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鳥山明さんの命日、3月1日 漫画界のレジェンドの功績と偉業、“わかりやすさ”の魅力をたどる

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ペルーの首都リマにある鳥山を描いた壁画
ペルーの首都リマにある鳥山明先生を描いた壁画(2024年、wikipediaより)

3月1日は日本漫画界を代表する巨匠・鳥山明先生の命日だ。彼の作品は、世代を超えて愛され、国内外で多くの人々に影響を与えてきた。代表作『ドラゴンボール』は、単なる漫画の枠を超え、アニメ、映画、ゲームなど多岐にわたる展開を見せ、今もなお世界中で高い人気を誇る。
今回は、鳥山先生の功績と、彼が生み出した作品の“わかりやすさ”の魅力を改めて振り返る。

 

3月1日、鳥山明先生の命日

「ドラゴンボールDAIMA」の最終回が命日に放送された偶然と演出

2025年2月28日深夜、新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』の最終回が放送された。鳥山明先生の命日である3月1日を迎える直前のタイミングだったことから、ネット上では「偶然なのか、それともスタッフの計らいなのか」と話題になった。

SNSでは、「これが鳥山先生の最後のドラゴンボール作品…感慨深い」「先生が見届けたかった作品が、先生の命日に幕を閉じるなんて運命的だ」と多くのファンがコメントし、追悼の声があふれた。

この放送は、まるで鳥山明先生の業績を振り返るためのタイミングであったかのように感じられる。その作品を通じて、彼の漫画がどれだけ多くの人々の人生に影響を与えてきたかが改めて実感された。

鳥山明先生が創り出した世界

代表作「Dr.スランプ」と「ドラゴンボール」の誕生と成功

鳥山明先生の代表作といえば、1980年に連載が始まった『Dr.スランプ』と、その後の1984年に誕生した『ドラゴンボール』である。

『Dr.スランプ』は、ロボット少女・則巻アラレを主人公にしたギャグ漫画で、コミカルで明るい作風が特徴的だった。連載開始後すぐに爆発的な人気を獲得し、1981年にはアニメ化され、日本全国で社会現象を巻き起こした。特に、アラレの特徴的な言動や「んちゃ!」「キーン!」といったユニークなセリフは、当時の子供たちの間で流行語となった。アニメの視聴率は30%を超えることもあり、多くの世代に親しまれた作品となった。

一方で『ドラゴンボール』は、孫悟空というキャラクターの成長を描いた冒険・バトル漫画としてスタートし、連載当初は「西遊記」をモチーフにした冒険譚だった。しかし、次第にバトル中心のストーリーへと進化し、その結果として爆発的な人気を獲得することとなる。特に、「天下一武道会」や「フリーザ編」「セル編」など、名勝負が次々と繰り広げられ、少年漫画の新たなスタンダードを確立した。結果として、日本国内のみならず世界80カ国以上で出版され、累計発行部数は2億6000万部以上に達し、世界的なベストセラーとなった。

また、アニメ版『ドラゴンボール』も1986年にスタートし、その後『ドラゴンボールZ』『ドラゴンボールGT』『ドラゴンボール超』と続く大ヒットシリーズへと成長した。特に『ドラゴンボールZ』は、1990年代にアメリカなどで放送され、海外市場でも絶大な人気を誇る作品となった。さらに、劇場版も多数制作され、2022年公開の『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』は世界興行収入136億円を記録し、改めてその人気の根強さを証明した。

漫画、アニメ、映画、ゲームと多岐にわたる展開を見せ、鳥山明先生の生み出したキャラクターたちは今なお世界中で愛され続けている。

「ドラゴンクエスト」への貢献とキャラクターデザイン

鳥山明先生は漫画だけでなく、ゲーム業界にも計り知れない影響を与えた。1986年に発売されたRPGゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズでは、キャラクターデザインを担当し、スライムやドラゴン、ゴーレムなどの個性的で親しみやすいモンスターを生み出した。その愛らしくも洗練されたデザインはゲームの世界観を決定づけ、『ドラクエ』を日本だけでなく、世界的な人気作へと押し上げる一因となった。

ドラクエのシリーズはナンバリングタイトルだけで12作(2024年時点)を数え、スピンオフ作品やリメイクを含めると50作以上がリリースされている。全世界での累計出荷・配信本数は8300万本を超え、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』は全世界で600万本以上の売上を記録。特に日本国内では社会現象とも言える人気を誇り、新作発売日には会社や学校を休む人が続出するほどだった。

さらに、『ドラゴンクエスト』のキャラクターやモンスターは、世界中のゲームファンに親しまれ、『スマブラ』シリーズへの参戦や、『ドラクエウォーク』『ドラクエタクト』などのモバイルゲームでもその人気が衰えないことを証明している。鳥山明先生のデザインがなければ、現在の『ドラゴンクエスト』の成功はなかったと言っても過言ではないだろう。

「わかりやすさ」の天才

 

デフォルメの巧みさ、シンプルかつ魅力的なキャラクターデザイン

鳥山明先生の作品が世界中で愛され続ける理由のひとつに、その“わかりやすさ”がある。
筆者が思う鳥山明先生の作品のわかりやすさは以下の点だと思っている。

・ シンプルな線で描かれたキャラクター
・ ひと目で理解できる特徴的なデザイン
・ 直感的に物語を楽しめるストーリー構成

こうした要素が、子供から大人まで幅広い層に受け入れられる要因となっていると考える。

特に、鳥山明先生のキャラクターデザインの妙は、シンプルながらも洗練されたフォルムとバランスにある。例えば、『ドラゴンクエスト』のスライムは、従来のスライムの“ドロドロとした不定形な姿”とは異なり、誰でもひと目で“スライム”と認識できるアイコニックな形状にデザインされた。このようなキャラクターの形状の最適化は、彼の作品のどれを取っても共通して見られる特徴である。

