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伊勢ケ浜親方(元照ノ富士)が伯乃富士に暴力 日本相撲協会が事情聴取、春場所直前に何があったのか

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伊勢ケ浜親方
伊勢ケ浜部屋 公式サイトより

両国国技館の朝は、いつもより重たい空気に包まれていた。

春場所の番付発表日。力士にとっては昇進か後退か、半年の成果が突きつけられる一日である。その裏で、伊勢ケ浜親方、現役時代は横綱として土俵に君臨した照ノ富士が、日本相撲協会から事情聴取を受けていたことが明らかになった。

対象となったのは、弟子の前頭・伯乃富士(22)への暴力行為である。

 

 

番付発表日に東京へ 不自然な動き

春場所は大阪開催である。本来であれば、各部屋は現地で稽古の最終調整に入っている時期だ。だが番付発表日の24日、伊勢ケ浜親方は伯乃富士とともに東京・両国国技館へ入った。

水面下で行われていたのは事情聴取だった。

関係者によれば、同席した力士もおり、協会は事実関係を慎重に確認しているという。今後はコンプライアンス委員会が処分案をまとめ、理事会へ答申する見通しだ。

 

「責任は自分にある」親方の報告

暴力行為の詳細は現時点で明らかになっていない。ただ、伊勢ケ浜親方はすでに部屋の力士らを集め、伯乃富士に対する行為を認めたうえで「責任は自分にある」と説明したとされる。

さらに協会にも自ら報告したという。

現在、親方は大阪の部屋で指導を続けているが、伯乃富士は稽古に参加していない状況だ。

ここで注目されるのは、自主申告という点である。近年の角界における暴力問題は、発覚後に処分が下されるケースがほとんどだった。自ら報告した事例は極めて異例といえる。

 

これまでの経緯:宮城野部屋閉鎖と再編の象徴だった伊勢ケ浜部屋

今回の問題を理解するには、昨年の出来事を避けて通れない。

幕内北青鵬による暴力問題が発覚し、当時の宮城野親方(元横綱白鵬)が監督責任を問われた。結果、宮城野部屋は閉鎖。弟子たちは他部屋へ転籍するという異例の措置が取られた。

その受け皿となったのが伊勢ケ浜部屋である。

伊勢ケ浜親方は、先代親方(元横綱旭富士)の定年に伴い部屋を継承したばかりだった。さらに今年1月には自身の断髪式を終え、新体制の象徴として新三役力士も誕生。「これから」を担う存在と目されていた。

伯乃富士も、もともとは旧宮城野部屋に所属していた力士である。

再建の象徴であったはずの部屋で起きた今回の問題は、単なる一部屋の不祥事では済まない。再編の正当性、監督体制の実効性、そして角界の統治構造そのものに疑問符を突きつける。

 

繰り返される角界の暴力問題

大相撲はこれまで幾度となく暴力問題で揺れてきた。

時津風部屋の死亡事件、横綱日馬富士による暴行問題、十両貴ノ富士の不祥事、そして北青鵬問題。処分は引退や降格、部屋閉鎖にまで及んだ。

協会は再発防止策を打ち出してきたが、なぜ問題は繰り返されるのか。

背景には、閉鎖的な部屋制度、師匠と弟子が生活を共にする特殊な環境、そして「厳しさ」を美徳とする文化があると指摘されてきた。

指導と暴力の境界はどこにあるのか。

その問いは、今もなお角界の核心に横たわっている。

 

春場所への影響と今後の焦点

処分の内容次第では、伊勢ケ浜部屋の体制や春場所の雰囲気にも影響が及ぶ可能性がある。

焦点は三つだ。

  1. 暴力の具体的内容と程度
  2. 自主報告が処分にどう反映されるか
  3. 再発防止策が制度改革にまで踏み込むか

元横綱という肩書きは、栄光であると同時に重責でもある。土俵上での強さは疑いようがない。しかし今、問われているのは「指導者」としての資質だ。

春場所の土俵が華やかに幕を開けるそのとき、角界は一つの答えを示さなければならない。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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