
読売新聞が8月27日朝刊1面で「維新・池下卓衆院議員の秘書給与不正受給を東京地検特捜部が捜査」と報じたが、実際の対象は石井章参院議員だった。読売は同日夕に池下氏へ直接謝罪し、28日付朝刊で訂正記事を掲載する。相次ぐ誤報に新聞報道の信頼性が問われている。
朝刊1面が一変させた一日
8月27日朝、読売新聞の1面を開いた読者は衝撃を受けた。大見出しには「公設秘書給与 不正受給か 維新衆院議員 東京地検捜査」。名前とともに掲載されたのは、大阪10区選出の池下卓衆院議員だった。記事は「勤務実態がない公設秘書が給与を受け取っており、池下氏も認識していた可能性がある」と断定的に伝えていた。
しかし、午後になると事態は急転する。記事の対象は誤りで、実際に東京地検特捜部の家宅捜索を受けたのは石井章参院議員の事務所だった。
大阪・高槻での謝罪劇
午後4時すぎ、大阪府高槻市の池下氏事務所。緊張した面持ちで訪れたのは読売新聞東京本社の編集幹部らだ。編集局次長が深々と頭を下げ、「記事は誤報でした」と謝罪した。
「私や関係者の名誉を大きく傷つけた。極めて遺憾です」
池下氏は報道陣の前で静かに怒りをにじませた。しかも謝罪の席で、読売側は池下氏の名前を「タケシタ」と言い間違えるという失態まで重ね、不信感はさらに強まった。
読売新聞「強制捜査の対象を誤った」
読売新聞グループ本社広報部は取材に対しこう答えた。
「本日付朝刊で報じた池下卓衆院議員に関する記事は、東京地検の強制捜査対象を誤っていました。実際は石井章参院議員でした。池下議員および関係者の皆さまにおわび申し上げます。28日付朝刊1面で訂正記事を掲載します」
相次ぐ誤報と揺らぐ信頼
読売新聞は先の参院選でも「石破首相退陣へ」との号外を出し、後に誤報とされたばかり。相次ぐ誤報にネット上では「週刊誌化している」「訂正記事は同じ1面で出すべき」との厳しい声があふれている。
35年にわたり愛読してきたという読者はSNSにこう書き込んだ。
「変わり果てた週刊文春そのもの。愛読は止めようと思う」
信頼を生命線とする新聞にとって、誤報は致命的だ。訂正記事の掲載方法や読売の対応は、今後の新聞報道全体への信頼に直結する。