キョウデンの元社長で現歌手の橋本ひろしとはビッグモーター兼重宏行100億円不動産の購入者

旧ビッグモーターの不動産4物件が100億円で売却

旧ビッグモーターの創業者である兼重宏行前社長（73）が所有していた不動産4物件が、計100億円で売却された。この物件を購入したのは、歌手としても知られる実業家・橋本ひろし氏（72）であると、週刊新潮が2月3日に報じた。

BMは2023年に発覚した保険金不正請求問題により経営が揺らぎ、2024年5月には伊藤忠商事らによって買収されたのはご承知の通り。兼重家は損害賠償への対応などのため、100億円を拠出する必要があり、その資金捻出の一環として、今回の不動産売却が行われた。

ところで、橋本ひろし氏とは何者なのか？調べてみたら、すごい人だった。

売却された豪華不動産の詳細

売却された物件には、兼重前社長が住んでいた「ビッグモーター御殿」と呼ばれる目黒区青葉台の大豪邸、軽井沢の広大な別荘、京都・南禅寺近くの日本家屋、熱海の高台に位置する邸宅が含まれている。

それぞれが豪華な設計となっており、目黒の本宅はかつてソニー創業者・盛田昭夫氏が住んでいた土地に建てられ、玄関には滝が流れるなど、まるで高級ホテルのような造りになっていた。軽井沢の別荘は約2900坪もの広大な敷地に二棟の邸宅が建てられ、京都の日本家屋は南禅寺近くの歴史ある地区に位置し、伝統的な美しさが際立つ邸宅である。熱海の邸宅は海を望む高台に建ち、モダンで洗練されたデザインが特徴とのこと。

不動産を購入した橋本ひろしとは？

この不動産を一括購入した橋本ひろし氏は、表向きは歌手として活動しているが、実際には電子部品メーカー「キョウデン」の創業者であり、元代表取締役会長としての実業家としての顔が知られている。

キョウデンは1983年に長野県で創業され、プリント基板の設計・製造を主業とする企業である。特に、小ロット・多品種・短納期に対応するサービスに強みを持ち、半導体、車載機器、FA機器、通信機器などの分野で高いシェアを誇っている。2000年代には、経営破綻した企業の再生事業にも手を広げ、長崎屋の再生やレジャー施設「大江戸温泉物語」のチェーン展開などを成功させた。

これにより、事業規模を大きく拡大し、2007年にはグループ全体で売上3000億円を突破。その後、橋本氏はキョウデンの全株式をベインキャピタルに売却し、経営の第一線を退いた。

2023年には、キョウデンの筆頭株主である橋本氏の資産管理会社が株式公開買付けを実施し、最終的に株式の67.15%を取得。その後、キョウデンは東京証券取引所の上場を廃止し、2024年にはカーライル・グループに株式が譲渡された。カーライルは、キョウデンの製造技術強化や海外展開を支援し、さらなる成長を目指している。

キョウデンの最新経営体制と新社長の就任

2025年1月1日付で、キョウデンの代表取締役社長に宮永圭一郎氏が就任した。宮永氏は青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、日産自動車やマレリなど自動車関連企業で要職を歴任してきた。新たな経営体制のもと、キョウデンは技術革新や市場ニーズへの対応を強化し、グローバル市場へのさらなる展開や新規事業分野への投資を積極的に進める方針を打ち出している。

エンタメ分野への進出と音楽活動

橋本氏はまた、2000年代以降、音楽活動にも本格的に取り組んでいる。50歳を過ぎてから歌手活動を開始し、「橋本ひろしと冒険団」というグループを結成。2006年には「目標」という曲が有線放送のインディーズチャートで1位を獲得。その後、ソロ活動へ転向し、「おっさん辛いね泣きたいね」が配信チャートで上位にランクインした。ユニバーサルシグマからメジャーデビューも果たし、自身のライブ活動も精力的に行っている。

さらに、エンタメ分野にも進出し、2014年には代々木アニメーション学院を買収。同学院の学院長は現在、橋本大輝氏となっているが、おそらくご子息なのか、実質的なオーナーは橋本一族なのだろう。

同学院といえば近年は、AKB48の元メンバーである指原莉乃氏と協力し、新たな女性アイドルグループ「イコールラブ」をプロデュースするなど、商業的成功を収めている。「秋元康氏に依頼するのではなく、指原というのが橋本氏のビジネス的嗅覚に長けたところ」とは、アニメ好きの識者の弁。