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USAID解体を米連邦地裁が阻止、マスク氏の行動に違憲の指摘

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USAID解体を米連邦地裁が阻止

米メリーランド州の連邦地裁は18日、ドナルド・トランプ政権が進めるアメリカ国際開発庁(USAID)の解体について、違憲の可能性があるとして差し止め命令を下した。これにより、すでに大半の事業が停止していたUSAIDの活動に変化が生じる可能性がある。判決では、トランプ政権の側近であるイーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」がUSAIDの閉鎖に向けた措置を進めていた点が違憲の可能性が高いと指摘された。

 

USAID解体差し止め命令の経緯

米メリーランド州の連邦地裁は18日、USAIDの解体を巡る訴訟で、同機関のさらなる事業停止や人員削減を禁じる差し止め命令を出した。これは、USAID職員26人が提訴した訴訟に対する判決である。

原告側のUSAID職員らは、マスク氏が率いるDOGEにはUSAIDの解体を行う権限がないと主張。さらに、マスク氏は連邦政府の役職に正式に指名されたわけではなく、上院の承認も受けていないため、その行動は違法であると訴えていた。

チュアン判事は判決で、DOGEの行為が「合衆国憲法に複数の形で違反している可能性が高い」と指摘し、USAID職員の解雇やDOGE職員によるUSAIDの情報アクセスを禁止する命令を下した。

判決の内容と根拠

メリーランド州の連邦地裁で下された判決は、主に次の3点を指摘した。

  • USAIDの解体は議会の権限を侵害している点が指摘された。USAIDの閉鎖や人員削減は本来、議会の権限に属する事項であり、DOGEがこれに介入する行為は違憲の可能性が高いと判決で述べられた。
  • マスク氏はDOGEの指導者として活動しているが、連邦政府の役職に正式に指名されたわけではなく、上院の承認も受けていないため、法的権限がないと判断された。これにより、マスク氏が関与するUSAIDの解体措置は正当な手続きに反しているとされた。
  • DOGEが進めていたUSAID職員の解雇措置は停止され、さらにUSAID職員がシステムに再びアクセスできるようにする命令も下された。これにより、DOGEが関与する職員の排除行為に一定の歯止めがかかったといえる。

トランプ政権とマスク氏の主張

これに対して、トランプ政権とマスク氏側は反論している。マスク氏の役割はあくまで「助言」に過ぎないと主張し、USAIDの活動停止は経費削減と効率化の一環として進めたものだと説明した。これに加えて、トランプ政権側は地裁の判断は「誤審」であるとして控訴を表明した。ホワイトハウスのアナ・ケリー報道官は「ならず者の裁判官たちが、トランプ大統領の政策遂行を阻止しようとしている」とコメントし、判決を厳しく非難した。

USAIDの現状と今後の見通し

 

USAIDは米政府の対外援助機関として長年にわたり発展途上国支援や人道支援を行ってきたが、今回の判決時点で活動の約80%が停止している。DOGEが推し進める組織再編により、多くの職員が解雇や休職処分となり、事業は著しく縮小していた。

判決によりUSAIDの完全な解体には一定の歯止めがかかったものの、DOGE側はUSAIDの事業継続に関して新たな法的措置を取る可能性がある。さらに、控訴審の行方によっては、再び事業停止に向かうリスクも残る。

専門家の見解

米国内の法律専門家からは、今回の判決が「政府機関の閉鎖に対する司法の権限を強化する重要な判例となる」との声が出ている。法学者のノーム・アイゼン氏は「USAID解体は法的根拠が不十分であり、今回の判決は憲法の権力分立を守る意味でも画期的なもの」と述べた。

一方で、NYタイムズは「すでにUSAIDの活動の多くが停止している現状を考えると、判決が実際にどこまで影響を及ぼすかは不透明」と指摘している。

今回の判決が持つ意義

今回の判決は、政権が政府機関をどこまで縮小できるかという点において重要な指標となる。特に、上院の承認を受けていない人物が政府の重要政策に関与する点について厳しい判断が示された点が注目されている。

今後は、トランプ政権がどのような対応に出るのか、またUSAIDの事業再建が進むのかが焦点となる。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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