
記録的猛暑や需給の逼迫を背景にコメ価格が異例の高騰を見せる中、2024年産の備蓄米をめぐり契約不履行が相次いでいる。農林水産省は納入義務を果たさなかった7事業者に対し、入札資格停止処分を下した。毎日新聞の報道によると、その一つである青森県の町田アンド町田商会は「契約農家からの供給拒否が原因」と釈明し、転売行為を明確に否定した。食卓にじわりと広がる影響のなか、制度の信頼性と主食の安定供給が問われている。
価格高騰の背景と消費者の食卓への影響
政府が実施した2024年産備蓄米の納入で契約数量を履行せず、農林水産省から違約金の支払いを求められた7事業者のうち、青森県弘前市の「町田アンド町田商会」が4月1日、地元で記者会見を開いた。毎日新聞の報道によると、同社は「契約農家から売り渡しを拒否されたため」と説明し、一部で指摘された転売行為を明確に否定した。背景には、近年まれに見るコメ価格の高騰、いわゆる「令和の米騒動」がある。
契約農家の約3割が供給拒否 「転売していない」と強調
町田アンド町田商会は、2024年2月の入札で60キロあたり1万3000~1万4000円の価格で落札し、青森県内4市町の約100戸の農家と備蓄米の契約を締結していた。毎日新聞によれば、その後、米価は急上昇し、秋には60キロあたり2万5000円前後まで高騰。備蓄米価格を上回る価格で直接取引を求める動きが市場に広がった。
この状況を受けて、契約農家のおよそ3割が売り渡しを拒否し、納入予定数量の半分程度しか確保できなかったという。会見で同社の建部礼仁会長は「農家の協力が得られず、大変遺憾。備蓄米を他に転売したという事実は一切ない」と述べた。
農林水産省は、違約があった7事業者に対し、3月26日付で3カ月の入札資格停止処分を下している。
「令和の米騒動」――異常気象と需給ギャップが引き金に
今回の米価高騰の背景には、2023年の記録的猛暑による全国的な収量減と品質低下がある。農水省の統計資料などによると、さらに、コロナ禍を経て外食産業の需要が急回復したことでコメの流通が逼迫し、一部の品種では供給不足が顕著となった。加えて、円安や燃料費高騰による生産コストの上昇も価格転嫁を後押しし、複合的な要因で市場価格は急騰した。
市場関係者の間では、この現象をかつての「米騒動」になぞらえ、「令和の米騒動」と呼ぶ声も出ている。
食卓への影響、じわり広がる 主食の安定供給に再考求める声も
高騰の影響は家庭の食卓にも波及している。農林水産省が発表した小売価格の動向によると、2023年からの2年間でコメの小売価格は約20%上昇。中食・外食各社もコメ使用量の見直しや価格転嫁を進めており、牛丼チェーンやコンビニ弁当の価格調整が相次ぐ。
一方で、価格上昇に応じて備蓄米を利用しようとする動きが強まる中、今回のように業者や農家の契約不履行が問題となれば、制度の根幹が揺らぎかねない。農水省は今後、備蓄米制度の契約履行を担保する仕組みや、農家との信頼関係の再構築を検討する必要に迫られる。
物価高が続く中、主食であるコメの安定供給は国民生活の基盤でもある。再発防止策と制度の実効性確保が、喫緊の課題として浮かび上がっている。