CM炎上の経緯

東洋水産が展開するカップ麺「マルちゃん 赤いきつね」のアニメCMが、SNS上で炎上している。CMには若い女性が自室で「赤いきつね」を食べるシーンが描かれているが、一部のユーザーが「性的だ」「気持ち悪い」と批判。これに対し、多くのユーザーが「どこが問題なのかわからない」と反論し、議論が続いている。
SNS上の反応
このCMは、2025年2月6日にXに投稿された。「#ひとりのよると赤緑」というハッシュタグが付けられ、女性がテレビを見ながら感動し、涙ぐみつつもカップ麺をおいしそうに食べるという内容だ。特に、「ふうっ」と息をつく表情や、顔が赤らむ描写に対して批判が集まった。
批判的な意見としては、「アニメ風の表現がオタク向けであり、不快に感じる」「頬を赤らめる演出が性的である」との指摘があがった。一方で、「普通に食事のシーンを描いただけ」「温かい食事をしたら顔が赤くなるのは自然なこと」といった反論も多く、CMを問題視する声はごく少数派にとどまっている。
識者の見解
識者の中でも、この炎上は「非実在型ネット炎上」の典型例だと指摘されている。国際大学GLOCOM客員研究員の小木曽健氏は、「ごく少数の意見に焦点を当て、あたかも大きな問題であるかのように報じるメディアの影響がある」と分析。
また、成蹊大学客員教授の高橋暁子氏も「萌え絵やジェンダー関連の表現は過剰反応されやすいが、このCMには特に問題視される要素はない」と述べ、過度な対応を控えるよう提言している。
企業の対応と今後の課題
こうした「炎上」を受けて、企業が過剰に対応するケースは少なくない。しかし、今回のCMには露骨な性的表現もなく、客観的に見ても問題のある要素は見当たらない。むしろ、批判に迎合しCMを取り下げるような対応をすれば、企業イメージを損なう可能性がある。
先日も、スシローが炎上を恐れて笑福亭鶴瓶氏のCMを放映中止にした例があるが、こうした対応がかえって企業の信頼を揺るがすこともある。
表現の自由とは、「気に入らないからやめろ」と要求するものではなく、多様な価値観を尊重するためにある。企業は、SNS上の一部の声に過剰に反応するのではなく、本来のターゲット層の支持を見極め、冷静に判断するべきだろう。