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ヒダカラが挑む おから再生活用と深山豆富店が作る究極のショコラ

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ヒダカラが挑む おから再生活用と深山豆富店が作る究極のショコラ
提供:株式会社 ヒダカラ

国内で発生するおからの9割が廃棄される現実を前に、岐阜県白川村の「深山豆富店」が動いた。食用再利用率わずか1%という壁を、顧客の声から生まれた「しっとり食感」のショコラケーキが打ち破る。

 

捨てられるはずの「宝」を救い出す、執念の改良劇

岐阜県大野郡白川村。世界遺産の合掌造り集落にほど近い場所で、かつて一度は暖簾を下ろした「深山豆富店」が、再び静かな、しかし確かな熱気を帯びている。運営を担う株式会社ヒダカラが今回、世に送り出したのは、豆腐製造の過程で必ず生まれる「おから」を主役に据えた「おからショコラケーキ」の改良版だ。

2025年に発売した前身のブラウニーは、おから特有のパサつきを抑えたなめらかさが売りだった。しかし、市場の反応は甘くない。「カットする際に崩れやすい」という、家庭での実用性を突く切実な声が届いたのだ。

ヒダカラは即座に動いた。徳島県の「幸デザインスタジオ」と再びタッグを組み、米粉と少量の小豆を新たに配合。しっとりとした質感と、手土産としても成立する保形性を両立させた。顧客の不満を「伸びしろ」と捉え、一過性のブームで終わらせない執念が、この深化を支えている。

外部の知見を繋ぎ合わせる「共創」のビジネスモデル

提供:株式会社 ヒダカラ

特筆すべきは、同社のサステナビリティが自社完結型ではない点にある。通常、地域の豆腐店が抱えるおからの処分問題は、単独では肥料や飼料への転用が関の山だ。しかしヒダカラは、商品開発担当の山川真知子氏が他社のバナナケーキにヒントを得たように、外部の専門家や異なる地域のクリエイターと積極的に接続する。

「素材の組み合わせによって、改善できるのではないか」

現場の直感は、米粉やカカオニブという現代的なエッセンスと融合し、おからの「健康食品」という地味なイメージを、濃厚な「嗜好品」へと昇華させた。自社の課題をオープンにし、志を同じくする者と知恵を出し合う。この軽やかなフットワークこそが、伝統ある豆腐店の事業承継を成功させた原動力に他ならない。

失われゆく郷土の技と、未利用資源への視座

 

この取り組みの背景には、2021年に一度閉店した店を救い出したというヒダカラの強い自負がある。代表の舩坂香菜子氏をはじめとするスタッフたちは、先代から「石豆富」作りの修行を受ける中で、おからが食材として活用されていない「もったいない」現状を目の当たりにした。

日本豆腐協会によれば、年間約66万トンのうち、人間の口に入るのはわずか1%。この構造的な課題に対し、彼らは単に環境保護という「正論」を振りかざすのではない。あくまで「美味しいから手に取る」という経済合理性に則った一皿を提示した。地域の伝統を守ることは、そこから生まれる副産物の価値をも守ることであるという、深い哲学が根底に流れている。

中小企業が示す、地域循環経済の現実解

深山豆富店の歩みから我々が学ぶべきは、資源の有効活用を「義務」ではなく「物語」へと変換する力だ。地域資源を再定義し、顧客の声を糧にアップデートを繰り返す。これは大資本が手掛ける大規模なリサイクルとは対極にある、血の通った循環経済の姿である。

小麦や乳製品を使わず、それでいて贅沢な満足感を与えるショコラケーキ。そこには、廃棄されるはずだったおからが、地域の雇用と伝統を守るための「金の卵」へと変わる可能性が詰まっている。地方の小規模事業者が、最新のトレンドと伝統の狭間で最適解を導き出すこのプロセスは、今後の地域再生における一つの指針となるだろう。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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