ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

フィフィ、中国総領事発言に痛烈批判 JFA炎上・小池都知事問題までもの申す“論客ぶり”の源流とは

コラム&ニュース コラム
リンクをコピー
フィフィ
フィフィ 公式インスタグラムより

エジプト出身タレントのフィフィが放つ数々の投稿が、インターネット世論の一角を強く揺らしている。
高市早苗首相に対する中国・薛剣駐大阪総領事の「汚い首は斬ってやる」発言、日本サッカー協会(JFA)の新キャンペーン炎上、小池百合子都知事の「エジプト合意」と学歴疑惑、そして外国人労働者政策。

それぞれ別個の出来事に見えるニュースの節目ごとに、フィフィは切り込むように言葉を投げ込み、賛同と反発を同時に引き寄せてきた。
単なる“炎上タレント”では片づけられない、その一貫した問題意識と影響力を、主な発言を軸に深掘りする。

 

 

中国総領事「汚い首は斬ってやる」発言と、「黙〜って何もしない国」への苛立ち

発端となったのは、中国の薛剣・駐大阪総領事による過激な投稿だった。

高市早苗首相が国会で、いわゆる「台湾有事」が安全保障関連法の「存立危機事態」に該当し得ると答弁したことを受け、薛総領事がX(旧ツイッター)に「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」と投稿したとされる内容が拡散した。

日本政府は外務省や在中国大使館を通じて抗議し、投稿の削除を求めたと説明している。木原稔官房長官は「中国の在外公館の長の言動として極めて不適切」と述べたが、薛総領事の国外退去などの強い措置には踏み込んでいない。

ここでフィフィが放った一文が、多くのユーザーの感情に火をつけた。

「もうさぁ、、そういうポーズはいいから、とっとと国外に追放したらいいじゃん。日本ぐらいだよ、国のトップが脅迫されても、黙~~って、なんもしない国」

さらに「問題発言の総領事をとっとと国外追放すればいいのに、ハニトラ議員たちが反対するのかな…」と投稿し、日本政府の対応を「弱腰」と断じるだけでなく、対中関係をめぐる政界内部のしがらみを匂わせた。

コメント欄では、「即刻ペルソナ・ノン・グラータにすべきだ」「日本が舐められている」といった声が相次ぎ、自民党外交部会などが官邸に提出した「毅然とした対応」を求める決議とも呼応する形になった。

外交儀礼や国際法上の評価とは別に、「国のトップが露骨に脅されても、強い姿勢を見せられない日本」という構図に対する苛立ちを、フィフィは感情むき出しの言葉で代弁してみせた格好だ。

 

JFA「太極旗そっくり」炎上 一言で“違和感”に輪郭を与える

フィフィの矛先は、安全保障や外交だけに向けられているわけではない。
スポーツやエンタメといった領域でも、彼女は「これはおかしい」と感じた瞬間に声を上げる。

日本サッカー協会(JFA)が発表したサッカー日本代表「SAMURAI BLUE」の新キャンペーンで、JO1とINIのメンバーから成るユニット「JI BLUE」をオフィシャルアンバサダーに起用した際、プロモーション画像のデザインがSNSで炎上した。

白地の背景に赤い円と青い図形を組み合わせたビジュアルが、韓国の国旗「太極旗」を連想させるという指摘が相次いだのである。
Xでは「これで炎上しないわけない」「韓国応援ポスターにしか見えない」といった投稿が拡散し、トレンドに浮上した。

ここでもフィフィは、煽り立てるというより、あくまで感じた違和感を淡々と共有する形でこう投稿した。

「どことなく太極旗…」

短い一文にすぎないが、「何かに似ている」とモヤモヤしていた多くのユーザーにとっては、その感覚を言語化してくれる言葉になった。
JFAは「太極旗をイメージさせる意図はない」と文書で否定したが、所属事務所Lapone Entertainmentに韓国企業CJ ENMが出資していることも背景として指摘され、議論は「スポーツビジネスにおける韓国資本の影響」や「代表チームのシンボルに他国のイメージを持ち込む妥当性」へと広がった。

賛否は分かれるものの、フィフィの投稿は、元々くすぶっていたサッカーファンの不信感や日韓感情の複雑さを、表舞台に引き出す役割を果たしたと言える。

 

小池百合子「エジプト合意」デモ 母国をも批判しながら訴えたもの

フィフィの発言がより立体的に見えるのは、本人が現場にも立つところだ。

2025年9月、東京都庁前では、小池百合子知事の辞任を求める大規模なデモが行われた。
きっかけは、東京都とエジプト側との間で結ばれたエジプト人労働者の雇用促進に関する合意書だ。デモ参加者はこれを「実質的な移民政策だ」と批判し、さらに小池知事の「カイロ大学首席卒業」をめぐる学歴疑惑も重ねて追及した。

