
RIZAP建設の事業概要と狙い
RIZAPグループはチョコザップの爆速出店で培ったノウハウを外販する。資材の直輸入や中間マージン排除、多重下請け構造の見直しにより、建設業界の課題である高いコストと長い工期を解決するとする。テスト段階となる2025年10月から2026年3月にはすでに186件を受注し、売上約30億円を達成したという。同社は自社店舗の内装を中心に外部企業への出店支援も展開する。
RIZAP建設代表取締役社長の幕田純氏は、これまで自社で蓄積したノウハウを建設業という新たなフィールドで体現すると意気込んだ。グループ代表取締役社長の瀬戸健氏は、建設業界の兆単位の市場規模を指摘し、RIZAP建設をグループの大きな柱に育てると強調している。チョコザップ事業の成功で得たキャッシュフローを、多角化戦略に振り向ける形で事業拡大を図る。
最大500人のリスキリング計画の詳細
最大の特徴は、AI活用による業務効率化で捻出された人的リソースを建設分野へシフトする点だ。グループ全体でDXを推進し、業務効率を20パーセント向上させた結果、生まれた余剰人員を対象とする。
すでに約50人が出向し、キャリアチェンジを進めている。リスキリングの内容は、技能習得と資格取得の全面支援が柱となる。チョコザップ出店で培った壁紙貼りやマシン設置などの実務経験を基に、OJTを中心としたトレーニングを実施。国家資格取得を会社がバックアップし、伴走型育成プログラムを展開する方針だ。幕田社長は研修カリキュラムの一部がすでに開始されていると説明した。
将来的には社外からのキャリアチェンジ希望者も受け入れ、建設人材を永続的に輩出するプラットフォームを目指す。RIZAP流の結果にコミットした教育手法を応用し、座学と実技を融合させたアカデミー運用を予定している。グループ全体で約4600人の社員のうち1割強を対象とする大胆な計画は、フィットネス事業の生産性向上で生まれた人的余力を新たな分野に振り向ける試みだ。
新3Kで建設業界の働き方改革を提案
RIZAPは建設業界の伝統的な3K(きつい、汚い、危険)を新3K(健康、快活、給与アップ)に再定義する。トレーナー時代に培ったフィットネスノウハウを活かし、健康管理を徹底。明るい職場文化の構築と、事務職を上回る年収増を目指すことで人材価値を高めるとする。
瀬戸社長は、職人の8時間勤務がそのまま最高のフィットネスプログラムになると指摘。新しいエッセンシャルワーカーとして、業界の人手不足解消に貢献したいと語った。2040年までに約122万人が不足すると予測される建設業界の雇用ミスマッチを、RIZAP独自のアプローチで解決する狙いだ。健康管理や職場環境の改善により、定着率向上も期待される。
建設業関係者から相次ぐ厳しい声
発表直後、X(旧Twitter)では建設業界関係者を中心に厳しい反応が広がった。現役住宅営業や足場屋社長からは、職人育成の甘さを指摘する声が目立つ。一人前になるまでには長い経験が必要で、素人を短期間で戦力化するのは非現実的だとする意見が多い。
ある現場経験者は、筋肉と建設技術は別物だと強調。体力面のアドバンテージはあるものの、技能習得期間や指導体制、施主満足度への不安を挙げた。過去にRIZAPが建設関連事業で失敗した経緯を思い起こす声もあり、チョコザップの内製化が主で外部受注は難しいとの指摘もあった。田舎の足場屋社長は、実質リストラではないかと疑問を呈した。フィットネス業界の業績不振を建設分野に押し付ける印象を受けるとの意見が、業界内で共感を呼んでいる。
多重下請け構造や資材高騰の本質を十分理解していないとの冷静な分析も見られた。業界特有の商慣習や信頼関係を軽視した参入との声が目立つ。
実質リストラとの見方やその他の懸念点 経営状況の改善を背景に
SNSでは、500人規模の転換をリストラの裏返しと見なす声も少なくない。AIで生まれた余剰人員を現場に回す形が、社員を道具扱いしているように映るとの指摘だ。大手損保が余剰人員を介護分野にシフトした事例と重ねるコメントが散見される。
一般ユーザーからも、トレーナーから急に力仕事へ移行するのはキツイとの懸念が上がった。定着率が低く、多くの人が辞めるのではないかという不安が先行している。建設業の特殊性(安全管理、工程調整など)を軽視した安直な参入との批判も根強い。一方で、こうした大胆な挑戦の背景には同社の経営状況の改善がある。2026年3月期第3四半期(2025年4月から12月)決算では、売上収益が前年同期比3パーセント減の約1246億円となったものの、営業利益は前年同期の約5億円から約77億円へと約15倍に急増した。
チョコザップ事業の内製化やコスト最適化により黒字定着が進み、財務基盤も強化されている。現金及び現金同等物は約288億円と大幅に増加し、有利子負債も減少傾向にある。中期経営計画では2026年3月期に営業利益300億円、2027年3月期に400億円を目指しており、建設業参入は収益多角化の一環と位置づけられる。中間マージン排除の試み自体を評価する声もあるが、業界の信頼関係や商慣習を崩す難しさを指摘する意見が優勢だ。
発表から間もないため、具体的な訓練成果や離職率の実績が出ていない点も、反応を冷ややかにしている要因となっている。RIZAP建設の挑戦は、建設業界の構造改革に一石を投じる可能性を秘めている。しかし、職人育成の現実性や社員のモチベーション維持が最大のハードルとなりそうだ。今後、転換者の資格取得状況や現場での活躍、さらには同社の通期業績が注目される。チョコザップ事業の成功をバネにした多角化が、再び「結果にコミット」できるかどうかが問われている。



