴露と、「taiyonaがドバイで高額報酬を得たらしい」という別のタレコミがSNS上で混線し、いつしか“taiyona=ヤギ”という短絡的な合成デマに変質した形跡がある。投稿の一次ソースも証拠も確認されておらず、本人からの公式コメントはない。だが、同じタイミングでの投稿削除という行動が沈黙を重くし、憶測を加速させたことは否定できない。
港区女子を包み込む沈黙の構造
「ドバイでは売春もわいせつ罪も違法行為だが、被害者が訴えれば公序良俗違反で拘束されかねない」。人権団体「Detained in Dubai」のラダ・スターリング氏は他メディアでそう語り、実質的に被害申告を封じる司法環境が搾取を温存すると批判する。富豪は機密保持契約(NDA)と法的リスクを盾に沈黙を迫り、被害者が声を上げるときには旅券を失い、医療費さえ自腹というケースも少なくない。
東南アジアへもにじむ“海外出稼ぎ”リスク
今や勧誘の矛先は湾岸だけに留まらない。タイやカンボジアの“高収入サロン”、ラオスの“合法ソープ”を名乗る求人には、日本人女性が監禁や薬物強要に遭った証言が複数寄せられている。外務省はラオスを例に「就労詐欺被害が増加」と警告するが、SNSの光沢フィルターは危険を覆い隠し続ける。
光の街で影を踏まぬために
Porta Potty疑惑は、一部が誇張やデマを含むとしても、富とフォロワーを武器に弱者を商品化する構造を照射する。ドバイの夜景は眩い。だがその手前に踏み込む扉が、動物さえ絡む“闇見世”へ続く可能性を忘れてはならない。taiyonaが沈黙を破る日は来るのか。答えを待つ間も、ネットの“伝言ゲーム”は次の犠牲者を招き寄せる。