フジ第三者委が指摘の“過去の会食”で謝罪の意向 「叶うなら直接お詫びしたい」

お笑いコンビ「とんねるず」の石橋貴明氏(63)が、フジテレビの第三者委員会が報告書で指摘した過去のセクシュアル・ハラスメント事案に関して、4月16日に所属事務所を通じてコメントを発表した。
自身が会食の場で不適切な言動をとった可能性について、「深酒していたため覚えていないのが正直なところ」としつつ、「不快な思いをさせてしまったことを大変申し訳なく思っています」と謝罪の意を示した。
この問題は、元タレントの中居正広氏による性暴力疑惑が端緒となって発覚した一連のセクハラ問題の文脈で、第三者委がフジテレビ社内に蔓延していた性加害体質を報告書で指摘する中、石橋氏の名前が具体的に報道されたもの。4月10日発売の『週刊文春』は、同報告書の中で「有力な番組出演者」とされた人物が石橋氏であると報じていた。
咽頭がんも併発、ICUから病棟に移り謝罪文作成
石橋氏は今月3日、自身のYouTubeチャンネルで食道がんを公表。今回のコメントではさらに「咽頭がんも併発していた」ことを明かし、手術を終えたものの、療養中であると記した。集中治療室(ICU)から一般病棟に戻ったのが14日で、その後に自身に関する報道を知ったという。
「入院準備のため時間に追われ、また心の余裕の無さから第三者委の調査に対応できなかった」とし、週刊誌の報道に登場した人物との会食については「覚えている」と認めた一方、詳細は「かなり深酒をしていたためか、覚えていない」と説明。「私自身の至らなさゆえ、かなり羽目を外してしまったかも知れません」と反省の弁を述べた。
謝罪文では、「叶うのであれば、快復後直接お会いして謝罪させていただきたく思います」とし、入院中のため書面での対応となったことを「お許しください」と結んでいる。
フジテレビは「真摯に受け止める」とコメントも…問われる対応基準
フジテレビは、石橋氏に関して、「第三者委員会の調査結果に関しては真摯に受け止めております。なお、調査結果以上のことについては、お答えできません」とするコメントを朝日新聞の報道では発表している模様だ。
一方、SNS上では「10年以上前の出来事をどこまで遡って問題化するのか」「当時と今では基準が違う」といった声も多く、時代の価値観の変遷と報道のあり方に対する疑問も噴出している。「昔の志村けんの番組も今なら完全にアウト」「女性が嫌がったかどうかが線引きではないか」といった反応も目立ち、芸能界全体におけるハラスメント認識の再構築が迫られている。
病床からの謝罪が投げかけるもの
石橋氏の謝罪は、病と闘いながらの真摯な姿勢として一部で評価される一方、「本人の記憶が曖昧なまま謝罪することの是非」や「過去の行動の検証はどこまで許容されるのか」といった論点を浮き彫りにした。
第三者委員会の報告書が今後、どこまでの範囲を対象とするのか、また企業側や番組制作現場がどう再発防止に取り組むのかは依然として注視されるべき課題である。石橋氏が提起した「直接の謝罪」という誠意が、今後の芸能界全体における「責任の取り方」の一つのモデルケースとなるか、注目が集まる。