
大手菓子メーカー・ロッテの人気商品「チョコパイ」に、“人間の歯”と思われる異物が混入していたという投稿がSNSで拡散され、波紋を広げている。
投稿者は「光の速さで回収に来たが、やはり歯だった」と訴え、分析結果を公開。一方、ロッテは「歯と推定される」と認めつつも「製造工程での混入の可能性は極めて低い」と説明しており、真相はいまだ不明のままだ。
「ガリっとしたら歯だった」──拡散した衝撃の投稿
発端は今月11日、X(旧Twitter)に投稿された一枚の写真だった。
投稿者の男性は「【異物混入拡散希望】ロッテのチョコパイ食べてたらガリっと。よく見たら歯じゃない? 光の速さで回収に来たけど、やっぱり歯だった。原因不明です(終わり) 二度とロッテは信用しない。食事恐怖症になったよ」と書き込み、チョコパイの中から見つかったという白い異物の写真を添付した。
投稿は瞬く間に拡散され、7000件を超えるリポスト、4万件以上の「いいね」を獲得。表示回数は4800万件に達し、SNS上では「チョコパイに歯!?」「あり得ない」といった驚きと不安の声が相次いだ。
写真には、チョコとスポンジの間に挟まれた白い物体が写っており、見た目は乳歯のようにも見える。食品への異物混入としてはあまりに異例な“生々しさ”が、拡散の勢いを加速させた。
「もう食べられない」「自分の歯では」ネット上で飛び交う憶測
SNS上では、「どうやったら歯が混入するんだ」「怖すぎてもう食べられない」「知らん人の歯とキスした気分」といった声が相次いだ。
一方で、「ロッテの工場は衛生管理が徹底されている」「自分の歯が欠けたのでは」といった冷静な意見も見られた。
投稿者はその後の投稿で、異物やパッケージの残品を未洗浄で保管し、ロッテにすべて提供したと説明。「ネットでは“自分の歯ではないか”と言われていますが、口内に傷はなく、混入していたものは形状や大きさから見て乳歯のようでした」と反論した。
ただ、投稿者の素性や発見状況の詳細は不明で、事実関係の裏付けは取れていない。
ロッテが分析「歯と推定」も 混入経路の特定はできず
13日、ロッテはENCOUNTなどの取材に文書で回答。「お客様からのご連絡を受け、当社で分析いたしました結果、歯と推定されました」と明記した。
ただし、製造工程での混入は「極めて考えにくい」と説明している。
同社によると、工場では作業員のマスク着用を義務づけ、原材料から包装まで複数段階のX線検査を導入している。問題のロットについて検査記録を確認したが、異常は確認されなかったという。さらに、問題の異物を同型のX線検出装置に通したところ、きちんと異物として検知・排出されたことが分かった。
報告書には「この度のようなご指摘をいただき、関係者一同深く反省しております」「弊社製品をお買い求めいただきながら、ご不快な思いをお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪の文面も記載。
ただし、調査の結果、混入経路は特定できず、製造工程以外での可能性も排除できないと結論づけている。
「炎上狙いでは?」投稿者への疑念も浮上
SNS上では次第に“投稿自体への疑い”が広がった。
「本当に歯が入っていたならもっと大騒ぎになっているはず」「バズ狙いの自作自演では」「こういうのは企業の信用を一瞬で壊す」といった意見が目立った。
過去にも、飲食店やメーカーへの虚偽通報が問題化した事例があり、今回の件でも「企業の誠実な対応を逆手に取った炎上ビジネスではないか」との指摘もある。
一方で、「ロッテが“歯と推定”と認めた以上、何らかの異物は実在したのだろう」と見る向きもあり、議論は二分している。
SNS時代の“告発”が突きつけるリスク
異物混入問題は、食品メーカーにとって最大級のリスクだ。しかし、SNSの普及によって、情報が真偽不明のまま拡散し、企業の評判が一瞬で揺らぐ時代となった。
今回の件では、投稿者が示した「分析書」とロッテ側の公式見解が一致している部分もあるが、混入経路の説明がつかないため、結論は出ていない。
ロッテは「今後とも品質・衛生管理に万全を期し、お客様に安心してお召し上がりいただける製品づくりに努めてまいります」とコメント。消費者の信頼回復に全力を尽くす姿勢を示した。
一方で、SNSでは「企業が公式に説明しても疑惑は残る」「証拠よりも印象が先行してしまう」といった指摘もあり、情報発信と企業広報の在り方が改めて問われている。
“歯の混入”をめぐる真相が明らかになる日は来るのか。疑念と炎上の狭間で、食品と信頼をめぐる議論は続いている。



