
「お笑い流行ってない論争」とは何か。ダウ90000・蓮見翔の発言をきっかけに、『ゴッドタン』『テレビ千鳥』でも議論となったテーマを解説。キングオブコント王者の認知度検証や、テレビ離れ・SNS時代のお笑いの変化について考察。
ダウ90000蓮見翔が投げかけた問題提起
「お笑いって、本当に流行っているのだろうか。」
そんな、お笑い業界にとって耳の痛いテーマが近年たびたび議論になっている。
発端となったのは、お笑いユニット・ダウ90000の蓮見翔が『ゴッドタン』で語った「お笑い流行ってない論争」だ。
「お笑いは一部の熱狂的なファンの中では盛り上がっているが、世間一般には全然流行っていない。」
この発言は芸人やファンの間で大きな反響を呼び、『テレビ千鳥』でも検証企画が放送されるなど、現在も議論が続いている。
果たして、お笑いは本当に”流行っていない”のだろうか。
「お笑い流行ってない論争」とは
この論争の発端は、ダウ90000・蓮見翔が『大悟の芸人領収書』で語った一言だった。
蓮見は、
「芸人たちは”お笑いは野球や恋愛くらい流行っている”と思っているが、一般の方からしたらそうではない」
という趣旨の発言をし、大きな反響を呼んだ。
これまで芸人同士の間では漠然と感じられていたことを、蓮見が言語化した形だった。
『テレビ千鳥』の検証でも厳しい結果に
このテーマは『テレビ千鳥』でも取り上げられた。
番組では、「歴代キングオブコント王者を一般の人はどれくらい知っているのか」という街頭調査を実施。
しかし結果は厳しく、キングオブコント優勝者の名前を答えられる人はごくわずかだった。
一方で、「MBTI(16タイプ性格診断)」など近年のネット発トレンドについては、多くの若者が認知しているという結果に。
これを見た千鳥・大悟は、「わしらは何をしてるんや……」と絶句していた。
「芸人は増えた」のに「スター」は減った
確かに現在、お笑いコンテンツ自体は決して少なくない。
M-1グランプリ・キングオブコント・THE SECOND・R-1グランプリ・THE W。
さらにはYouTubeや配信番組まで含めれば、お笑いに触れる機会はむしろ増えている。
それでも、「誰もが知るスター芸人」は以前より少なくなったと言われる。
これは芸人の実力が落ちたという話ではない。
「全員が同じテレビを見ていた時代」が終わったことが大きい。
テレビが「共通体験」ではなくなった
かつては、
『笑っていいとも!』
『エンタの神様』
『爆笑レッドカーペット』
『はねるのトびら』
など、国民的なお笑い番組が存在した。
翌日には学校や職場で、「あのネタ見た?」という会話が自然に生まれていた。
しかし現在は、Netflixなどのサブスクサービス、YouTubeやTikTokなどのSNS、TVer・ABEMAなどの独自web放送局など視聴先が細分化。
同じ番組を全国民が見る時代ではなくなった。
その結果、お笑いも「みんなが知っている文化」から、「好きな人が深く楽しむ文化」へ変化したと言える。
スポーツや音楽にも同じ現象が起きている
実は、この現象はお笑いだけではない。
例えば野球。昔はプロ野球中継がゴールデンタイムの定番だったが、現在では若い世代でも現役選手をほとんど知らない人は少なくない。
音楽も同様だ。CD全盛期には誰もが同じヒット曲を口ずさんでいたが、今はSpotifyやYouTubeで好きなジャンルだけを聴く時代。
「国民的ヒット」が生まれにくくなっている。
つまり、お笑いだけが衰退したというより、エンタメ全体が”マス”から”細分化”へ移行しているのである。
それでもM-1だけは社会現象になる理由
そんな中でも例外と言えるのがM-1グランプリだ。
決勝戦は毎年大きな話題となり、SNSでも全国的な盛り上がりを見せる。
令和ロマン、ウエストランド、錦鯉など、優勝をきっかけに一気に知名度を上げた芸人も少なくない。
ただ、それでも翌年には新たな話題へ移ってしまう。
以前のように何年も「国民的スター」であり続ける難しさは、年々増しているように見える。
「流行っていない」のではなく、「流行り方」が変わった
蓮見翔の問題提起は、「お笑いは終わった」という話ではない。
むしろ、「お笑いが国民全体の共通文化ではなくなった」という現実を指摘したものだった。
現在のお笑いは、劇場で楽しむ人、YouTubeだけを見る人、賞レースだけ追う人、TikTokで切り抜きだけ見る人など、楽しみ方そのものが細分化している。
そのため、以前のように「全国民が知る流行」を生みにくくなったのだろう。
お笑いは”ブーム”から”趣味”へ?
「お笑い流行ってない論争」は、一見すると芸人への厳しい指摘にも聞こえる。
しかし実際には、テレビ、お笑い、音楽、スポーツなど、日本のエンターテインメント全体が直面している変化を象徴する議論でもある。
お笑いが面白くなくなったわけではない。
流行り方が変わり、「みんなが見るもの」から「好きな人が深く楽しむもの」へと変化しただけなのかもしれない。
蓮見翔の一言は、お笑い界だけでなく、現代のエンタメ全体を考える上でも非常に示唆に富んだ問題提起だったと言えそうだ。



