男の自慰行為に100ドルの罰金!?男は阿鼻叫喚、ほくそ笑む女たち。

「オナニーしたら100ドル!」
世界よ、これがアメリカンジョークを効かせた女たちの復讐劇だ。
「自慰は有料の時代」。そんな未来を予言したのはSF作家ではなく、現職の政治家だった。
場所はおなじみ、アメリカのカオス王国・テキサス州。そこに登場したのは、とんでもない爆弾法案。その中身はというと…
「男性が自慰を行った場合、1回につき100ドルの罰金を科す」
……何を言っているのか分からない? こっちが聞きたい。
しかもこれ、ギャグでも都市伝説でもない。テキサス州の女性議員が本当に提出した“合法的な法案”なのだ。
この一見バカバカしい内容だが、提出したのはれっきとした民主党の女性議員、ジェシカ・ファーラー氏。もちろん本気で可決を狙っているわけではない。
これは、中絶をめぐる厳しすぎる規制に対して“男たちにも味あわせてやろう”という、究極の皮肉だ。
精子にも「生命の尊厳」?勃起薬にも“24時間ルール”が襲いかかる
この法案、ただの冗談では終わらない。「自慰1回100ドル」に加え、バイアグラなどの勃起不全治療薬を購入する場合にも、24時間の待機期間を設けると明記している。
さらに、精管切除(いわゆるパイプカット)を希望する男性にも、同様の「クールダウン期間」が必要になるという徹底ぶり。
これはまさに、女性が中絶を選ぶときに課されるさまざまなハードルと全く同じ構造だ。
ファーラー議員は言う。
「男性にも、女性が日々直面している“選択の自由のなさ”を味わってもらいたかった」
「男の知る権利」ってなんだよ!皮肉が効きすぎて議会もピリピリ
この法案には正式名称がある。その名も「男性の知る権利法」。
これは、テキサス州で中絶を望む女性に対し、必ず読ませるよう義務付けられているパンフレット『女性の知る権利』への、強烈なカウンターパンチだ。
そのパンフには、胎児の心拍情報や“命の大切さ”を宗教的に強調する内容が詰まっており、事実上「中絶をやめろ」という思想が刷り込まれる構造となっている。
ファーラー議員は、この不均衡を「笑えない不平等」と断じた。
「男の精子にも罰を!」VS「そんなバカな」保守派議員が怒りの反撃
当然、議会は大荒れに。共和党のトニー・ティンダーホルト議員は「生物学に無知すぎる」と猛批判。
だが、このティンダーホルト氏は過去に「中絶を行った女性や医師を殺人罪で訴追できるようにする法案」を提出しており、今回の“皮肉法案”の照準は、まさに彼のようなキリスト教原理主義というか、“生命原理主義”な思考を持つ人に向けられたものだ。
SNSでは男たちの阿鼻叫喚が。
SNSでは嘆き悲しむテキサス男性たちの悲痛な声が吐露されている。「何が自由の国だよ……」「俺はいますぐにテキサスを出なければならない!」「やっと女の苦しみがわかったよ、だからファーラー先生、お願いだから、こんな悪法は取り下げてくれ」
アメリカ人流のジョークを交えたものから、男女間のジェンダーギャップを真剣に語るものまでいろいろある。
しかし、こういった法案が出される背景には実は切実な理由があった。
中絶できる都市はたった7つ 「精子より子宮が軽んじられる社会」への怒り
この法案の背景には、テキサス州の現実がある。州内で中絶手術が受けられるクリニックは、かつて44カ所あったが、2014年の州法によって一時18カ所にまで激減。今も、手術が可能な都市はたった7市のみ。州西部では「中絶砂漠」とまで呼ばれている。
さらに、妊婦の死亡率は全米でもトップクラス。妊娠合併症による死亡は2010年から2014年の間に倍増し、「命を守る」と声高に叫ぶ州が、実際の母体の安全には目を向けていないという矛盾が浮かび上がる。
最後に笑うのは誰か?「もしも男が生理を経験したら」 そんな仮定が、現実になった日
もちろんこの法案が可決される可能性はゼロに近い。だが、ここまでユーモアと怒りを融合させた立法活動は、今までに例がない。
“法案を使ったスタンドアップコメディ”とも言えるこの提案。ジェシカ・ファーラー議員の行動は、単なる風刺を超えて、全米の「リプロダクティブ・ジャスティス(性と生殖の公正)」への意識を大きく揺さぶったことは間違いない。