
老舗の結婚式場「ホテル雅叙園東京」が、2025年10月から改装のため一時閉館することが判明した。この影響で、同時期に結婚式を予定していた多くのカップルが突然のキャンセル通知を受け、SNS上では怒りや困惑の声が広がっている。背景には、新オーナーであるカナダの投資会社「ブルックフィールド・アセット・マネジメント」の存在がある。果たして、この急な閉館の裏には何があるのか。
突然の結婚式キャンセルに広がる混乱
老舗の結婚式場「ホテル雅叙園東京」(東京都目黒区)は、2025年10月1日から2026年3月31日までの全館改装工事に伴い、一時閉館することを発表した。このため、期間中に予定されていた結婚式はすべてキャンセルとなり、予約者へは個別に通知が行われた。
TBS NEWS DIGによると、結婚式の突然のキャンセルにSNS上では「1年前から準備していたのに」「オーナー変更に伴い突然キャンセルされた」といった失望の声が相次いでいるという。また、ホテル側は結婚式の予約者に対し、代替式場への変更時に迷惑料として10万円を支払う方針を示しているが、「繁忙期に短期間で代替会場を見つけるのは困難」との声も多い。
改装の背景 新オーナー「ブルックフィールド」の登場
2025年1月からカナダの投資運用会社「ブルックフィールド・アセット・マネジメント」がホテル雅叙園東京の一部所有権を取得している。オーナー変更の直後、ホテル側は事業戦略の再検討を行い、全館改装工事の実施を決定した。
ホテルの広報担当者は「2025年10月から2026年3月まで全館を休館し、館内設備の刷新を行う。具体的な再開日程は未定で、詳細は公式HPで順次告知する」と述べている。
ブルックフィールド・アセット・マネジメントとは
ブルックフィールド・アセット・マネジメントは、世界30か国以上で事業を展開するカナダの大手投資運用会社である。同社の運用資産は1兆ドルを超え、不動産、インフラ、再生可能エネルギー、プライベートエクイティといった多様な分野に投資している。
ブルックフィールド・アセット・マネジメントの実績と日本での活動
・歴史:1899年創業、125年以上の歴史を持つオルタナティブ資産運用のパイオニア
・投資分野:世界主要都市に高級ホテル、オフィスビルを保有
・日本での展開:2015年に東京にオフィスを設立し、日本の不動産やインフラ事業に積極投資
※参照:ブルックフィールド・アセット・マネジメント
なぜ雅叙園を取得したのか ブルックフィールドの狙い
ブルックフィールドは、日本市場において高付加価値な不動産再生を強化しており、ホテル雅叙園東京もその一環とみられる。
狙い① 高級ホテルブランドの再構築
ホテル雅叙園東京は、昭和から続く「日本初の総合結婚式場」として23万組以上のカップルを迎えてきた歴史を持つ。東洋一の美術の殿堂と称される館内は観光資産としての価値も高く、改装後はさらに高級路線に舵を切る可能性が高い。
狙い② 東京・目黒エリアの資産価値向上
目黒区は再開発やインバウンド需要の高まりから不動産価値が上昇しているエリアである。ブルックフィールドはホテル雅叙園を再生し、宿泊、婚礼、MICE(会議・展示会など)の複合機能を強化することで資産価値をさらに高める狙いがある。
利用者への影響と対応状況
結婚式の予約者は、突然のキャンセルに混乱している。TBS NEWS DIGの報道によれば、ホテル側は以下の対応を進めている。
・個別対応:予約者へ順次案内を実施中
・迷惑料支払い:他式場への変更時、1組あたり10万円の迷惑料を提示
・再開時期未定:再開時の優先予約措置などは未発表
しかし、秋から冬は結婚式の繁忙期であるため、予約者の多くが「希望日程の再調整は困難」と不安を訴えている。
今後の展望—再開後の雅叙園はどう変わるのか
専門家の見立てでは、改装後のホテル雅叙園東京は「ラグジュアリーホテル」として再出発する可能性が高い。ブルックフィールドは世界各地でラグジュアリーホテルの再生を手がけており、雅叙園もその成功事例に加えたいと考えているだろう。
まとめ:混乱の裏に見える再生戦略
今回の突然のキャンセル騒動は、多くの利用者にとって衝撃的な出来事となった。
しかし、その背景にはブルックフィールドによる大規模な再生プロジェクトがある。
老舗の格式を残しつつ、新たな価値を生み出せるかがホテル雅叙園東京の今後の課題となるだろう。利用者に対する誠実な対応と、再開後の魅力的な施設づくりが、ブランドの未来を左右することになる。