「戦闘力」という概念を生み出し、バトル漫画の基盤を築いた

『ドラゴンボール』がバトル漫画に革命をもたらした要素のひとつが、「戦闘力」の概念でだろう。それまでの漫画では、キャラクター同士の強さは感覚的にしか描かれなかったが、鳥山明先生は「スカウター」というアイテムを登場させ、戦闘力を数値化することで、読者がキャラクターの強さを瞬時に理解できるシステムを作り上げた。「戦闘力53万」というセリフはファンなら口にしたこともあるかもしれない。

このシステムの導入により、キャラクターの成長やパワーアップが明確に可視化され、バトルの緊張感が飛躍的に向上した。また、「戦闘力のインフレ」という概念も生まれ、強敵が登場するたびに主人公が成長し、さらなる強敵と戦うという流れが確立された。これは後のバトル漫画にも大きな影響を与え、『NARUTO』のチャクラ量や『ONE PIECE』の覇気の概念など、多くの作品に応用されている。

さらに、鳥山明先生のバトル描写の“わかりやすさ”は、コマの流れにも表れている。例えば、パンチやキックの動きは、無駄な線を省きながらもスピード感を重視した描写となっており、読者が自然と視線を動かせるように設計されている。これは彼のデザイナーとしてのセンスが活かされた部分であり、シンプルながらも洗練された表現技法のひとつである。

このように、鳥山明先生の“わかりやすさ”は、単なるビジュアル面だけでなく、物語の構造や読者の視線誘導に至るまで、緻密に計算されたものであった。その功績が、今なお世界中で愛される理由のひとつとなっている。

著名漫画家たちへの影響

 

多くの人気漫画家が、鳥山明先生の影響を公言している。

尾田栄一郎 先生(ONE PIECE)
「鳥山先生の漫画からは、キャラ作りの面白さを学んだ。彼のデフォルメの妙や、シンプルながらも奥深いキャラクター造形は、今の自分の作品作りにも大きく影響を与えている」(『ONE PIECE総集編 Vol.1』インタビューより)

岸本斉史 先生(NARUTO)
「バトルのテンポやキャラクターデザインに大きな影響を受けた。特にバトルシーンの迫力や、キャラクター同士の掛け合いのリズムは、鳥山先生の作品から学んだものが多い」(『NARUTO イラスト集 UZUMAKI』より)

堀井雄二 先生(ドラゴンクエスト生みの親)
「鳥山先生のキャラデザインがなければ、ドラクエはここまでの作品にはならなかった。彼の生み出したキャラクターの魅力が、ゲーム世界を彩り、プレイヤーを惹きつけた」(『週刊ファミ通』2016年インタビューより)

桂正和 先生(電影少女、ZETMAN)
「鳥山さんの絵は、まるで生命を持っているかのような力強さがある。シンプルな線なのに、ものすごく説得力がある」(『桂正和×鳥山明対談』より)

このように、鳥山明先生の作品は、漫画だけでなく、映画、アニメ、さらにはゲーム業界にも多大な影響を与えてきた。その魅力は今後も色褪せることなく、後世のクリエイターたちに受け継がれていくことだろう。

鳥山明先生の遺したもの

 

鳥山明先生は、亡くなる直前まで新たな創作に挑み続けていた。特に『SAND LAND』のアニメ化やゲーム化は、彼の新たな世界観を広げる試みの一環であり、長年のファンにとって大きな期待を集めたプロジェクトであった。本作は、荒廃した砂漠の世界を舞台に、魔王の息子と人間が共闘する物語であり、鳥山明先生が得意とするユーモアとアクションが絶妙に融合した作品となっている。また、彼自身がストーリーの原案やデザインに深く関わり、制作に熱意を注いでいたことが知られている。

さらに、新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』は、彼が直接手掛けた最後の『ドラゴンボール』シリーズとして、特別な意味を持つ作品となった。本作は、ある陰謀によって小さくなってしまった悟空たちが未知の世界で冒険を繰り広げるという、鳥山明先生らしい発想に満ちた物語であり、キャラクターデザインやストーリー設定にも積極的に関与していたという。これらの作品は、鳥山明先生の創造力がいかに衰えることなく、新たな挑戦を続けていたかを物語っている。

彼の描いた世界、創り出したキャラクターたちは、これからも多くのファンに愛され続け、漫画だけでなく、アニメ、ゲームなど多方面にわたる影響を残し続けるだろう。『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』だけでなく、『SAND LAND』のような新たな挑戦も、彼の創作の幅広さを証明するものであり、今後も漫画、アニメ、ゲーム界の未来に大きな足跡を残していくことは間違いない。

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ライター:

サブカル分野を中心に執筆するフリーライター。アニメを中心とした二次元をこよなく愛し、推しへの愛とリスペクトを忘れず、作品の魅力やキャストの想いを届ける記事を心がけています。レビュー、考察、インタビュー、イベントレポートなど、多方面からアニメ・サブカルの魅力を発信。

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