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船井電機の親会社FUNAI GROUP、民事再生法申請 新旧経営陣の対立が泥沼化

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秀和システムのHP
秀和システムのHPより

出版事業を手掛ける秀和システム(東京・江東)が、FUNAI GROUP(旧船井電機・ホールディングス)に対して東京地裁に民事再生法の適用を申し立てたことが9日、明らかになった。日本経済新聞の取材に対し、秀和システムの上田智一社長の代理人弁護士が認めた。

この動きは、船井電機グループ全体の混迷がいっそう深まることを意味する。破産手続きと再建手続きの狭間で揺れるFUNAI GROUPは、今や経営の主導権を巡る新旧経営陣の激しい権力闘争の様相を呈している。

破産の危機に民事再生で対抗する秀和システム

FUNAI GROUPは、2024年10月24日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。その後、破産管財人を務める片山英二弁護士から破産申し立てがなされ、11月21日付で保全管理命令が出されている。これに対して、上田氏側は民事再生法を申請し、破産手続きの中止を狙っているとみられる。

破産手続きが進行すれば、船井電機グループは清算に追い込まれる可能性が高い。しかし、秀和システムはそれを阻止するため、民事再生というカードを切った。事業継続の可能性を模索するこの動きは、一見すると希望の光にも見えるが、裏には激しい対立がある。

新旧経営陣の対立――泥沼化する骨肉の争い

船井電機グループを巡る混乱は、単なる経営難にとどまらず、経営権を巡る新旧経営陣の深刻な対立が背景にある。破産推進派と反対派に分かれた両陣営は、法廷闘争を含め、激しい攻防を繰り広げている。

2024年12月には、船井電機の破産に反対する原田義昭・元環境相が申し立てた破産開始決定の即時抗告が東京高裁で却下された。この裁判では、高裁が原田氏の船井電機取締役就任の正当性にも疑義を呈し、経営権を巡る争いは泥沼化の様相を見せている。

今回の民事再生法申請は、上田氏がFUNAI GROUPの実権を取り戻すための最後の手段とみられる。だが、破産管財人側もこれを容易には受け入れないだろう。法廷外の交渉、あるいはさらなる法的手段に発展する可能性もある。

深まる混迷 地裁の判断は分水嶺となるか

今後の焦点は、地裁がFUNAI GROUPの破産手続き開始を認めるか、それとも民事再生手続きを進めるかにかかっている。破産手続きが進めば、FUNAI GROUPの事業は清算の道を辿る。一方、民事再生が認められれば、秀和システムが主導する再建計画が動き出すことになる。

しかし、仮に民事再生手続きが開始されたとしても、船井電機グループの再建は茨の道だ。新旧経営陣の対立は解消される気配がなく、再建の過程でも新たな火種が生まれる可能性が高い。

さらに、同グループは事業の縮小が続き、ブランド力も低下している。市場からの信頼を取り戻すには、再建計画の具体性と実効性が問われることになるだろう。

今後のシナリオ 対立はどこまで続くのか

FUNAI GROUPを巡る今後のシナリオとしては、いくつかの展開が考えられる。

一つは、破産手続きのシナリオだ。地裁が破産手続きを開始すれば、グループは解体に向かい、資産売却が進む。一部の事業は他社に引き継がれる可能性もある。

あるいは、民事再生手続きのシナリオもあるだろう。民事再生が認められれば、秀和システムが中心となり再建計画が進むが、対立が残る場合、計画の実行は難航することが想定される。

または、和解によって新体制となるシナリオもある。両陣営が譲歩し、和解に至る可能性もゼロではない。ただし、これには相当な調整力が必要だ。

経営者の資質が問われる局面

今回の騒動は、経営者としての上田氏の資質が問われる局面でもある。彼がこの混迷を乗り越え、船井電機グループを再建できるかどうかは、日本の経営者たちにとっても重要な教訓を提供するだろう。

一方、破産推進派の片山弁護士らも、清算の道が最善であるとの主張を貫いている。企業の存続か、清算か――船井電機グループの行方は、今まさに分水嶺に立たされている。

【船井電機のその他の報道はこちらから】

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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