その中心でマイクを握っていたのがフィフィだった。
週刊新潮系の報道によれば、彼女は都庁前で、

「エジプト人に言われちゃ、おしまいだよなぁ。首席で卒業? カイロ大学? うそをつくなぁ。小池辞めろ。移民政策許さないぞ」

と声を張り上げ、参加者の拍手を浴びたという。

エジプトは自身の出身国である。
本来なら「エジプトとの合意は歓迎」と述べてもおかしくない立場にもかかわらず、フィフィは「エジプトに恩を売るかたちで移民政策を進めるなら、エジプトのイメージも悪くなる」とむしろ母国側への影響も口にした。

メディアの多くが静岡・伊東市長の学歴問題を繰り返し取り上げる一方で、小池都知事の学歴疑惑に踏み込まない姿勢に対しても、フィフィはXで「同じ熱量で“緑のたぬき”も追及してほしい」と皮肉を交えて批判している。

政治家ではなくタレントでありながら、「移民政策」「学歴疑惑」「メディアの偏り」という複数の論点を一つの線で結び、デモとSNSを行き来しながら問題提起を続けている点が特徴的だ。

 

外国人労働者・移民政策 10年以上前から続くフィフィの“原点”

今回の一連の発言だけを見ると、フィフィが突然政治色を強めたようにも映る。
しかし、本人は「たぶん古すぎて記事も動画も出てこないかもだけど、タレントという立場で外国人労働者の受け入れに警鐘を鳴らしていたのは私ぐらいでしょうね」とXで述べており、少なくとも10年以上前から同テーマを訴えてきたと主張している。

2023年に刊行された著書『まだ本当のことを言わないの? 日本の9大タブー』(幻冬舎)でも、「外国人留学生、外国人労働者」を一章として割き、「優遇される外国人留学生と大量受け入れの外国人労働者。その裏にある同一のカラクリ」や「実質的な“移民解禁”でどうなるニッポン?」といった問題提起を行っている。

同書では、国家安全保障、中国の脅威、韓流ブーム、カルト宗教、利権と癒着など、多岐にわたるテーマを取り上げており、「移民・外国人政策」はその中でも中心的な論点の一つに位置づけられている。

今回の東京都とエジプトの合意や、中国総領事発言への反応は、こうした長年の問題意識の延長線上にあると見る方が自然だろう。
つまり、目の前のニュースに飛びついているというより、「日本がこのままでは危ない」という彼女なりの危機感が、各トピックに結びついて表出している構図だ。

“論客タレント”としてのポジション 支持と警戒が共存する存在

フィフィの強みは、いくつかの軸が重なったところにある。

第一に、「外国人としての視点」と「日本への愛着」が同居している点だ。
エジプト出身でありながら、日本語で日本社会の問題点を厳しく指摘し、ときには母国の政治や宗教観にも批判的なスタンスを取る。その姿勢は、一部の保守層にとって「外から見ても日本は危ういと言っている」という説得力を持つ。

第二に、テレビなどマスメディアの文脈からやや距離を取り、XやYouTubeといったプラットフォームで直接発信している点である。
学歴問題や移民問題など、既存メディアが慎重になりがちなテーマも、フィフィは名前を挙げ、疑問をそのまま投げかける。そこに「テレビが言わないことを言ってくれる」という期待が集まりやすい。

一方で、リスクも小さくない。
「ハニトラ議員」といった表現に見られるように、裏のカラクリを匂わせる言い回しは、具体的な根拠が示されないまま陰謀論的な受け取られ方をする危険もある。中国総領事の暴言への怒りと、日本政府の対応への不満を共有したい読者にとっては痛快なフレーズでも、感情だけが先行すれば、冷静な外交判断や法的な枠組みの議論とは乖離しかねない。

 

また、JFAポスター問題のように、デザインの意図や制作過程が完全には明らかでない段階で「太極旗に見える」と拡散されることで、事実関係の確認よりも印象が先行してしまう側面もある。

それでもなお、フィフィの言葉がこれほど多くの共感を集める背景には、「モヤモヤしているのに誰も代わりに言ってくれない」という現代日本特有の空気がある。
政治家の言葉が慎重さゆえに抽象的になり、メディアもスポンサーや配慮のバランスから踏み込みづらいテーマを抱える中で、フィフィのストレートな発信は、心情的な避雷針として機能している。

 

フィフィ現象が映す「日本社会の今」

中国総領事の暴言、JFAポスター炎上、小池都知事の「エジプト合意」、外国人労働者・移民政策。
フィフィが反応してきた出来事を並べると、日本が直面しているのは単なる炎上ネタではなく、主権、安全保障、人口減少、労働力、メディア信頼といった根源的なテーマだと分かる。

彼女は政治家でも研究者でもない。
だからこそ政策設計の細部までは踏み込めない一方で、専門家の言葉が届きにくい層に感情ベースの問題意識を伝える役割を果たしているとも言える。

その発信は、時に過激で、時に粗い。
しかし、そこに集まる賛同や不安、怒りのボリュームを直視することは、「何が今の日本人を不安にさせているのか」を知るための手がかりにもなる。

フィフィの言葉をどう評価するかは、受け手によって分かれる。
ただ一つ確かなのは、彼女の投稿や街頭での訴えが、ニュースの見出しの向こう側に潜んでいた感情を引き出し、社会の本音を映す鏡のような役割を担ってしまっているという現実だ。

 

Tags

ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

関連記事

タグ

To Top