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知らないふりはもうできない、インフラの老朽化!私たちの生活に忍び寄る脅威

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インフラ老朽化
DALL-Eで作成

 

今年1月、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故では、トラック運転手の男性が巻き込まれる事態となった。この事故を受け、日本のインフラ老朽化が深刻な局面を迎えていることが改めて浮き彫りになった。

土木学会の重鎮であり、政策研究大学院大学特別教授の家田仁氏は、インフラ維持の限界について警鐘を鳴らすとともに、新たな視点での対策の必要性を提言している。家田氏は、国土交通省が設置した「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」の委員長を務める立場から、老朽インフラの現状と今後の対策について論じた。

 

相次ぐ道路陥没事故—全国で増えるインフラトラブル

 八潮市の事故だけでなく、近年全国各地で道路の陥没事故が相次いでいる。例えば、

  • 2023年11月 東京都品川区:大雨後の下水道破損により、国道15号線で大規模な陥没が発生。
  • 2022年9月 福岡市博多区:地下鉄工事現場付近で道路が崩落し、交通網に大きな影響を与えた。
  • 2016年11月 福岡市天神:地下鉄工事に伴う大規模な道路陥没が発生し、市街地の機能が麻痺した。

 これらの事故の共通点は、いずれも老朽化した下水道や地下構造物の劣化が原因とされている点だ。事故が起こるたびに応急措置が取られるものの、抜本的な対策には至っていないのが現状である。

 

国民のインフラ維持への関心—世論調査データが示す現実

 日本のインフラ維持について、世論はどう考えているのか。2023年に行われたインフラ維持に関する調査(国土交通省発表)によると、

  • 「日本のインフラは十分に維持管理されている」と考える人は全体の15%にとどまる
  • 「インフラ維持のために増税や新たな負担が必要」と考える人は35%
  • 「インフラ維持は国や自治体の責任であり、市民負担は避けるべき」と答えた人は50%以上

 この結果からも、多くの国民がインフラの老朽化を実感しつつも、負担を避けたいという意識が強いことがわかる。

インフラ維持の新技術—AIとドローンが変える点検作業

 老朽インフラの維持管理には、新技術の導入が不可欠となっている。特に注目されているのがAIとドローンを活用したインフラ監視である。

  • ドローンによる橋梁点検:従来の人力による点検に比べ、短時間で広範囲をチェック可能。
  • AIによる道路異常検出:カメラとセンサーを活用し、道路のヒビや陥没予兆を解析。
  • スマート舗装材の導入:自己修復機能を持つ新素材が開発され、陥没や亀裂の進行を抑える。

 これらの技術はすでに一部の自治体で試験運用が始まっており、今後の普及が期待されている。

 

財源確保のアイデア—新たな資金調達手段はあるか

 インフラ維持に必要な財源は年々減少しており、新たな資金調達手段が模索されている。その中で注目されているのが、

  1. 道路使用税の導入
    • 走行距離に応じた課税を行い、インフラ維持に活用。
    • 海外ではオレゴン州(米国)やドイツなどで導入実績あり。
  2. 民間投資の活用
    • PPP(官民連携)方式を活用し、民間企業の資金で維持管理を行う。
    • 例:東京都の一部高速道路では、民間事業者が管理・運営。

 これらの方法を採用すれば、公的資金の負担を減らしつつ、安定的なインフラ維持が可能になると期待されている。

 

社会全体でインフラ維持を考える時代へ

 八潮市の道路陥没事故は、老朽インフラの危険性を改めて浮き彫りにした。今後、こうした事故が増加する可能性がある中で、限られた財源と人材でいかにインフラを維持していくかが大きな課題となる。

 国民、自治体、民間企業が一体となって、持続可能なインフラ維持管理の在り方を模索する時代がすでに到来している。

「知らないふり」はできない—私たちの生活に忍び寄る危機に備えよう

 八潮市の道路陥没事故をはじめ、日本各地で発生しているインフラトラブルは、決して他人事ではない。私たちが毎日使う道路、橋、トンネル、上下水道は、確実に老朽化している。

 今こそ、「インフラの維持は国や自治体の仕事」と考えるのではなく、私たち一人ひとりが問題意識を持ち、持続可能なインフラ維持のために何ができるかを考える必要がある

 技術の進化、財源確保の新たな方法、国民の意識改革—これらを組み合わせることで、安全な生活環境を守ることができる。知らないふりをするのではなく、今こそ行動を起こすべき時だ。

 

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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