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スズキは2月20日、新中期経営計画「By Your Side」を発表した。2025~2030年度の6年間で、累計4兆円を設備投資・研究開発に投じ、2031年3月期の営業利益8000億円、売上収益8兆円を目指す。成長の鍵となるのは、インド市場での生産強化とEV事業の拡大だ。また、累計配当6000億円を計画し、株主還元も強化する。現行の経営計画を1年前倒しで達成したスズキが、次の成長フェーズへと進む。
スズキの新中期経営計画「By Your Side」の概要
スズキは2025~2030年度にかけて、新たな成長戦略「By Your Side」を推進する。この計画では、2031年3月期までに売上収益8兆円、営業利益8000億円の達成を目標とし、営業利益率10%以上、ROE15%の実現を視野に入れる。これに伴い、インド市場でのシェア50%奪還を目指し、電動車市場にも注力する方針だ。特にEV戦略においては、日本市場で6モデル、インド市場で4モデルを展開する予定であり、これにより競争力を強化する。
【ポイント】
・売上収益8兆円、営業利益8000億円の達成を目指す
・営業利益率10%以上、ROE15%の実現を視野に入れる
・インド市場でのシェア50%奪還とEV市場の強化
・日本で6モデル、インドで4モデルのEV展開
スズキの企業ビジョンは「生活に密着したインフラモビリティ」の実現にある。これを実現するため、創業以来の経営理念「小・少・軽・短・美」「三現主義」「中小企業型経営」を柱に据え、さらなる成長を図る考えだ。
インド市場と電動化戦略の強化
スズキにとって、インド市場は最大の成長ドライバーである。現在、同国の販売比率は全体の約6割を占めており、今後さらに拡大を図る。具体的には、2030年度までにインド市場でEV4モデルを投入し、生産能力を年400万台へと引き上げる計画だ。これにより、インドでのシェア50%奪還を目指す。
【ポイント】
・EV4モデルを投入し、インド市場での競争力を強化
・生産能力を年400万台へと拡大
・トヨタとの協業を強化し、EV・安全技術を共同開発
加えて、中国や米国市場からの撤退により、経営資源を成長市場であるインドに集中させることで、グローバル戦略の最適化を図る。
4兆円の成長投資と財務目標
スズキは2025~2030年度の6年間で、累計4兆円を成長投資に充てる計画だ。
その内訳は、設備投資2兆円と研究開発費2兆円となる。
【ポイント】
・設備投資2兆円(生産能力増強)
・研究開発費2兆円(EV・ソフトウェア開発強化)
・財務目標:売上収益8兆円、営業利益8000億円、ROE13%
・営業利益率10%以上、ROE15%の実現を目指す
設備投資ではインド市場の生産能力増強を中心に、国内外の生産体制を強化する。また、研究開発費については、EVおよびソフトウェア分野の開発強化が主な焦点となる。
株主還元策 累計配当6000億円の実施
スズキは、新中期経営計画のもとで株主還元を一層強化する方針だ。
具体的には、2031年3月期までの累計で6000億円の配当を実施し、安定した累進配当を継続する。
【ポイント】
・累計配当6000億円を実施
・株主資本配当率(DOE)3%を目安に設定
・自己株取得は資本効率や株価水準を考慮して判断
これにより、投資家にとって魅力的な株主還元政策が期待される。
今後の展望と投資家への影響
スズキの新中期経営計画「By Your Side」は、電動化とインド市場の成長を軸に収益力を向上させる戦略である。これにより、スズキはグローバル市場での競争力をさらに強化し、持続的な成長を実現することを目指している。
【ポイント】
・営業利益率の向上による収益基盤の強化
・インド市場でのシェア拡大とEV展開が鍵
・株主還元の強化で長期投資家にとって魅力的な成長ストーリーを提供
スズキは現行の経営計画を1年前倒しで達成しており、新たな成長フェーズへと進む。今後の事業展開がどのように進化するのか、引き続き注目される。