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アディダス、組織改革で本社人員削減を計画 最大500人解雇か 一方ドイツ企業4割が人手不足に

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ドイツのスポーツ用品大手アディダスは、持続的な成長を目指し、本社で最大500人の人員整理を視野に入れている。組織改革の意図とその影響が注目されている。

本社人員削減の概要

ロイターの報道によると、アディダスは1月23日、組織の評価に着手し始めたばかりのため、現時点では詳細は未定としているが、ドイツ本社で最大500人の従業員を解雇する可能性があるとのこと。同社の声明によれば、今回の措置は単なるコスト削減ではなく、長期的な成長に向けた組織の合理化を目的としている。仮に500人が解雇されるとすると、5800人の本社従業員の約9%が対象になる見込みである。

同社の広報担当者は「社内体制が複雑化しているため、運営モデルの見直しが必要だ」とコメント。一方で、解雇人数の詳細や影響範囲については現時点で確定していないとした。

背景にある要因と影響

アディダスは2024年度の決算速報値で売上高が前年比12%増の約3兆7892億円、営業利益が2139億円に達するなど堅調な業績を発表している。しかし、変化する市場環境や競争の激化に対応するため、効率的な運営体制が求められている。

特に、ナイキとの競争やアジア市場でのシェア争いが激化する中、より迅速な意思決定を可能にするための権限移譲が課題となっている。CEOのビョルン・ガルデン氏は、社内の複雑な意思決定プロセスが成長を阻害しているとの認識を示しており、権限分散と市場への移管を推進する意向だ。

さらに、ドイツの労働市場の状況も影響を与えている。2024年12月の失業率は6.1%で、2021年3月以降で最も高い水準を記録している。このような状況では、正式な教育資格や職業資格が重視されるドイツでは、異なる業種への転職が難しく、解雇された従業員の再就職は大きな課題となる。

ドイツ全体に影響を及ぼす労働力不足

今回のアディダスの動きは、ドイツ全体が直面する深刻な労働力不足問題とも密接に関係している。ドイツ商工会議所(DIHK)の調査(2023年)によると、約2.2万社の企業のうち半数以上が人材不足に直面しており、特に電気設備や機械工業、自動車製造の分野でその影響が顕著であると報告されている。また、連邦統計局によれば、2036年までに約1,290万人が法定の年金受給年齢に達するとされ、これは現在の労働力人口の約3割に相当する。

これに加え、2024年12月時点で行われたDIHKの別の調査では、43%の企業が人材確保に困難を感じているとされており、特に技能労働者の不足が深刻だと指摘されている。このような背景がある中でのアディダスの人員整理が、ドイツ経済全体にどのような影響を及ぼすのかが注目される。

SNSの声

今回のニュースを受け、SNSでは賛否両論の声が上がっている。肯定的な意見としては、「組織の効率化は企業が成長するために必要なステップだ」「アディダスの経営戦略に期待している」といった声が見られる。一方で、「解雇された従業員の生活をどう保障するのか」「業績が良いのに解雇するのは理解できない」といった批判的な意見も少なくない。

こうした反応は、アディダスが今回の改革をいかに進めるかが、ブランドや従業員、さらには社会全体にどのような影響を与えるのかを象徴的に示している。

この先の流れ

アディダスは引き続き組織の評価を進めるとみられている。特に、どの部門が解雇の対象となるか、またその影響がどの程度まで及ぶのかが今後の焦点となる。また、今回の合理化が具体的にどのような競争力向上につながるのかについても注視される。

企業における組織改革は、持続的な成長を目指す上で避けては通れない課題である。アディダスの事例から学べるのは、効率的な運営モデルの構築がいかに重要であるかという点だ。一方で、解雇された従業員に対するサポートや配慮が欠けると、企業ブランドへの信頼を損なうリスクもある。

特に、日本企業にとっては、同様の組織改革を進める際、従業員との対話や再就職支援といった人材マネジメントの重要性を再認識する必要があるだろう。また、労働力不足が深刻化する中、企業は専門技能を持つ労働者の確保と育成にも注力するべきである。

アディダスの今後の対応は、他社にとっても一つの指針となり得る。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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