
例年2日間で約15万人が訪れる日本最大級の学園祭が、開幕当日から事実上停止。長期間にわたり準備を重ねてきた学生団体や、楽しみにしていた来場者に深い失望と残念な思いが広がっている。
爆破予告の詳細
16日朝、主催の保守系学生サークル「右合の衆」に爆破予告メールが届いた。メールは本郷・弥生キャンパス各所への爆弾設置と爆破を予告する具体的な内容だった。午前11時半の受付開始を断念し、不審物検索などの安全確認作業が始まった。時系列は以下の通りである。
11日、発信者不明のアカウントが神谷代表講演に対し「集団行動を呼びかけます」と投稿。同日、しばき隊系の活動家が東大前での抗議を呼びかけた。
16日朝に爆破予告メールが届き、12時57分頃には会場前で活動家集団とスタッフが膠着状態となった。13時頃に講演中止が決定し、五月祭常任委員会が全企画中止を発表した。
この行為は威力業務妨害罪に該当する犯罪行為とされ、警視庁が直ちに捜査を開始。メールの送信元IPアドレスやアカウント解析を進めているが、現時点で犯人の特定や逮捕の発表はない。
五月祭常任委員会は大学側と協議を重ね、キャンパス内の安全確認を徹底した上で全企画中止を決定した。
東大五月祭実行委員会の声明
五月祭常任委員会は公式Xアカウントで「安全管理上の理由により、本日全ての企画実行を中止致します」と発表した。
大学および警察との協議結果、来場者、企画者、実行委員の安全を確保することが極めて困難と判断したと説明。「強い遺憾の意」を表明し、キャンパスの安全確認を徹底した上で17日の開催可否を検討するとした。来場者および企画者への謝罪も明記し、追加情報は追って公表する方針を示した。
声明では学生の自主的な活動の場が脅かされたことへの悔しさもにじみ出ており、実行委員会の残念な気持ちが強く表れている。
参政党神谷宗幣代表講演をめぐる事前抗議文書
神谷代表の講演は「日本の進路と現代政治」をテーマに、16日午後に本郷キャンパス法文1号館で予定されていた。
神谷氏と参政党の塩入清香参院議員、右合の衆代表も登壇し、質疑応答も組み込まれていた。これに対し、11日頃にX上で学生有志「差別とデマのない五月祭を」が抗議文書を公開した。
抗議文書は「神谷氏とその政党のこれまでの言動を見るに、この場が脅かされるのではないかと憂慮せざるをえません。無根拠なデマの流布は公共的な意思の形成を歪め、差別的言動は人々の尊厳を傷つけます」と指摘。
「差別的・非科学的な言論の自粛を強く求めます」「必要に応じて集団行動を呼びかけます」と記し、連絡先は非公表だった。
神谷氏は「予定通り参加する」との姿勢を示していたが、爆破予告により講演自体が中止となった。
主催団体は「卑劣な行為、許せない」と強く非難している。
第99回五月祭の概要と人気度
第99回五月祭のテーマは「『好き』が芽吹くとき。」。
例年約500から600を超える団体が参加し、模擬店、ステージイベント、パフォーマンス、学術展示、VR体験、電子工作など多様な企画が展開される。入場無料・申込不要で誰でも参加可能という開放性が大きな魅力だ。
来場者数は2日間で約15万人規模で、過去に15万8千人や16万人を記録した実績があり、全国の大学祭の中でもトップクラスの動員力を誇る。東大のブランド力とキャンパスの重厚感が相まって、家族連れ、高校生、一般客から幅広い支持を集め、「一度は行ってみたい憧れの学園祭」として定着している。
2026年も準備万端だっただけに、中止の影響は計り知れない。
学生たちが最大の被害者
今回の事件で最も深刻な被害を受けたのは、企画準備に半年から1年近くを費やしてきた学生たちである。屋台の食材仕込み、ステージのリハーサル、展示物の制作・設営、グッズ作成など、努力の結晶が開幕当日に突然中断された。
来場者からも「楽しみにしてきたのに残念」「また来年は」との声が相次いでいる。
出店予定の模擬店や企画団体では、食材の廃棄、設備・資材の損失、制作費の無駄など、明確な金銭的損害が発生しているケースが多数確認されている。
中には数十万円規模の投資をした団体もあり、明日も中止となればさらに損失が拡大する見通しだ。
被害を受けた学生団体からは「準備期間の努力がすべて水の泡になった」「大学側の一方的な対応で責任の所在が不明確」との声が上がり、損害補償や説明を求める動きも出始めている。
大学祭は学生の自主性と創造性を育む大切な場だ。
爆破予告という卑劣な脅迫により、文化・学術活動の機会が奪われたことは極めて遺憾であり、残念でならない。警察による早期捜査解決と、17日の安全な開催再開が強く望まれる。



