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「K2シロップ不要論」に医療現場から警鐘 “自然派育児”投稿拡散で議論に

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K2シロップ
エーザイ株式会社 商品HPより引用

新生児のK2シロップをめぐりSNSで不要論が拡散。「母乳だけで十分」という主張に対し、医療関係者から強い警鐘が上がっている。

「K2シロップ不要論」が拡散

新生児に投与される「K2シロップ」をめぐり、SNS上で新たな議論が広がっている。

K2シロップは、新生児の「ビタミンK欠乏性出血症」を防ぐための経口薬で、日本では長年にわたり投与が推奨されてきた。

しかし近年、ThreadsなどSNS上では、
「母乳だけで完全栄養なのに、特定栄養素だけ不足するわけがない」
「健康な母親の母乳ならビタミンK不足は起きない」
「赤ちゃんは神聖だから飲ませない」
といった、過激な“K2シロップ不要論”が散見されるようになっている。

一方で医療関係者からは、
「それは極めて危険な誤解」
との声が強く上がっている。

 

K2シロップとは何か

K2シロップは、赤ちゃんの体内で不足しやすい「ビタミンK」を補う薬だ。

ビタミンKは血液を正常に凝固させるために必要不可欠な栄養素で、不足すると重篤な出血を引き起こすことがある。

特に問題視されているのが、
「ビタミンK欠乏性出血症」
の中でも、生後数週間〜数か月後に発症する“遅発型”。

これは脳内出血を伴うケースが多く、死亡率は20〜50%ともされ、生存しても半数以上に重い後遺症が残ると言われている。
日本では1980年代以降、日本小児科学会などが推奨する「3か月法」が普及。
その結果、年間数十例規模で起きていた重症例は大きく減少した。

 

「昔はなかったから不要」は危険な誤解

SNSでは、
「昔はK2シロップなんて無くても、赤ちゃんは元気に育っていた」
という声も見られる。
しかし、これは正しいようで正しく無い。
“K2シロップが存在しなかった時代”には、現在より高い割合で赤ちゃんの脳出血が起きていたのだ。

つまり、「昔は無かった=必要ない」ではなく、昔は防げず亡くなっていた赤ちゃんがいたという事実が裏に隠れているのだ。
医療は、“昔から自然に存在していたもの”だけで成り立っているわけではない。
ワクチンや抗生物質と同じく、「防げる死亡や後遺症を減らすため」に発展してきた側面がある。

 

「製薬利権」論への反論も 製造会社は製造するほど赤字

自然派界隈では、
「製薬会社の利権では?」
という主張も見られる。

しかし医療関係者からは、
「K2シロップは1回24円程度。利益目的どころか、むしろ赤字覚悟に近い供給」
との反論もある。

実際、K2シロップは高額医薬品とは程遠く、巨大な利益を生むビジネスとは言い難い。
むしろ問題は、SNSでの不正確な情報が親の不安を煽ってしまうことにあると指摘されている。

 

看護師の証言「患者祖父が捨てて呼吸止まった」

SNSでは、ある看護師の体験談も注目を集めた。

その投稿によれば、
「赤ん坊が脳卒中なんて起こすわけない」
と赤ちゃんの祖父がK2シロップを廃棄。
その後、赤ちゃんの容体が急変し緊急搬送、直後に呼吸停止状態になったという。

もちろん個別事例だけで全体は語れない。
ただ、飲ませない選択には現実に重大リスクが存在することを示す話として、多くの人に衝撃を与えた。

 

「自然」「昔ながら」と「安全」は同義ではない

近年、“自然派育児”への関心は高まっている。
できるだけ添加物を避けたい。
薬に頼りすぎたくない。
そう考える親の気持ち自体は理解できる。

しかし、「自然=絶対安全」ではない。

人類は長い歴史の中で、感染症、出血、栄養不足によって多くの子どもを失ってきた。
現代医療は、その死亡率を少しずつ下げてきた積み重ねでもある。
だからこそ、“昔ながら”だけを根拠に医療を否定することには慎重さが求められる。

 

不安な時こそ、SNSではなく専門家へ

SNSにはさまざまな体験談が流れる。
しかし、強い言葉や陰謀論的な主張ほど拡散されやすいのも事実だ。
特に新生児医療は、わずかな判断ミスが重大な結果につながる場合もある。
だからこそ、不安や疑問がある時は、ThreadsやXの投稿ではなく、
・小児科医
・産婦人科医
・助産師
・自治体の保健師
など、専門家へ相談することが重要だろう。

赤ちゃんを守りたいという気持ちは、誰も同じだ。
その上で、“怖い情報”より、“積み重ねられた医療データ”をどう見るかが問われている。

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ムーンサルト もも

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広告代理店勤務を経て、Webメディア運営会社での編集・記事制作を経験。現在はフリーランスのWebライターとして活動。ネットミーム愛好家。

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