
韓国ドラマ『たった一人の私の味方』で主演を務めた俳優、チョン・ウヌさんが11日、39歳で死去した。突然の訃報は韓国国内のみならず、日本の韓流ファンにも大きな衝撃を与えている。死因は公表されていない。
しかし、悲報と同時に浮上したのが「詐欺被害」の可能性だ。生前のメッセージが公開され、4年間に及ぶ苦悩が明らかになった。
公開されたチャット「詐欺師が多い」「4年も裏切られた」
故人と親交があったデザイナーのファン・ヨンロン氏がインスタグラムで追悼文を投稿。同時に、生前に交わしたチャットの内容を公開した。
そこに記されていたのは、切実な言葉だった。
「世の中には本当に虚言癖の人が多いし、詐欺師も多いね」
「他人の力で一度耐えてみようとしたけど、4年間あちこちから裏切られ続けると、本当にやっていられない」
「10年以上兄弟のようだった連中が」
金銭的被害の具体的内容は明らかになっていないが、少なくとも長期間にわたり人間関係と金銭問題で深く傷ついていた可能性がある。
朝鮮日報日本語版も同様に、生前メッセージに注目。「僕が放送局のバカだった」「なぜそんな風に生きるのか」といった言葉を紹介している。
最後のインスタ投稿に残された“暗号”
亡くなる前日、ウヌさんは香港の名優レスリー・チャンさん、英国の歌手エイミー・ワインハウスさんの写真を投稿し、「恋しくて、うらやましくて、名残惜しくて。PIR BG」と綴った。
「PIR BG」を逆から読むと「Good Bye, Rest In Peace」と読めるとの解釈が広がっている。偶然か、それとも意図的だったのか。今となっては知る術はない。
韓国芸能界と詐欺問題の実態
韓国では近年、芸能人を狙った投資詐欺や知人間トラブルが相次いでいる。成功者であるがゆえに資産があると見なされ、ターゲットになるケースも多い。
特に問題視されているのが「知人・元同僚による投資勧誘型詐欺」だ。信頼関係を利用するため、被害者は公表をためらうことも少なくない。
ウヌさんのケースが刑事事件に発展するかは現時点で不明だが、公開メッセージの内容からは、精神的な消耗が長期間続いていたことがうかがえる。
バスケットボール選手から主演俳優へ
1986年生まれ。松島中学・高校ではバスケットボール選手として活躍したが、負傷により断念。東国大学演劇映画科に進学し、2006年にドラマ『シャープ3』でデビューした。
その後、『太陽の花嫁』『大切に育てた娘 ハナ』などで主演を務め、2018年放送の『たった一人の私の味方』では高視聴率を記録。誠実で温かい役柄を多く演じ、安定した演技力で支持を集めてきた。
スクリーンでは誰かを守る存在だった。しかし現実では、信頼の崩壊と金銭トラブルに直面していた可能性がある。
残された問いと、報道の姿勢
現時点で死因は公表されていない。詐欺被害と直接的な因果関係があったかも確認されていない。
だからこそ、憶測で語るべきではない。
ただ、4年間という時間の重み、繰り返された「裏切り」という言葉は、軽く受け止められるものではない。
彼が語った「よく生きるというのは金持ちになることじゃなくて、コミュニケーションだと思う」という一文が、今、改めて胸に響く。



