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子どものカフェイン摂取はどこまでOK? 中学生以下に“エナジードリンク禁止”をすすめる理由

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子どものカフェイン接種
DALL-Eで作成

エナジードリンクやカフェイン錠剤の過剰摂取による健康被害が若年層で増加するなか、「中学卒業まではエナジードリンクを飲ませるべきではない」と訴える専門家の声が注目を集めている。精神科医・松本俊彦氏は、カフェインによる“気分の変化”を習慣化することが、将来の薬物依存の入口となる危険性を孕んでいると指摘。脳の報酬系を刺激し依存に至るメカニズム、そして「分かっていてもやめられない」背景を、科学的視点から読み解く。今、社会全体で“身近な薬物”にどう向き合うべきかが問われている。

未成年に忍び寄る“習慣性”の影――薬物依存の専門医が警告

コンビニや自動販売機で手軽に購入できるエナジードリンク。勉強や部活、ゲームなど、集中力や覚醒を求める若者に人気のこの飲料だが、その裏に潜む危険性に、薬物依存の専門家が警鐘を鳴らしている。

精神科医で国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦氏は、「カフェインによって気分を変えるという行為が、子どもの頃から習慣化すると、それが薬物依存への入り口になる可能性がある」と語る。

 

カフェインの作用――“気分を変える”脳への働き

カフェインは中枢神経を刺激する成分で、摂取により一時的な覚醒作用、注意力や集中力の向上が見られる。大人にとっては日常的にコーヒーや緑茶、紅茶を通じて摂取されることが多いが、子どもの脳は未発達であるため、その影響はより大きくなる。

松本氏は「特に中学卒業までは、ブラックコーヒーやエナジードリンクのようなカフェイン濃度の高い飲料は避けるべきだ」と指摘する。

 

なぜ“分かっていてもやめられない”のか――依存のメカニズム

「危険と知っているのに止められない」という行動には、次のような脳の働きと心理状態が関与している。

● 報酬系が刺激され“また飲みたくなる”

カフェインは脳内でドーパミンを放出し、一時的な快感や集中力向上をもたらす。この快感が強化学習として脳に刷り込まれ、「また飲みたい」という欲求を生む。

● 心理的依存と習慣の固定化

「飲むと頭がスッキリする」「仕事がはかどる」といった経験の積み重ねが、やがて「飲まないとダメ」という思い込みに変わり、心理的依存を形成する。

● 離脱症状が“やめにくさ”を助長する

カフェインを急に断つと、多くの人が頭痛、倦怠感、イライラ、集中力の低下などの離脱症状に悩まされる。この不快感を避けるために再び摂取してしまうケースが多い。

● 社会的要因や生活習慣の影響

朝のコーヒーが日課になっていたり、周囲の人が日常的に飲んでいることで、自分も“飲まざるを得ない”環境に置かれていることも多い。

これら複合的な要因により、「やめたいのにやめられない」という状態が生まれる。

 

甘い味に潜む“習慣化”の罠

エナジードリンクにはカフェイン特有の苦味を隠すために甘味が加えられており、子どもでも抵抗なく飲める仕様となっている。松本氏は、これが習慣化の敷居を下げていると指摘する。

イタリアでは15歳未満にエスプレッソを与えないという家庭文化があるように、日本でも「高校生になるまでエナジードリンクを控える」社会的認識の醸成が必要だという。

救急搬送と死亡例――若者に多い“オーバードーズ”の現実

近年、カフェインの過剰摂取による急性中毒で救急搬送される若者が増えている。2013年以降は死亡例も報告されており、多くは市販薬やカフェイン錠の大量摂取(オーバードーズ)によるものである。

致死量とされるカフェインの摂取量は5グラム。これはコーヒー約100杯分に相当する。通常の飲料では摂取困難な量だが、錠剤や粉末製品なら短時間で到達してしまう恐れがある。

 

家庭でできる対策と社会的な視点

チョコレートやコーヒー牛乳などに含まれる微量のカフェインは、過度に気にする必要はない。しかし、子どもが外でエナジードリンクを購入して飲むようになった場合、頭ごなしに叱るのではなく、「かっこいい飲み物ではない」「飲みすぎると健康に悪い」と冷静に伝えることが重要だ。

親ができることには限界があるからこそ、学校や地域、メディアを巻き込んだ広報と教育活動が求められる。

 

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ライター:

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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