
現在、海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の事実上の封鎖が続いている。こうした情勢不安を背景に、SNS等ではトイレットペーパーの流通に係る懸念や不確かな情報が錯綜しつつある。 こうした事態を受け、経済産業省は事態の沈静化に向けて対応を開始。同省と連携する形で、19日までに日本家庭紙工業会や小売業界各団体が相次いで声明を発表した。
揺るがぬ国産97%の壁。ホルムズ海峡封鎖が供給リスクとならない理由
今回の騒動において最大の焦点となるのは、中東情勢が国内の紙製品供給に直結するか否かという点である。経済産業省および日本家庭紙工業会が発出した発表によれば、トイレットペーパーはホルムズ海峡封鎖による影響を受けないことが明確に示されている。その最大の根拠は、国内で消費されるトイレットペーパーの約97%が国内で生産されているという事実だ。さらに、その原料のほとんどは国内で回収された古紙やパルプによって賄われており、中東地域に依存する割合は皆無に等しい。
加えて、日本家庭紙工業会に加盟する会員企業41社は、現在も需給に合わせた通常通りの生産体制を維持しており、生産に支障をきたすようなインシデントは全く発生していないという。各社は適正なランニング在庫を常備しているばかりか、増産余力も十分に有しているとしており、品薄を危惧する声は根拠のないものであると言える。
一斉に動いた小売業界。不当な買い占めを防ぐ官民一体の防波堤
製造元であるメーカー側の発表と軌を一にして、消費者と直接接点を持つ小売業界団体も、経済産業省との連携のもと一斉に事態の沈静化に動いている。日本スーパーマーケット協会をはじめ、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)、日本ボランタリーチェーン協会、そして日本DIY・ホームセンター協会といった主要団体がそれぞれリリースを発出し、メーカー側と同様に「生産に直接的な影響はない」との見解を表明している。
各団体は「経済産業省と連携し、引き続き適切な情報提供に努めて参る」と一様に宣言しており、店頭での不当な買い占めや混乱を防ぐため、官民が一体となって正確な情報発信という防波堤を築き上げている状況だ。
拡散されるパニックの火種。不測の事態において消費者に求められる自己防衛
情報が瞬時に拡散し、時にパニックを引き起こす現代において、我々消費者に求められるのは何よりも「正確な情報に基づく冷静な行動」である。日本家庭紙工業会はメディアに対しても、いたずらに消費者を混乱させる表現を避けるよう申し入れている。トイレットペーパーの国内生産および供給体制は盤石であり、安心・安全・安定供給の基盤が揺らぐことはない。
社会情勢の変化に伴い、あらゆる生活インフラにおいて不測の事態が囁かれる現代において、SNS上の断片的な情報に惑わされるべきではない。一次情報をよく確認し、正確な情報のもとに冷静にできる力が我々消費者にも問われている。



