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2025年問題に挑む日本企業の課題と未来

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2025年問題

2025年、団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となることで、社会に大きな転換点が訪れる。この「2025年問題」は、医療や福祉、雇用にとどまらず、あらゆる業界の企業経営に直接的な影響を与えるとされる。

本記事では、2025年問題の概要と各業界が直面する課題、さらに企業が取るべき対応策について詳しく解説する。

1. 「2025年問題」とは何か? これから何が起きるのか

2025年は、日本の団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者となる年であり、超高齢化社会の到来を象徴する大きな節目である。これにより、社会保障制度、医療・介護体制、そして労働市場に大きな変化をもたらす。

第一に、社会保障費、特に年金、医療、介護にかかる費用が急増する。現役世代の減少と高齢者の増加という構造的な変化により、社会保障制度の維持が困難になることが懸念されている。

第二に、医療・介護の需要が急増する一方で、供給体制は逼迫する。医療従事者や介護職員の不足は既に深刻な問題となっており、2025年以降、この状況はさらに悪化すると予想される。

第三に、生産年齢人口の減少により、労働力不足が深刻化する。企業は人材確保に奔走することになり、事業の継続性さえ危ぶまれる可能性がある。

さらに、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」も大きな問題である。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の遅れにより、既存システムの維持・運用コストが増大し、年間最大12兆円の経済損失が発生するリスクを指す。この問題は、企業の競争力低下に直結する危機として捉えられている。

2. 2025年問題が企業に及ぼす影響

2025年問題は、あらゆる業界に大きな影響を及ぼす。

(1) IT・情報サービス業界

「2025年の崖」による既存システムの老朽化と技術者不足が深刻化する。既存システムの維持にコストを割き、DX推進が遅れることで企業の競争力が低下するリスクが高まる。

(2) 医療・介護業界

需要の増加と人材不足という二重苦に直面する。医療・介護サービスの質の低下や事業継続の危機といった深刻な事態も想定される。

(3) 建設業界や物流業界

高齢化が進み、熟練技能の継承が課題となっている。若手人材の確保が困難な中、生産性向上や労働環境の改善が求められる。

(4) 中小企業

多くの中小企業で経営者の高齢化が進み、2025年までに約127万人が後継者未定の状態にある。事業承継が進まなければ、地域経済の停滞や技術の散逸につながる可能性が高い。

3. 企業が取るべき対応策

(1) 人材マネジメントの強化

企業は、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を提供し、優秀な人材の確保・定着を図ることが重要である。多様な雇用形態の導入は、個々の事情に合わせた柔軟な勤務体系を可能にし、従業員のワークライフバランス向上に貢献する。

高齢者の経験・知識を活かすシニア人材の活用も有効な手段である。豊富な経験を持つシニア層は、労働力不足を補うだけでなく、組織の活性化にも寄与する。また、仕事と介護の両立に悩むビジネスケアラーへの支援策も不可欠である。介護と仕事の両立を支援する制度を整備することで、社員の負担を軽減し、生産性の維持・向上を図ることができる。

(2) DX推進の加速

老朽化したレガシーシステムを刷新し、DX推進の基盤を築くことは、企業の競争力強化に不可欠である。最新のテクノロジーを導入することで、業務効率化やデータ活用の促進、新たなビジネスモデルの創出が可能になる。

AIや自動化技術の導入も、業務効率化・生産性向上に大きく貢献する。これらの技術を活用することで、人材不足を補い、限られたリソースを最大限に活用することが可能になる。同時に、DX推進を担う人材の育成も重要である。社内人材の育成や外部人材の活用を通じて、DX推進に必要なスキルを持つ人材を確保する必要がある。

(3) 事業承継とM&Aの活用

次世代経営者を育成し、円滑な事業承継を実現することは、企業の長期的な発展に不可欠である。後継者不足は、企業の存続を脅かす深刻な問題であり、早期からの後継者育成が重要になる。

M&Aも事業承継を円滑に進めるための有効な手段である。適切なM&A戦略は、事業の継続性と成長を確保する上で重要な役割を果たす。また、経営承継円滑化法など、国が提供する支援制度の活用も積極的に検討すべきである。これらの制度を活用することで、事業承継に伴う様々な負担を軽減し、スムーズな事業承継を実現できる。

4. 将来を見据えた備え:「2030年問題」「2040年問題」

2025年問題は、始まりに過ぎない。2030年には団塊ジュニア世代が高齢化を迎え、2040年には高齢化率がピークを迎えると予測されている。

企業は、2025年問題への対応だけでなく、長期的な視点に立った人材戦略、事業戦略を策定する必要がある。持続可能な社会・経済システムの構築に向けて、今から取り組むことが重要だ。

5. まとめ:未来を見据えた行動を

2025年問題は、単なる高齢化の進行にとどまらず、社会全体の構造変化を促す過渡期的な現象である。企業がこの問題に対応しなければ、将来的に競争力を失うリスクが高まる。

今からでも遅くはない。人材確保、DX推進、事業承継の3本柱を中心に、企業は長期的な視点で対応策を講じる必要がある。2025年を一つの転機と捉え、持続可能な成長を目指すための行動を開始すべきだ。

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サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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