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フジテレビ、元トップを提訴 港浩一前社長・大多亮元専務に50億円請求

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異例の提訴 損害の一部50億円を請求

フジ・メディアホールディングスは、子会社フジテレビジョンが港浩一前社長と大多亮元専務取締役を相手取り、東京地裁に損害賠償請求訴訟を提起したと発表した。請求額は50億円。フジテレビは、元タレント中居正広氏と元アナウンサーをめぐる事案で、両氏が取締役として当然果たすべき善管注意義務(会社法423条)を怠り、結果的に約453億円の損害を招いたと主張している。その一部を請求する形だ。

 

経営刷新と訴訟方針の表明

事案をめぐる批判を受け、2024年1月に港氏は社長を辞任。後任には清水賢治氏が就任し、第三者委員会設置など体制見直しが進められた。6月にはフジテレビが「元トップを提訴する方針」を明らかにしており、今回の提訴はその流れを具体化したものだ。

会社側は声明で「コンプライアンス強化に真摯に取り組む姿勢を示すため、元取締役の責任追及は不可欠」と強調している。

 

広告減少と業績悪

この問題の余波で広告出稿は抑制され、親会社フジ・メディアホールディングスは通期業績を下方修正。直近四半期では営業赤字を計上するなど、放送事業の収益基盤は揺らいでいる。

「スキャンダルによる広告主の離反」と「視聴率低迷」が重なり、フジテレビにとって信頼回復と収益改善は喫緊の課題だ。

 

再建への挑戦 配信事業の拡大

フジテレビは現在、「FOD(フジテレビオンデマンド)」を軸にDX戦略を進めている。

  • FOD有料会員は150万人超(2024年8月時点)
  • AVOD(広告付き配信)は月間再生1億回を突破し、民放初の大台に到達
  • LGテレビ対応を開始し、視聴環境を拡大

加えて、Netflixへのコンテンツ外販や国際共同制作にも取り組み、国内外でIPビジネスを広げつつある。

 

再建への挑戦 ガバナンス改革

訴訟と並行して、経営体制の改革も進行中だ。

  • 取締役会の人数削減、女性比率の引き上げ
  • 第三者委員会による経営監督強化
  • 人権・コンプライアンスの抜本見直し

会社は「改革の進捗を四半期ごとに公表する」としており、透明性の高い経営を打ち出す姿勢を示している。

 

再建への挑戦 若年層マーケティングとスポーツ戦略

視聴者の若年層離れが顕著な中、フジテレビはSNSや動画プラットフォームとの連携を強化。参加型コンテンツやショート動画施策を通じて、Z世代・ミレニアル世代を取り込もうとしている。

また、かつての強みだったスポーツ中継を活かし、配信と組み合わせた新しい視聴体験の構築を狙っている。

 

ガバナンスとDXの両輪が試される

今回の提訴は、フジテレビが「過去の清算」と「未来への投資」を両立させる試金石となる。訴訟で事実関係を明確にし、責任の所在を正すことは必要だが、それ以上に問われるのは、配信事業の拡大や国際戦略を持続可能な形で成長させられるかどうかである。

フジテレビは、かつての「王者」から脱落し、今は再起をかけた改革の途上にある。放送局としての公共性と、総合メディア企業としての収益性をどう両立するか。今回の訴訟は、その答えを迫る場面となるだろう。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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