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日産がホンダとの経営統合を打ち切る一方で、台湾の鴻海との連携を模索していることが明らかになった。日産出身の関潤氏が1月下旬に来日し、日産幹部と協議。鴻海はルノーとの株式売却交渉も進めており、日産の今後に大きな影響を与える可能性がある。
日産とホンダの統合破談、鴻海との協議浮上
日産自動車がホンダとの経営統合協議を打ち切る一方で、台湾の電子機器製造大手・鴻海(ホンハイ)精密工業との連携を模索していることが明らかになった。日産出身で現在は鴻海の電気自動車(EV)事業の最高戦略責任者(CSO)を務める関潤氏が1月下旬に来日し、日産幹部と協議したという。鴻海の劉揚偉会長は、日産の筆頭株主であるルノーと日産株の売却について協議するよう関氏に指示しており、今後の展開に注目が集まっている。
ホンダとの経営統合はなぜ破談したのか
日産とホンダは2023年12月、経営統合に向けた基本合意書を交わし、共同持ち株会社の設立を検討していた。しかし、2024年2月初旬に日産側が協議の打ち切りを決定。ホンダ側が日産の立て直しを求めたものの、日産側は具体的なリストラ案を提示できず、交渉は難航していた。さらに、ホンダが日産の子会社化を打診したことで、日産経営陣が強く反発。これが統合白紙の決定打となったとみられる。
鴻海との協議の背景と目的
日産の経営統合破談と前後して、鴻海の動きが活発化している。台湾の中央通信社(CNA)によると、関潤氏は1月29日の春節(旧正月)前に来日し、日産幹部と接触。日産とEV分野での提携の可能性を探ったという。
鴻海はAppleのiPhone製造で知られるが、近年はEV事業に注力している。同社はEV開発プラットフォーム「MIH」を展開し、自動車産業への本格参入を進めている。EVシフトが加速する中で、日産との協力は鴻海にとって大きなビジネスチャンスとなる可能性がある。
また、鴻海は日産の筆頭株主であるルノーとも接触しており、日産株の取得を模索しているとの情報もある。日産がホンダとの提携を断った背景には、鴻海との連携を視野に入れていた可能性も指摘されている。
日産・鴻海提携の可能性と課題
日産と鴻海の提携が進めば、EV市場における両社の競争力向上が期待される。日産は長年培ってきた自動車製造技術を持ち、鴻海は電子部品やバッテリー分野での強みを活かすことができる。
一方で、文化や経営スタイルの違いが障壁となる可能性もある。日産は日本の伝統的な自動車メーカーであり、官僚的な意思決定プロセスが特徴だ。一方、鴻海はスピード感のある経営で知られる企業であり、両社の相違点をどう埋めるかが課題となる。
また、日産経営陣の「自主性」を重視する姿勢が、ホンダとの統合破談の要因の一つとされる中、鴻海との提携がどこまで進むのかも不透明だ。
市場の反応と今後の展望
ブルームバーグによると、日産のホンダとの経営統合破談を受け、日産株は一時急上昇。さらに、鴻海との協力報道が出ると、株価は前日比7.5%高の446.4円と1月14日以来の高値を記録した。投資家の間では、鴻海との提携による日産のEV事業の活性化を期待する声も多い。
一方、日本政府の対応も注目される。武藤容治経済産業相は7日の会見で、「ホンダと日産の協議の動向を注視しているが、正式な決定は聞いていない」としながらも、「日本の競争力強化の観点から協業を前向きに考えてほしい」と発言。政府としても、日本の自動車産業の競争力維持に関心を示していることがうかがえる。
日産の今後の選択肢
日産は、ホンダとの統合破談により単独での生き残りを模索することになるが、競争環境は厳しい。EV技術や車載ソフトウェア開発では米国・中国勢に遅れをとっており、自社単独での競争力強化は容易ではない。
そのため、
- 鴻海との提携を本格化し、EV事業を強化
- ルノーとの関係を再構築し、欧州戦略を見直す
- 政府の支援を受けながら国内メーカーとの協力を模索
といった選択肢が考えられる。
とはいえ、ホンダとの統合が白紙となり、日産の将来には再び不透明感が漂っている。
しかし、鴻海との協議が進めば、新たな展開が生まれる可能性もある。
EV市場での競争力強化を図るために、日産がどのような道を選ぶのか、今後の動向が注目される。
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